在宅医療とは何かと費用の全体像を徹底解説

ご家族の介護や看取りを考えるとき、「病院に通い続けるのは難しいけれど、自宅でどこまで医療が受けられるのだろう」と悩まれる方は少なくありません。そして、その次に必ず出てくるのが「毎月いくらかかるのか」という不安です。
在宅医療は、医師や看護師が定期的に自宅を訪れ、通院と同じような医療を家で受けられる仕組みです。費用については医療保険や介護保険が使えるため、実際の自己負担は多くの方が想像するよりも抑えられるケースが多くあります。
これまで医療・介護の情報を整理してきた経験から申し上げると、費用の全体像を「保険でカバーされる部分」と「自費になる部分」に分けて理解しておくと、家計への見通しが立てやすくなります。
この記事で学べること
- 在宅医療は月2回訪問なら1割負担で月7,000〜8,000円程度が目安。
- 医療保険と介護保険を組み合わせることで自己負担が大きく軽減される。
- 高額療養費制度を使えば負担上限が決まり想定外の出費を防げる。
- 末期がんなど医療依存度が高い場合は医療保険が優先適用される。
- 通院や入院と比べて、状態次第では在宅の方が総費用を抑えられる。
在宅医療とは何かをやさしく理解する
在宅医療とは、通院が困難な方の自宅に医師や看護師などが訪問し、診察や治療、療養のサポートを行う医療のことです。
対象となるのは、高齢で足腰が弱った方、末期がんの方、寝たきりの方、人工呼吸器や在宅酸素などの医療機器を使っている方などです。年齢に制限はなく、子どもから高齢者まで幅広く利用できます。
「通院とどう違うのか」という点でいえば、最大の違いは医療者が家に来てくれることです。移動の負担がなく、住み慣れた環境で過ごしながら治療を続けられます。
訪問診療と往診の違い
在宅医療のなかでも、言葉が似ていて混同しやすいのが「訪問診療」と「往診」です。
訪問診療は、あらかじめ計画を立てて定期的に訪問するものです。月に1〜2回など、決まったスケジュールで医師が訪れます。
一方の往診は、急に体調が悪くなったときに、患者さんの求めに応じて臨時で訪問するものです。両者を組み合わせることで、24時間の安心が確保されます。
在宅医療の費用を構成する3つの要素

費用の全体像をつかむには、お金の内訳を分けて考えることが近道です。在宅医療の費用は、大きく次の3つに分かれます。
在宅医療費用のおおまかな内訳
医療保険部分は、訪問診療や薬の処方、検査などにかかる費用です。年齢や所得に応じて1〜3割の自己負担になります。
介護保険部分は、訪問看護や介護のサポートなどにかかる費用です。要介護認定を受けている方が対象で、こちらも原則1割負担が基本です。
自費部分は、保険がきかない交通費や差額の食事代、おむつ代などの日用品が中心になります。この部分は事業所によって差が出やすいところです。
実際にいくらかかるのか費用の目安

ここが最も気になるところだと思います。具体的なケースで見ていきましょう。
もっとも一般的な月2回の定期訪問診療を、75歳以上で1割負担の方が利用する場合、医療保険分の自己負担はおおむね月7,000〜8,000円程度が目安です。
これに訪問看護を週1回程度加えると、介護保険分としてさらに月数千円が上乗せされます。
約8千円
約1.6万円
約2.4万円
末期がんの方など医療依存度が高い場合は、訪問回数が増えたり医療処置が多くなったりするため、費用も上がる傾向があります。ただし、こうしたケースこそ次に説明する高額療養費制度が力を発揮します。
公的支援を使って実質負担を抑える方法

在宅医療の費用を語るうえで欠かせないのが、高額療養費制度です。
これは、1か月の医療費の自己負担が一定額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みです。所得や年齢によって上限額が決まっているため、想定外の高額な出費を防げます。
このほか、末期がんや特定の難病の方は医療保険が優先して適用されるルールがあり、負担が軽くなる場合があります。制度は複雑なので、担当のケアマネジャーや医療機関の相談窓口に確認するのが確実です。
通院や入院と比べて在宅は高いのか
「在宅は特別なサービスだから高い」という印象を持たれがちですが、実際はそうとも限りません。
在宅のメリット
- 通院の交通費や付き添いの負担がない
- 入院時の差額ベッド代がかからない
- 住み慣れた自宅で過ごせる安心感
在宅の注意点
- 家族の見守りや介護の負担が生じる
- おむつ代など自費の日用品がかかる
- 医療機器を使う場合は電気代等も増える
入院の場合、医療費のほかに食事代や差額ベッド代がかさみ、月十数万円になることも珍しくありません。状態が安定している方であれば、在宅の方が総費用を抑えられるケースは十分にあります。
この考え方は、予防歯科の費用のように「早めに手を打って総額を抑える」発想とも通じるものがあります。医療費は目先の金額だけでなく、長い目で見た総額で判断することが大切です。
在宅医療を始めるまでの流れ
相談する
主治医やケアマネジャー、地域包括支援センターに相談します。
事業所を選ぶ
在宅医療に対応する診療所や訪問看護ステーションを決めます。
契約と開始
費用の説明を受けて契約し、訪問計画に沿って開始します。
最近はオンライン診療の仕組みを組み合わせる医療機関も増えており、対面と遠隔をうまく使い分けることで、通院負担をさらに減らせる場合もあります。
よくある質問
在宅医療は誰でも利用できますか
通院が困難な方であれば、年齢や病気の種類を問わず利用できます。まずは主治医や地域包括支援センターに相談し、対象になるかを確認するとよいでしょう。
費用の支払いはいつ発生しますか
多くの場合、月ごとにまとめて請求されます。医療保険分と介護保険分は別々に請求されることが一般的で、支払い方法は事業所によって異なります。
収入が少なくても在宅医療は受けられますか
受けられます。所得が低い方は自己負担割合が1割になり、高額療養費制度の上限額も低く設定されるため、負担はさらに軽くなります。
訪問回数は自分で決められますか
基本は病状に応じて医師が計画を立てますが、希望は相談できます。回数が増えれば費用も上がるため、必要性とのバランスを担当者と話し合うことが大切です。
家族の介護負担が心配です
訪問看護やヘルパー、ショートステイなどの介護サービスを組み合わせることで負担を分散できます。ケアマネジャーと相談し、家族が無理をしすぎない体制を整えましょう。
まとめと次のステップ
在宅医療は、通院が難しい方が住み慣れた自宅で医療を受けられる仕組みで、費用は医療保険と介護保険によって多くがカバーされます。
月2回の訪問診療なら1割負担で月7,000〜8,000円程度が目安で、高額療養費制度を使えば負担の上限も決まります。まずは主治医やケアマネジャーに相談し、ご家族の状況に合わせた費用の試算をしてもらうことから始めてみてください。
数字を具体的に把握すれば、漠然とした不安の多くは解消されます。安心して療養生活を送るための一歩として、ぜひ早めの情報収集をおすすめします。



