2022.01.11

SDGs最前線 各国の現状

2020年は、国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)の取組み開始から5年を迎える。世界でのSDGs達成状況はどのようになっているのだろうか。ドイツのベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワークが2020年6月に公表したSustainable Development Report 2020(持続可能な開発レポート)では、SDGsに参加している166カ国の達成度が報告された。ここでは2020年の同レポートを参考にしながら、各国のSDGs達成度や進捗状況についてレポートしていきたい。

SDGs最前線 各国の現状

17の目標では達成度の差が発生

まずは、目標項目ごとに見てみたい。SDGsでは17のカテゴリーで目標設定をしているが、達成状況には差がある。特に進歩の度合いが高い項目は、目標1「貧困をなくそう」目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」目標11「住み続けられるまちづくりを」の3項目。一方、進展がみられない項目は目標2「飢餓をゼロに」と目標15「陸の豊かさも守ろう」の2項目だ。急速な進歩がみられる3項目は、目標達成には至っていないものの、貧困者数など数値の改善がみられる。進展がみられない2項目に関しては、世界的に停滞しているだけでなく、悪化しているケースが見受けられるのが現状だ。

国ごとのSDGs達成状況

ついで、国ごとの達成度について検証してみたい。2020年の達成度の上位5カ国は以下の通り。北欧やEU加盟諸国が上位を占めている。

1位:スウェーデン
2位:デンマーク
3位:フィンランド
4位:フランス
5位:ドイツ

下位は以下の通り。

162位:リベリア
163位:ソマリア
164位:チャド
165位:南スーダン
166位:南アフリカ共和国

2015年のSDGs採択後、目標スコアで最も改善がみられた国は、コートジボワール(西アフリカ)、ブルキナファソ(西アフリカ)、カンボジア(東南アジア)。逆に目標スコアが後退し達成度が下がった国は、ベネズエラ(南アメリカ)、ジンバブエ(南アフリカ)、コンゴ共和国(中央アフリカ)が並ぶ。この6カ国はコートジボワール:128位、コンゴ共和国:135位など、SDGsの達成度ランキング順位では大きな差はない。内戦や紛争、政治の不安定化のほか、経済状況の停滞や悪化、公衆衛生の不整備といった要因が達成度後退の原因になっていると考えられている。

SDGs最前線 各国の現状

地域ごとのSDGs達成状況

SDGsの達成状況を地域別でみると、もっとも進捗が順調なのはOECD加盟国で、目標1「貧困をなくそう」目標4「質の高い教育をみんなに」目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の項目について達成しているほか、17項目のうち合わせて10の項目で達成に向けて順調な推移を見せている。あるいは達成に必要な50%のペースを超えている状況だ。特に進捗が遅れているのが、オセアニアとサブサハラ・アフリカ(サブサハラ以南のアフリカ諸国)の2つの地域。17項目のうちオセアニアでは12項目が、サブサハラ・アフリカでは15項目が減少、あるいは達成に必要なペースの50%を下回ってしまっている。このことから、先進国の中に達成度が高いエリアがある一方、途上国の中には取組みが遅れている地域があると言えそうだ。しかし、もうすこし長いスパンで地域別のSDGs進捗度をみると、状況は少し変わってくる。

SDGsが国連サミットで採択される以前に目を向けてみると、2010年から2019年の間で東南アジア地域の進歩が世界で最も大きく、SDGsの進捗度スコアを伸ばしている。同様にサブサハラ・アフリカもスコア自体はまだ低いものの、順調に数字を伸ばしているのだ。全世界7エリア中、OECD加盟国、東ヨーロッパ&中央アジア、ラテンアメリカ&カリブ海諸国の3つの地域は、2009年から常にSDGs進捗度で世界平均を上回っているが、他のエリアの改善が進むことでスコア差が少しずつ縮まりつつある。

コロナを超え、行動の10年を達成するために

2020年に始まった新型コロナウイルスの感染拡大は世界各国に多大な影響を与えてきた。Sustainable Development Report 2020のレポート内でも新型コロナウイルスの影響について記載されており、経済活動停滞の影響で特に目標1(貧困)・目標2(飢餓)・目標3(健康・福祉)・目標8(経済成長)・目標10(人・国の不平等)への影響が大きいとされている。また、同レポートでは冒頭、「新型コロナウイルスの影響により、ここ数年で達成した目標が崩れた、貧困・格差・不正が悪化している」と総評した。

2019年に開催されたSDGサミット2019では、現状を踏まえ、SDGsの期限である2030年までの10年間を「行動の10年」とするため、資金や実施体制、地域の取組みなどさまざまな側面からアクションの加速化が求められてきた。SDGsは先進国・途上国が参加した、継続可能な社会づくりを目指す取り組み。そのコンセプトの一つが「一人も取り残さない」ことだ。コロナ渦の中、2030年まで世界全体で誰一人取り残すことなくSDGsの目標を達成するためには、国際的な相互協力が鍵となっていくことは言うまでもない。各国のリーダーが改めてSDGsを中核にした国際協力を呼びかけ、取組みのスピードをあげていく必要があるのではないだろうか。

目標につけられている丸の4色はそれぞれ達成度を表し、緑は目標達成、黄は課題が残っている、オレンジは重要な課題が残っている、赤は主要な課題が残っているを意味します。ドイツのベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワークの報告書「持続可能な開発報告書2021」が刊行。同報告書によれば、日本は2020年の17位からランクを1つ落とし、18位という結果となった。

転載元:Qualitas(クオリタス)