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<エコノミストTV>治療実績1万本以上 “達人”が語るインプラント治療の可能性 日本橋インプラントセンター 玉木仁所長

2021年08月16日


失った歯を取り戻すインプラント治療。歯科治療ではすっかりおなじみになっている治療法だが、インプラントを埋め込む手術の技術が必要で治療期間も長くなることなどがハードルとなっている。日本橋インプラントセンターの玉木仁所長は、インプラント治療専門医として、30年以上にわたり1万本以上のインプラント手術に成功している第一人者だ。玉木所長に日本インプラント治療の歴史と可能性を聞いた。【猪狩淳一】

■国際学会で出会い 治療の素晴らしさに感動

インプラントとは、体内に埋め込む医療機器の総称で、歯科のほか心臓のペースメーカーや人工関節などもその一つ。歯科インプラント(デンタルインプラント)は、あごの骨に埋め込み、そこに義歯を付ける治療法だ。その歴史は古く、3世紀ごろのローマ時代に上あごに金属性のインプラントが埋め込まれた人骨が見つかっている。現代では、1952年にスウェーデンでチタンと骨が結合することが発見され、1962年から人間の歯科治療に応用されるようになり、1982年にカナダの学会で症例が報告されて、その安全性が認められて普及するようなったという。

玉木所長がインプラント治療に出会ったのは30年前以上前だ。「当時の大学では、インプラントの講義はほとんどなかった。大学を卒業して1〜2年たったとき、先輩の歯科医師から勧められてインプラントの国際学会に参加して、『素晴らしい治療がある』と思い、帰国後寝る間を惜しんでインプラントの勉強に専念しました」と振り返る。

日本橋インプラントセンターの玉木仁所長

日本橋インプラントセンターの玉木仁所長


玉木所長は歯科治療について、「不幸にして歯がなくなった場合、治療法の一つめがブリッジを入れること。二つめは取り外しの入れ歯、そしてインプラントになります。ブリッジはというのは抜けた歯の両隣の歯を削らなければならず、残っている歯が次の虫歯とか歯周病になりやすいというデメリットがあります。取り外しの入れ歯は満足に噛めない、食べにくい。バネをかける残っている歯に負担がかかって抜歯することもあります」という。一方「インプラント治療は、麻酔をして歯茎を開いてドリルで骨を削り、インプラントを埋入するという外科手術はありますが、健康な歯を削ることなく、取り外しの入れ歯の違和感とか着脱のしづらさ、食べにくさとかもない。自分の歯と全く同じような感じで噛める。残っている歯に負担をかけずに快適な生活を送ることができる素晴らしい治療なんです」と熱く語る。

■歯科医の義父も驚いた自然な嚙み心地

しかし、インプラント治療が理解されるまでの道のりには困難もあったという。「インプラント以外の歯科治療の有名な勉強会に二つ入っていました。そこは症例発表をして、その評価を先輩とディスカッションをする自己研鑽の場なんですが、先輩は一言で『インプラントをやる前にやることあるだろう!』と否定されました」と振り返る。「30年前以上前のインプラントと、その後インプラントは180度違った治療といっていい。今はチタン製の無菌状態のチタンを削り出したものを無菌状態にして、歯茎の骨の中に入れて安静状態にしておけばインプラントが結合する。それ以前は。ブレードとか板状のものとか骨のところに置く骨膜化インプラントなど問題があったので、そのイメージで大反対されたんです」と話す。

「実は妻も義父も歯科医で、結婚して日本橋で半世紀近く続けていた妻の実家の歯科医院に入りました。義父もインプラントに大反対でしたが、義父の患者にも『入れ歯が嫌だ』という方がいて、インプラント治療しました。そして義父に『入れ歯に比べすごく調子がいい』と言ってくれました。それで、義父が『なぜこんな若造が自分の患者を満足させられるのか』と不思議がっていました」といい、「それから5~6年後、義父が学生時代に入れたブリッジを外して、『インプラントを入れてみろ』といいました。当然うまくいって、噛めるようになると、ガラッと180度変わって、『なんでこんなにいいものをもっと勧めないんだ!』言い出したんです」と笑顔で語る。

■治療に努めるとともに歯周病予防などにも注力

自信を得た玉木所長はさらに一歩を踏みだす。「約20年前、歯科業界ではホームページもなかった。そこで自分でホームページを作ってインプラント治療をPRすると、インプラントの患者さんばかりになっていった。そこが転機となって、インプラント専門の歯科医になることを決意しました」と明かす。インプラント専門になった玉木所長だが、「私は好き好んで歯を抜くわけじゃない。結果的に私のところには、他の歯科医に抜歯宣告された方が来る。抜歯宣告され、次の治療がブリッジだとなると、両隣の歯を削りたくない……ということで、私を探して来るわけです」と力を込める。

日本橋インプラントセンター玉木仁所長

患者に説明する日本橋インプラントセンターの玉木仁所長

インプラントは保険が利かない自由診療だが、「インプラント専門なので、初診からインプラントを希望される方が来る。インプラントに不安を方には説明会を開いて、お金もかかるけど他の歯に負担をかけない治療であることを説明して、理解してもうようにしています。これは歯科医院の経営戦略としても有効でした」と語る。「インプラント治療では約束事を守るのが大事。通常は抜歯してから2~3か月待つ。歯を抜くということは何か問題があるので、化膿などなく、無菌状態になるのを待って埋入手術をします。さらに骨と結合するまでさらに2~3か月待つ。外科手術の技術も重要で、きちんとした手術をすれば経過がいい。10~20年以上使うものですからきちんとした治療をしないといけない」と話す。

インプラント専門医として玉木所長は「予防とインプラントは車の両輪」という。「歯科治療は予防がものすごく功を奏する。特に歯磨き指導が大事で、歯磨きを入念に教え込めば、虫歯や歯周病は激減します。すると、歯周病菌が影響する糖尿病などの治療にもつながる。健康に長生きしてもらうために予防にも一生懸命取り組んでいます」と熱く語る。

自身を「歯医者というより職人」と評する玉木所長。インプラント治療の達人は患者の健康のために道を極めている。

■私のビジネスアイテム

日本橋インプラントセンターの玉木仁所長の印ブラント柄のネクタイ

日本橋インプラントセンターの玉木仁所長の印ブラント柄のネクタイ


玉木所長がお気に入りのビジネスアイテムは、赤にインプラントが描かれたネクタイだ。棒状のインプラントと上から見た円形が組み合わさった模様で、インプラントのメーカーで講師を務めた際にプレゼントされたという。「セミナーとか講演のときにインプラント柄のネクタイを着用しています。この赤いネクタイで講演すると熱意を込もるんです」と笑顔で明かす。

■プロフィル
たまき・ひとし
1960年新潟県生まれ。1993年、新潟大学歯学部卒業。1996年、医療社団法人一仁会設立 、院長・常務理事に就任。2001年東京日本橋インプラントセンターを開設。2010年東京医科歯科大学歯学博士を取得。国際インプラント学会専門医・指導医、日本口腔インプラント学会専門医。

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