2022.11.08
Netflixが切り拓く新時代。
2020年から発生したコロナ禍、人々の外出が制限される中、人気となっているコンテンツの一つが有料動画配信サイトである。日本国内でもTSUTAYA TVやdTV、huluといった企業がサービスを提供するほか、NHKをはじめとするテレビ業界も参入している。激戦の様相を呈している動画配信業界で、世界有数の登録者数を誇るのがNetflix(ネットフリックス)である。全世界で2憶人以上が視聴するという、そのコンテンツの特徴と強さの秘密に迫る。

動画配信サービスの先駆者
Netflixは世界最大級の動画配信サービスだ。1997年の創業後、2007年にパソコンで視聴可能なストリーミングサービスを開始、世界中にサービスを拡大してきた。年間の売上高はおよそ2兆6千憶円、全世界の総会員数は2憶1300万人を超える。世界各地で配信者数を伸ばしており、アメリカのほか、ヨーロッパ、アジア、中東、オーストリア、など世界各国で視聴が可能だ。日本でも2015年からサービスを開始し、500万人の登録者数を獲得している。毎月一定額を払うことで好きなだけ視聴が可能な料金システム、テレビやパソコンのほか、タブレットやスマートフォン、ゲーム機といったマルチデバイスへの対応するサービスは今の時代にマッチしていると言えるだろう。
独自コンテンツ充実に力を入れる
Netflixでは映画やアニメ、世界各国のドラマ、TV番組の視聴が可能だ。コンテンツのジャンル分けの中でも特に目を引くのが「独占配信」の項目。劇場公開作品を「プレミア」として、単品で追加料金をとって配信する他社に対し、Netflixは「広告なし・追加料金なしの定額」というシンプルなプラン提供をモットーとしているのが特徴だ。独自配信では、欧米のTV番組・ドラマからアクション物、コメディ、SF・ホラー、アニメ、ドキュメンタリーまで幅広いジャンルを網羅しており、Netflixが人気となる一因となっている。話題となった「イカゲーム」や「愛の不時着」といった作品や、アカデミー賞の監督賞、撮影賞、外国語映画賞の3部門受賞を果たした「ROMA/ローマ」もNetflixの独占配信作品だ。日本発のコンテンツでも「今際の国のアリス」や「全裸監督」といった独自コンテンツが人気となっている。

経営面から映像コンテンツ制作者をサポート
独自コンテンツを支える大きな要因は制作サイドとの契約方法だろう。Netflixでは独占契約のために制作費を出資するし、加えて視聴数によらず一定の額を支払う形で契約を行う。従来の映画館での配信事業では莫大な利益を得られる一方、収益は売上に大きく左右されるため、製作者としては大きな冒険はできない。しかし、Netflix方式の契約であれば、リスクを回避しつつコンテンツの制作に力を入れることが可能になる。安定した収益を確保しつつ、映画に比べて自由に制作できる環境であると言える。
Netflixは2021年11月より、視聴数をランキング形式で掲載する公式サイトを開設した。サイト内では、全世界や国別の人気作品TOP10リストを毎週更新しており、グローバルトップ10のほか、国別のトップ10も見ることができる。上位作品の中には、往年の人気映画ベスト・キッドシリーズの続編となる「コブラ会」など、Netflixオリジナル作品も上位ランクに顔を見せており、映画と動画配信サービスの垣根がなくなってきていることが分かる。
野村総合研究所は2021年12月のニュースリリースで、動画配信サービスの今後について予測した。市場は今後も拡大し、2027年度には市場規模が約4,180億円になるとしており、競争優位の源泉を「魅力的な独占コンテンツである」と結論付けている。
Netflix共同CEOテッド・サランドス氏は、映像インタビューの中で「毎年制作規模は倍々で増えている。」と答えている。2021年、Netflixはコンテンツ製作予算として170億ドルの予算を拠出するとしており、今後も独自コンテンツの制作・配信が期待される。世界中で素晴らしい才能の発掘、独自コンテンツの発掘など映像コンテンツの新しい時代を切り開いていってほしい。
転載元:Qualitas(クオリタス)