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研究者から経営者に「ゆるくつながる」”二代目“の経営 プランテリア・高木阿久斗代表

2021年09月03日

大阪府高槻市の老舗総合園芸会社プランテリアの二代目となる高木阿久斗代表は、同志社大大学院で博士号(工学)を取得後、家業を承継するのか、研究者を続けるのか、悩んだという。大学院で「幸せには選択の自由度の高さが大きく影響する」と学んだ高木代表は、自由度の高さを重んじて経営者の道を選んだ。「自社だけでがんばるのではなく、外部の人や企業を積極的に頼って、協力するのが今の経営」と語る高木代表に、「ゆるくつながる」”二代目“の経営手法について聞いた。

プランテリア 高木阿久斗代表

自由を求めて経営者の道へ

大学院では、有機化学を専攻し、実験室では有機半導体材料の開発と評価を行っていました。主専攻とは別に、文科省主導の全国的なプログラム「グローバル・リソース・マネジメント」というプログラムに参加しました。これは、資源やエネルギー、インフラの研究など地球規模の課題と、貧困や紛争など人文的な問題を一緒に学んで、新興国や最貧国で活躍できるリーダーを養成するプログラムです。資源とは石油や鉱物だけでなく、人材も資源です。人のマネジメントとは経営そのものですから、このころから経営に興味が沸いたのも家業を継ぐきっかけの一つになりました。

とはいえ、家業である園芸会社を承継するのか、研究者としての道を歩むのか、最後の最後まで悩みました。結局家業を継ぐ道を選んだのは、植物が好きだったのと、父への親孝行になれば、という思いもありましたが、一番の理由は自由を早く手に入れ社会について思考を巡らせたかったからだと思います。

大学で人間の幸福について考える授業があり、「幸せには選択の自由度の高さが大きく影響する」ので、その時々で自分にどれだけの選択肢があるか、が重要になることを知りました。自営業はいろいろと頭を悩ませることもありますが、就職に比べると自由度はかなり高い。金銭で得られる自由よりも、自分自身の色々な自由を総合的に捉えることが大切だったので、自営という道を選択し、結果今はワークライフバランスがちょうどいい状態を手にすることができました。

プランテリア 高木阿久斗代表

社命は高槻の緑を守ること

プランテリアは1974年に父が創業した総合園芸会社で、現在は本店のガーデン店と、ランド店、フラワーギフトショップ「フレリーク(Fleerique)」の3店舗を運営しています。大阪府高槻市は景観資源に富んだ地域なので、園芸を通じて地域の緑を守ることを理念としています。ホームセンターなどで安価な植物や園芸用品を入手できますが、弊社は専門店としての矜持を持って、いい品質のもの多種揃そろえています。

例えば、植木は近畿一円の信頼できる生産者から直接買い入れていますし、弊社で取り扱う植物の産地は品質重視のため全国に渡わたります。従業員も花や植物が好きな人ばかりですので、お客様のいろいろなご相談にもお応えできると思います。

いい品質のものをそろえ、丁寧に説明し、さらに園芸の知識を伝えて、地域のガーデニングのレベルを上げていきたいと思っています。緑あふれる景観は、地域の共通財産ですから、責任を持って守っていきたいと思います。また新築や改築などでお庭を新しく造る際、造園後のイメージを見ていただくために造園VRというサービスもスタートさせました。スマホでVRのように造園後のお庭のイメージが見られるサービスです。住宅の庭も、そのプランや設計は建設業者であることがほとんどなので、園芸専門店からの提案はお客様に好評をいただいています。

次の企画として、鉢植えの定額お届けサービスもスタート予定です。いま流行のサブスクリプション、定額で定期的に植物が届くというサービスです。このサービスで鉢植えの良さ、根っこのある植物の魅力を多くの方に伝えていきたいと思っています。

プランテリアの植物

新時代の経営は「ゆるくつながる」

何事も自社だけでがんばる、自社だけで潤う、という考え方では、私が学んだ資源管理の観点から見ると、あまり良策ではないのかなと感じています。がんばるのはいいことですが、やはりその分野に長けている外部の人や企業を積極的に頼って、協力しながら経営を進めていくのが今の時代の正解だと思っています。自社で賄った方ほうが見かけ上の低コストにはなりますが、どこかに負担がかかってしまい結果うまくいかないことも多いです。
企画をスムーズに動かすためには、外部を頼り、かつ外部も含めて人を動かしていく。自社とその周辺の企業や人も、自分たちの資源として考えてどんどん活用していく。つまり経営の範囲を広げて自社だけでなく、周りも含めて行うことが大事だと思っています。

その例が、建築設計会社とのアライアンスです。彼らと手を組むことによって、建築と造園の隙間にあるような仕事が浮き上がってきました。学校や幼稚園などの園庭工事です。こうした施設は通常建設業者が設計しますが、専門外の園庭部分は造園業者に丸投げといった形が多いです。設計というパートは我々造園業からするとアプローチしづらい部分でもありましたが、建築設計会社と提携することで園庭も設計から熟考できる体制ができあがり、デザインも含めて非常にいい提案ができるようになりました。

このアライアンスのポイントは、元請け下請け、パートナーシップといったきっちりした関係ではなく、同じ立場でゆるくつながって仕事をしていくことです。うまくいくことばかりではないのですが、お客様や社員もの評判も良いですし、このやり方を続けていくことは大事だと実感しています。

これからは「小さいもの」同士がゆるく手をつないで生きていく、そういう時代なのではないかと感じています。

◆プロフィル
1990年大阪府生まれ。2018年、同志社大学大学院理工学研究科応用化学専攻博士課程(後期課程)修了。同年、プランテリア代表取締役に就任。2020年より高槻造園緑化協同組合副理事長、高槻商工会議所議員を兼任。幼い頃から植物の育成に深い興味を持ち、特にサボテンをはじめとした多肉植物の育成には詳しい。植物の店舗販売やネット販売(お花郵便.com)、造園・外構工事を手がける。

株式会社プランテリア
https://www.planterior.com

お花郵便.com
https://www.ohana-yubin.com

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