2022.09.20

2065年、日本が突入する超高齢化社会と医療問題

厚生労働省の発表では、2020年の日本人の平均寿命は女性が87・74歳、男性が81・64歳。ともに過去最高を更新するとともに、女性は世界1位、男性は世界2位を記録した。しかし、それは同時に、今後日本が超高齢化社会にいち早く到達することも意味している。また、高齢化現象は地方だけでなく、都市部近郊でも進みつつあり、国内に住む全ての人にとって対岸の火事ではない。来るべき超高齢化社会へどう対処するべきか、改めて考えてみたい。

先進医療

手世界でも類を見ない高齢化社会に突入

日本の総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)は1990年の12.1%から2019年には28.4%へと増加した。厚生労働省では2040年には高齢化率が35.3%、2065年には38.4%に達すると予想している。一方、総人口は長期的な減少に転じており、1憶2000万人の人口は2035年には1憶人を割り9924万人に、2065年には9000万人を割り8808万人へと減少すると予想されている。
また、世界と比較しても、2005年以降の日本は先進国の中でも高齢化率が最も高くなっている。2021年における人口に占める世界全体の高齢者人口平均9.6%に対し、日本は29.1%。
日本が世界でも全例のない超高齢化社会に向けて進んでいることは、紛れもない事実である。高齢化率が高いのは、人口減少が進む地方だけの話ではない、東京都や大阪府といった大都市圏でも、人口の偏在化が進んでいる。2015年には全国平均26%の高齢化率に対し、東京西部の奥多摩町では48.2%。大阪府でも豊能町が38.9%となっており、すでに超高齢化社会に突入している地域も存在する。

街の風景

超高齢化社会の問題点

高齢化社会に伴う問題点には、マクロ視点で見ると「労働力人口の減少」「経済規模の縮小」「社会保障制度の持続性への影響」といったことが考えられる。しかし、逆にミクロ視点で見ると「健康寿命」の低下という問題に突き当たる。健康寿命とは、平均寿命からから認知症など介護状態や寝たきりの期間を差し引いた年数の事だ。
2016年の調査では、男性は80.98歳の平均寿命に対し、健康寿命は72.14歳、女性は87.14歳の平均寿命に対し健康寿命は74.79歳で、男性で8.84年、女性で12.35年の差がある。男女の平均は10.59歳。つまり、長寿社会でありながら、10年以上寝たきり、あるいは心身に不具合を抱えながら過ごす可能性があるのが現状なのである。

注目される「フレイル」の概念

こうした健康寿命の改善にはどうすれば良いのだろうか。近年注目が高まっているのが「フレイル」の概念である。フレイルとは加齢に伴い起こる虚弱状態のことを指す。対象は身体的なものにとどまらず、うつや認知機能の低下など心の虚弱、閉じこもりや孤食など社会性の虚弱といった多面的な要素を含む。放置すると体力や判断力の低下から身体活動や食事の減少、心身の不調から人と接する機会など社会活動の減少など機能の低下が進行するとともに、悪循環に陥る可能性もある。しかし、フレイルとは「健康」と「要介護」の境界にある状態。早期発見し対応することで予防や健康に近い状態への改善も可能なのである。フレイルの予防の3つの柱は「食事・運動・社会参加」。この3つをうまくリンクさせて日常生活の中に取り入れることが重要となる。

厚生労働省では、2021年の高齢社会白書の中で、地域や家族、国際的動向など多面的な角度から高齢化の現状を分析し将来を予測している。2020年の調査の中では、「健康意識及び友人・知人との交流」についてアメリカ・ドイツ・スウェーデン・日本の60歳以上の年代を対象に行ったアンケートを紹介している。「生活満足度への調査」では「満足である」の回答はアメリカ(76.4%)、ドイツ(52.2%)、スウェーデン(56.2%)と日本(21.1%)との差がみられた。「健康意識及び友人・知人との交流について」に関する調査では「健康である」「健康ではないが病気ではない」の項目を合わせると、各国の差はない。

しかし、知人との交流については、「お茶や食事を一緒にする」「相談ごとがあった時、相談したり、相談されたりする」「病気の時に助け合う」といった質問項目で日本の数値が最も低い結果となった。互いに相談しあう、病気の時に助け合う、世話をする友人がいないという日本人高齢者の課題点がみえてくる。国は、高齢化社会の進展を踏まえ、医療システムや年金システムなど各種制度の改善を行っている。しかし、日々の生活で基本となるのは近隣や友人と関係を築き、健康維持の勤めることだ。周囲とのコミュニ―ケーションを活発にすることは、フレイル予防にも少なからず良い影響がある。超高齢化社会を過ごすには、体と心、社会生活の健康を保つことが鍵となるのではないだろうか。今からでも遅くはないだろう。少しずつ備えていきたいものだ。

転載元:Qualitas(クオリタス)