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「楽しみながら挑戦」小規模保育で新たなニーズに対応 マザーグース・柴崎方恵代表取締役

2021年10月27日

日本の家庭の約6割が共働きの時代、保育所や保育士不足による待機児童の増加が問題なってきた。そんな中、自身の子育て体験からベビーシッター事業を立ち上げ、「小規模保育」で人気を博しているマザーグースの柴崎方恵代表取締役はコロナ禍でも新たなニーズに対応し、事業を拡大している。「挑戦することを高め、楽しみながら進める」という柴崎代表に成功の秘訣を聞いた。

マザーグース 柴崎方恵代表取締役

理念は「愛情を込めてお世話」

1994年の創業以来、27年間変わらず保育事業に携わってきました。ベビーシッターの請負に始まり、ベビーシッターの要請やイベントや個人宅などへの派遣、保育園の運営、フランチャイズ育成など、その活動は多岐に渡ります。大切なお子さんを預かるわけですから、安心安全はもちろんのこと、”ご両親に代わって愛情を込めてお世話する”という言葉を理念に経営を続けています。

 それを実現するために小規模保育を導入しました。少人数制にすることで、お子さん一人一人に手厚いケアができます。一般的な保育園では、児童10人に対し保育士が2〜3人といった人員配置ですが、弊社では0〜3歳児の場合は、保育士1人に2人まで、3歳以上は保育士1人につき3人までとしています。

 また、児童数が多い保育園だと、お迎えの際に保育士が忙殺される光景をよく目にします。すると、お子さんを引き渡すことだけに追われ、保護者保護者とのコミュニケーションがないがしろにされるケースが出てきます。保護者保護者はその日の我が子の様子がどうだったか気になるでしょうし、何か悩みを抱えていたとしたら不安を抱えたまま帰宅することになってしまいます。

 一方、小規模保育の場合は、保育士にも余裕が出てくるので、自ずと保護者とのコミュニケーションの時間を多く取ることができます。ささいなことに思えますが、その日あったことや気になる点などを十分共有することで保護者の中で大きな安心感が生まれ、園への厚い信頼関係へとつながるのです。

マザーグース 柴崎方恵代表取締役

自身の実感から起業

起業のきっかけは、自身の育児と仕事の両立の難しさを肌で実感したからでした。大学卒業後、ソニーに勤め、結婚、出産し退社。その後も子育てをしながら別の仕事を続けていました。当時は、子どもを預けるとなると、近所に住む両親に頼っていましたが、そうそう甘えてばかりいるわけにもいきません。そこで私が住んでいる茅ヶ崎市でベビーシッターが利用できる場を探したのですが……なんと一つもなかったのです。都内には既にベビーシッター事業を展開する企業はありましたが、まだまだ「親に預ければいいのだから、お金をかけてまですることではない」とか、「他人を家に上げるのに抵抗がある」という声が多く聞かれ、ベビーシッターの利用が根付いていませんでした。

 それならいっそ私が作ってしまおうと考え、思い立ったが吉日ですぐに行動に移しました。事業開始後はお金儲けと言うより自分が本当に利用したいと思える良いサービスを作ることに専念しました。幸い良いベビーシッターや保育士に恵まれ、口コミで徐々に利用者が広まっていきました。市内唯一の事業者だったこともあり、病院内保育園の委託の依頼が舞い込み、そこから委託型の保育事業を開始。続けて他の病院内保育園も携わるようになりました。

 その後も、自宅の一階で開設していた認可外保育園が、市の依頼で認可され、さらにフランチャイズについても問い合わせがあったので、即座に決行しました。振り返ってみると、ほとんど営業することなく事業を拡大することができました。時機を得たことは本当に運が良かったですが、ビジネスというよりも挑戦することを楽しみながらやってこれたことが良かったのだと思います。

マザーグース 柴崎方恵代表取締役

保育士の成長と自立を後押し

新型コロナウイルス感染症拡大や長引く不況などで先が見えない現在、ビジネスに苦戦する企業が多いですが、幸いにも弊社では3店舗を増やすことができました。そのうち1店舗は、従来から大和市の市立病院の夜勤保育を業務委託で運営していた関係で、同市つきみ野に建てられた大規模マンションの中に作られる保育園の経営を任せられることになりました。その他は、いずれも病院内保育園でして、これは新型コロナウイルス感染症患者のために休みなく働く医療従事者が、通常の保育園では利用を嫌がられている問題を解決するために設けられた施設です。

コロナ禍でも事業拡大できたのは、これまで地道に重ねてきた実績や構築してきた人間関係のおかげであることはもちろん、その時のニーズにうまく対応し、挑戦する姿勢が功を奏したのだと思います。もちろん、成功ばかりではなく、これまでも失敗は何度も経験してきましたが私自身が楽しみを感じていない仕事だったように思います。従業員にとっても同じで、ただやらされるだけの仕事や、自分の意見を全く聞き入れてもらえないプロジェクトは全く楽しくありません。それに続けていくのもつらいのですよね。何よりそれは会社のためになりません。

 弊社では、スタッフの一人一人が常に自分のやりたいことを、主張できて、挑戦できる環境を整えてきました。失敗しても、自分で決意して実行したことなので責任感が強くなりますし、次の成功や成長につながります。長い目で見て会社の利益になるのです。

 現在、弊社では約150人の保育士やベビーシッターが働いており、その中には信頼できるリーダー格も育ってきています。今後事業を拡大しつつサービスの質を維持していくためには、そういった自立したスタッフの活躍が鍵になることは間違いありません。そして、5年後には新たな事業として、保育園と老人ホームを融合したリゾート型施設を実現させたいと考えていますので、全スタッフともに挑戦する心を高めて、それを楽しみながら進めていきたいですね。

プロフィル
大学卒業後、ソニー入社。結婚を機に退社し、1994年、神奈川県茅ヶ崎市でベビーシッター派遣事業を立ち上げ、、院内保育や小規模保育の委託など事業を拡大。フランチャイズ化を進め、東京・神奈川を主に、全30店舗を展開している。

株式会社マザーグース
https://mothergoose.jp/

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