カルチャー

<エコノミストTV>“好き”を仕事に 「お絵描きムービー」でクリエーター育成 一般社団法人「国際じぶんストーリー協会」ハク・ノブアキ代表

2021年06月28日


新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもりで、YouTubeなどでの動画視聴が延びる中、2020年の動画広告市場は、昨年対比114%の2954億円に達する見通しだ。そんな中、SNSなどでホワイドボードに絵を描いていく工程をアニメーションとして見せる「お絵描きムービー」という動画手法が注目を集めている。「インターネットを使って、“好き”を仕事にし、自由に働く」ためにクリエーターを支援している一般社団法人「国際じぶんストーリー協会」のハク・ノブアキ代表に、思いを聞いた。

■注目の動画コミュニケーション

オンラインビデオ総研によると、2020年のインターネット動画広告市場は2954億円、昨年比114%の見通しで、2021年には3889億円、2024年には6856億円に達する見込みで、急速に伸び続けている。コロナ禍の国内経済の影響で一時的な広告出稿の抑制がみられたものの、外出自粛により自宅で商品・サービスを消費する巣ごもり需要が増加し、幅広い世代で動画コンテンツの視聴時間が大きな伸びを見せた。全体の広告予算は削減される一方で、動画によるコミュニケーションへの投資は引き続き積極的に継続しているという。

2013年に米国のYouTuberサム・ペッパーが、ホワイトボードを使って、自分の人生の「ストーリー」を描くアニメーション動画「ドロー・マイ・ライフ」をアップし、2週間で2600万回以上再生されるという大きな反響を呼んだ。「ホワイトボードアニメーション」と名付けられたその手法は、動画によるコミュニケーションの新たな手法として注目を浴びた。

■点がつながり…

ハク代表が描いたお絵描きムービーの1シーン

ハク代表が描いたお絵描きムービーの1シーン


美術系の学校を卒業してアパレル会社などを経て、ライターやウエッブマーケティングのコンサルタントとして活動していたハク代表は、「自分にもできる」と感じた。「学生時代からものづくりが好きで、姉の結婚式のムービーを作るなど動画編集とも触れ合っていて、ウェブマーケティングでも動画ももちろん扱っています。また、ライティングで文章を書くのも好きで、人のストーリーを聞いて、書いて、動画化をするというのは、今までやってきたことがつながった。(アップル創始者の)スティーブ・ジョブズの名言『コネクティング・ザ・ドッズ』(いろいろな経験が点で、それがつながっていく)みたいな感じです」と語る。こうして人の心を動かすストーリーや感情に訴える心理トリガーを融合させた「お絵描きムービー」という新しい手法を生み出し、ワークショップを開催するなどの活動を始める。

この思いがさらにつながる。「自分でやるより、この中から、『お絵描きクリエーター』が出てきてくれないかと思っていた」というハク代表は、ここで現協会理事の太田侑希さんと出会う。太田さんは元々グラッフィックデザイナー、イラストレーターをしていたが、結婚、出産を機にいったん仕事から離れ、その後整体サロンを開業。集客に苦労していたときに「お絵描きムービー」を知った。太田さんが「お絵描きクリエーターで起業できないか」とハク代表に相談すると、ハク代表は「待っていたのはこの人だ」と太田さんをバックアップ。太田さんがわずか2カ月で200万円以上の売り上げを達成すると、自信を深めたハク代表は、太田さんを講師にお絵描きクリエーターを育てる講座をスタート、2018年12月に一般社団法人「国際じぶんストーリー協会」を設立した。

