2022.03.28

TOYOTA発、カーボンニュートラルの実現。

世界のCO2濃度は、産業革命以降増え続けている。近年の数字を見ても、全世界のエネルギー起源のCO2排出量は2006年の280憶トンから2018年には335憶トンへと短期間に2割近く増加している。 日本を代表する自動車メーカーであるトヨタは創創始者、豊田佐吉の考えに基づく「豊田綱領」の精神を受け継ぎ、1960年代から「環境」への取り組みを継続してきた。2015年には新たな環境改善の目標を設定し、取り組みを進めている。トヨタが目指すクルマ作りと社会の姿について迫った。

TOYOTA発、カーボンニュートラルの実現。

2015年10月、トヨタは将来の環境問題の改善を目指し、「トヨタ環境チャレンジ2050」を公表し、CO2ゼロや水使用の改善、リサイクルの振興、環境保全といった6つのチャレンジ項目を設定している。目指すのは「人とクルマと自然が共生する社会」。その中でも特に力を入れている活動がCO2の排出ゼロ「カーボンニュートラル」の実現を目指す取り組みだ。

カーボンニュートラルとは

カーボンニュートラルとは、原料の調達から、つくる、運ぶ、使う、リサイクル、として廃棄まで、製品のライフサイクル全体を通して発生するCO2をゼロにすることだ。こうした、自動車業界におけるカーボンニュートラルの実現は世界的な流れとなっている。欧州では2035年にエンジン搭載車の新車販売を禁止する規制案が発表され、米国でも2030年に新車販売の半分を電動車にする目標が掲げられている。など、規制や達成目標を掲げている。トヨタは2015年のパリ協定の指示を表明しており、トヨタ環境チャレンジ2050もそれを踏まえた挑戦だ。

HEV1800万台以上を世へ、自動車の電動化に注力

自動車産業でカーボンニュートラルに近づくための効果的な方法の一つが、電動化の推進である。トヨタはこれまで、1800万台以上のハイブリッド自動車(HEV ; Hybrid Electric Vehicle)を世に送り出してきた。電動車には、エンジンを搭載したHEVのほかにも、エンジンを搭載せずバッテリーのみをエネルギーとするBEVが存在する。バッテリーの電力だけでモーター駆動するBEVのエネルギー効率は高く、1台でHEVおよそ3台相当のCO2削減効果があるという。また、ほかにも電動車には、水素を燃料として電気を発電しながら走行する「FCEV」という方式もある。

自動車電動化の鍵、電池の開発

BEVとHEVに共通するものがある、それは燃料を蓄える「電池」の存在だ。自動車電動化の鍵となる技術の一つが、電池の開発である。トヨタでは2050年のカーボンニュートラル目標達成に向け、電動自動車で使用する電池の開発に力を入れている。開発に際しては、電池の充電頻度や周囲の環境など車の使用条件を考慮に入れつつ、持久力重視、瞬発力重視など特徴の異なる電池を開発することで、ユーザーの選択肢を増やし、電動車の普及を目指す。開発で大切にしているのは「良品廉価・高性能・安全性・長寿命・高品質」の5つの要素だ。

2030年には200万台の販売を目指す

トヨタではこれまでHEVの開発で培った経験・技術を活用し、次世代リチウム電池など新たな開発を進めている。開発中の「水素エンジン」を搭載した車両を「スーパー耐久レース in オートポリス」「スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第5戦 SUZUKA S耐」といった国内のレースに投入するなど、技術改善にも余念がない。

電池・車両の一体開発を行うとともに、電池開発に1.5兆円を投資し、2030年までに1台あたりの電池コストの50%低減を戦略として掲げている。2030年の電動車販売台数見通しは、電動車800万台である。

2021年9月9日、トヨタ自動車会長豊田章男氏は日本自動車工業会(自工会)の記者会見に臨んだ。会見では、カーボンニュートラルについて、世界の現状や重要性について触れつつ、「カーボンニュートラルのペースメーカーとして、日本の基幹産業として、自動車製造の『つくる』『運ぶ』『使う』の各ステップにおいて行動を起こしていきたい。」と述べ、意欲をのぞかせた。人とクルマ、そしてそれらを取り巻く社会が共生する時代は少しずつ近づいている。

転載元:Qualitas vol.16(クオリタス)