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<エコノミストTV>「携帯料金0円」常識を覆す若き挑戦者の戦略 センターモバイル・中越達也社長

2021年10月04日


携帯電話大手が相次いで低料金プランを投入し、格安スマートフォン事業者(MVNO)の競争も激化する中、「携帯電話料金ゼロ円」を目指して登場したのが、「センターモバイル」だ。中越達也社長は「30代で日本のためになることをしたい」と、広告モデルによる新たなスタイルで果敢にチャレンジしている。若き挑戦者の戦略を探った。【猪狩淳一】

■激化する低料金競争

2020年9月、「携帯電話の値下げ」を掲げた菅義偉首相が就任し、NTTドコモ、au、ソフトバンクの大手3社が12月に相次いでオンライン専用の低料金プランで値下げに踏み切り、低料金を売りにしてきた楽天モバイルも値下げを余儀なくされ、ワイモバイルやUQモバイルといったサブブランドも追随。低料金競争が一気に激化した。

まさに“戦国時代”といった様相の携帯業界に、単身乗り込んだのが中越社長だ。高校生のころから「社長になりたい」という夢を持ち、近畿大学在学中に、起業を目指して大阪なんばでバーを開いたという。中越社長は「東大や京大、早慶といった一流大学を出ないとお金持ちになる確率が低いと思った。そこで大学生で起業すれば、成功すればもちろんいいし、失敗しても、就活の面接で実際に事業をやっていた話をして、決算書を出したりしたら面白いと思ってくれる。つまり『成功しても失敗してもプラスだ』と気がついて行動できたのが今の人生の基盤になっています」と振り返る。

バーの経営は順調だったが、「生き急ぐタイプ」という中越社長は大学の後輩に店を譲って、新たな事業に挑戦することを決意する。「時間が経てば経つだけ結婚したり、子供ができたり、リスクが上がっていく。挑戦することへのリスクが一番低いのはいつかと考えたら、『今日』だと思ったんです」という。そこでインターネットを使った健康食品のアフェリエイトなどのビジネスを手掛けるようになった。さらに「20代は好きなことをやる、と決めて、好きなファッションを仕事にしたいと考えた」と、ファンションの本場・イタリアのミラノに店舗を構え、「中越ミラノ」いというブランドを立ち上げた。ブランドは、ミラノ・ファッションの中心 モンテ・ナポレオーネ通りへの直営店出店や、阪急メンズ大阪に出店するなど一定の成功を収めた。

イタリア・ミラノに出店した「ナカゴシミラノ」

イタリア・ミラノに出店した「ナカゴシミラノ」


■30代は「日本のために」

順風満帆とも見えるが、「30代は日本のためになること。40代は世界のために何かすると決めている」という中越社長が、このままでとどまることはなかった。「周りの人たちが何に消費しているかを聞くと、1位が家、2位が保険、3位が車で、4位が携帯だった。その中で携帯はみんなが持っている。携帯でみんなに貢献できるとしたら、やっぱり料金で、一番喜んでくれるのは0円で携帯が使えたら、ということになりました」と動き出した。

「携帯0円」という不可能とも思われる構想だが、「理想を掲げてみんなに話すんです。『YouTubeも、テレビも0円なんだ。それより携帯を見ている時間の方が長いんだから、携帯も絶対に0円にできる。誰か協力して』と言って回ったんです」と、さまざまな協力者を得て、携帯のビッグデータを生かした広告モデルで、広告を見れば見るほど携帯料金が安くなるという現在の方式にたどり着いた。

2020年に「センターモバイル」を設立、携帯のビッグデータに関する複数の特許を出願し、11月からサービスをスタートさせた。大阪の直営店を最初に、半年で近畿、中四国、九州など西日本でフランチャイズを展開。9月には横浜にも出店し、エリアを広げてきた。「センターモバイルの携帯が一定のシェアを取れば、広告主にとっても効率的な広告を出すことができるようになり、利用者は携帯料金がゼロになる。センターモバイルの知名度を上げて、フランチャイズを広げることが成功の道です」と言い切る。

センターモバイルの直営店

センターモバイルの直営店

■座右の銘は「迷ったらGO」

さらに中越社長の構想は広がっている。「携帯は誰もが肌身離さず持っているので、そこからすべてのプラットフォームを作り上げたい。既に電力のサービスを始めていますが、電力を切り替えてもらうと、使用した電気代の6%が携帯の料金の割引になります。さらに旅行や不動産、共済、ガソリンなどライフラインにつなげて、普通の生活をしているだけで携帯料金0円が当たり前、というところまでは持っていきたい」と明かす。

次々と新たな分野に進出する中越社長の成功の秘訣を聞くと……。「座右の銘が『迷ったらGO』なんです。迷ったらやるって決めている。あと、尊敬するのは『言ったことをやる人』です。自分が思うかっこいい大人って、言ったことは全部やる。迷ったらやる。時間がかかっても言ったことは達成してきたから、多くの人が応援してくれた。もし僕が『儲かったからもういいや』って言ったら、誰も応援してくれなくなると思います」と力を込める。

フランチャイズ拡大のため、日本中を駆け回る中越社長は「楽天はインターネットで『洋服なんて売れない』という常識を覆したし、LINEは電話代を無料にするなど、インターネットで日本の文化を変えてきたと思います。僕は今、日本の文化を変えるような企業を作りたいと思っていて、まさにそれが好きなことなので、日本中を回ってフランチャイズの方やお客様と話すのが楽しくてしょうがない。やりたいことをやっているので疲れないんです」と語る。

「40代で世界のためになることをする」という中越社長は「世界の携帯料金をゼロにしたい。携帯のビッグデータを活用する技術で米国の特許を出願申請しています」という。「その先は……」と問うと、「50代のことを考えたことがあるんですが、時代が変わりすぎて分からない。40代が世界と言っているので、50代は宇宙とかになってしまう。言ったことはやらなければならないので、考えるのやめました」と笑顔を見せる中越社長。その夢は広がり続けるのだろう。

■私のビジネスアイテム

ビジネスアイテム

ビジネスアイテム


中越社長こだわりのビジネスアイテムは「iPad」だ。日本中を飛び回る中越社長は「全国気軽に持ち歩けるのがすごく便利なので、肌身離さずどこでも持ち歩いています」という。「自社のSIMカードを差したら快適な通信が日本中でできるのが強み」といい、「パソコンはほとんど使わない。iPadにキーボードを付けて、メールの返信や業務連絡は完結してしまう。
すぐに起動できますし、常にインターネットにつながっていますし、逆にパソコンに戻る理由がないですね」と話す。

■プロフィル

1989年和歌山県生まれ。近畿大学在学中に大阪・なんばでバーを経営。インターネットでの物販などの事業を手掛け、201④年、ファッションブランド「ナカゴシミラノ」を立ち上げ、イタリア・ミラノのモンテ・ナポレオーネに出店。2015年「センターオーバー」を設立し、通信・広告事業に取り組み、社会的意義のある携帯電話のシステムをつくろうと2020年に「センターモバイル」を設立。

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