セミナーで講演する太田侑希理事

セミナーで講演する太田侑希理事


■クリエイティブに集中できる仕組みを

ハク代表は「クリエーターって資格がない。自信がなくてチャレンジできないという人が動きやすいように、資格がお金を産むのではなくて、お金を産む動きをするために資格がバックアップするみたいな仕組みが作りたかった」といい、資格だけでなく、商品パッケージや価格設定、マーケティングなど、クリエーターがクリエイティブに集中できる仕組みづくりを目指した。協会では、「お絵描きムービー」の認知度を上げるための広告を展開し、クリエーターには集客から販売までのウェブマーケティングのテンプレートを提供している。クリエーターは、Facebookなど自分のS N Sで「お絵描きムービー」のクリエーターとしての告知をすることで、協会が展開している広告を見た顧客を獲得する。また上位の認定資格者については、協会が直接プロモーションを行い、顧客を獲得していくというシステムを整備し、数人から始まった会員は400人を超えるようになった。

ハク代表は「協会には、小さいころから絵を描くのが好きで、美大に行きたかったけど親の反対で行けなかったり、美大にいったけど画家にならなかったりという人が、デザイナーとして就職し、出産・子育てをして、もう一回現役に戻りたいと思ったら全ての世界がデジタルになっていて浦島太郎状態になっている……という人がすごく多い。そんな絵を描くことが好きな人たちに才能を輝かせる場所を提供すれば『“好き”を仕事に』できると思いました。『好き嫌い』と『稼げる稼げない』って関係がなくて、好きなことをいかに稼げるやり方を学んでマッチさせるだけなんです」と力を込める。

■ムービーを“名刺代わり”に

会員の佐野芹奈さんは「自分の好きなことが喜ばれたりとか、それでお金をもらえたりという経験ができた」といい、橋本圭以子さんは「お客様と一緒に対話をしてその方の人生を共有させていただけるので、イラストだけでやっていた仕事とは違う魅力があります」と笑顔を見せる。金子由香さんは「Facebookで私のお絵描きムービーを見て、私のファンになってくれるという人が増えていって、勝手に申し込みが入ってくるので、自分自身もびっくりしています」と手応えを語る。

こうしたクリエーターを「1万人輩出したい」というハク代表は「『名刺』と同じ位置に『お絵描きムービー』がなればいい。名刺を交換してから自己紹介をするのは非効率。アポイントを取った時に、お互いのお絵描きムービーを交換しておけば、実際に名刺交換をしたときに『兄弟何人でしたよね、僕もそうなんですよ』とか、お互いのコミュニケーションコストを下げられて、いい時間を作れると思う」と夢を語る。クリエーターの思いをビジネスに変えるハク代表の「点」は、これからどうつながっていくのだろうか。

■私のビジネスアイテム

「AirPods MAX」

ハク代表こだわりのビジネスアイテム「AirPods MAX」


ハク代表のビジネスアイテムは、アップルのヘッドホン「AirPods MAX」だ。アップル信者というハク代表は、アップル初のヘッドホンである「AirPods MAX」を購入。ハク代表は「外部音取り込みモードとノイズキャンセリングモードと切り替えがすぐできる。カフェとかでも、ノイズキャンセリングが優秀ですごく没入できて、ンビニにいって何買うときには外部音取り込みモードにすると会話がスムーズにできる。何かが途中で途切れるのがすごく嫌で、ストレスになるので、これがあればシームレスに仕事に入っていける気がしています」とお気に入りの理由を語る。

■プロフィル

一般社団法人「国際じぶんストーリー協会」のハク・ノブアキ代表

一般社団法人「国際じぶんストーリー協会」のハク・ノブアキ代表


1987年大阪市出身。美術専門学校を卒業後、アパレル販売店に就職。系列店売上1位の実績を残し、起業。海外製品の販路開拓事業で全国を飛び回ったが、体調を崩して倒れ、引きこもり生活を送っていたが、家族の支えと人とのご縁を通して再起。ライティング、ウェブマーケティングを学び起業、「ストーリーブランディング」という独自手法を確立して、2018年に一般社団法人国際じぶんストーリー協会を設立、代表理事に就任。著書に『夢をかなえる自己発見ノート』(学研出版)

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