2022.10.13
To SDGs column
スターバックスが実現する、環境配慮型店舗の在り方。
2021年12月、スターバックスコーヒーは東京都千代田区に「皇居外苑 和田倉噴水公園店」をオープンした。この店舗は環境配慮型店舗の国際認証を取得したGreener Storesの日本1号店である。Greener Storesはアメリカとカナダだけでも2,300店舗を超え、2025年までに全世界合計10,000店舗を目指している。アジアでは2021年9月に中国へ出店し、今回日本での出店となった。同店の取り組みや今後の展開、環境配慮型店舗の在り方について考えたい。

環境負荷の実証を担う店舗
皇居外苑 和田倉噴水公園店は、都心にありながら豊かな木々と噴水に囲まれ、店舗からは皇居を臨むことができる。同店は、国際認証「Greener Stores Framework」を習得した店舗。スターバックスが環境負荷低減を目的とした実証実験を行う、サステナビリティ ハブ(拠点)としての役割も担う。Greener Stores Frameworkとは、世界自然保護基金(WWF)とスターバックスが策定した国際認証基準。「エネルギー効率」「水の管理」「廃棄物削減」といった店舗オペレーションに関わるものや「責任ある素材の調達」「立地基準」など店舗・事業設計に関わるものなど、8項目のフレームワークで運営指針を設定している。従来の店舗に比べ、30%の節水と25%の省エネを実現する、店舗の電力を100%再生可能エネルギーでまかなう、など最終的な数値目標も定めている。スターバックスは10年以上環境配慮型の店舗運営の研究を続けている。その集大成として2018年に発表したのが「Greener Stores Framework」である。

カップのリユースなど、循環性を重視した運営
Greener Storeが焦点を当てるのは、資源やエネルギーなどの「循環」である。そこで同店では資材の廃棄を極力出さない運営を行っている。フードメニューはデジタル表示でフードロスを推進。ドリンクの販売は、店内利用ではマグや樹脂製のグラスで提供する。持ち帰りではマイタンブラーやマイボトルの使用を推奨し、リユーザブルカップの販売も行っている。内装にはキャンバスや漁網、蛍光管など廃棄される予定だった素材を積極的に再利用。出店工事の際に店舗から出た廃棄物の約85%を鉄や紙の原材料としてリサイクルへまわしている。手洗い用の水は手洗水循環システムを導入し、98%以上を再利用。クリーンステーションのある床に敷いたタイルは、CO2吸収効果がある新素材を使用した。

環境配慮型店舗の在り方
開店に際し、運営するスターバックスジャパンでは、Greener Storesの認証基準を満たすため、店舗づくりから見直し、工事管理、設備、オペレーション、調達など各チームの担当者が集まり議論を重ねた。内装で使用する材料は日本国内での調達を考えるなど、店舗開発時の循環にもこだわっている。プロジェクトの根底にあったのは「サステナビリティを重視しつつ、押し付る雰囲気にはしたくない」という想い。生活の中にサステナブルを取り入れるきっかけになれば、というのが担当者達の願いだ。Greener Stores が掲げる「循環」、そしてサステナブルの自然な啓発、この2つは環境配慮型店舗の重要なファクターとなるかもしれない。今回の出店が、日本国内での環境配慮型店舗の展開の成否を占う試金石となるか注目したい。
転載元:Qualitas(クオリタス)