ビジネス

<エコノミストTV>「3万社で世界を変える」コロナ禍の向こうに大きな夢 FRich Quest森野広太代表取締役

2020年08月31日


 2011年に起きた東日本大震災。被災者のみならず震災によって多くの人の価値観に影響を与える災害だった。「FRich Quest(フリッチクエスト)」の森野広太代表取締役も震災をきっかけに「単純にお金を稼ぐというより、資産形成の重要性を感じた」と、資産形成コンサルタント業に乗り出したと語る。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大というさらに大きな災厄に直面する中、独自の経営哲学を展開し、さらなるビジョンを掲げる森野代表に聴いた。
◆震災で変わった価値観
 内閣府が2012年に発表した「東日本大震災後の仕事と生活の調和 (ワーク・ライフ・バランス)」に関する調査報告書によると、震災の影響やその後の社会の変化によって55・6%が何らかの意識が変化したと答えている。家庭やプライベートの時間も確保できる働き方にしたい」という回答が最も多かったが、「仕事で十分な収入を得ることが重要」「今の勤務先以外でも仕事ができるスキルを身につけたい」「より社会の役に立つ仕事がしたい」という答えも多かった。
 森野代表は震災について「映画のように地面が揺れて、割れるんじゃないかというぐらいの衝撃で、いろいろなものが壊れたりとか、落ちたりとかする中で、いろいろ考えされられた」と振り返る。
 当時、横浜市で小売業をしていた森野代表は、「日本にいることすら危ないといわれていたのに、雇用されていると責任があるので、自分の判断で日本を出るなんてことはできない。自分で自分の仕事をやることによって、世界中どこでも仕事ができる状態、ロケーションの自由ってものを手に入れた方が安全だと思った」といい、「形があるものはいずれ崩れるという思いから、最終的に残っているのは、生きている限り自分自身だなって思った。そこで自分自身を向上させることが一番確かだと考え、自分に投資することが大事だ」と気づいたという。
 独立するというより、早く会社を辞めたいという意識が強かった森野代表は「それまで仕事仕事で生きてきたのですが、金銭的に豊かでも精神的に豊かでないというか、お金がなくても時間がある人の方が豊かに思える瞬間があった。そういった中で、単純にお金を稼ぐというよりは、いわゆる資産形成のような、お金で時間を買えるようなものが重要なんじゃないかと思い始めた」と振り返る。
 その後仕事を整理して、ようやく脱サラした森野代表は、さまざまな分野の人と会い、セミナーなどにも参加して勉強を始めた。「そのころ、月に億稼いでいる方と出会って、『お金持ちっていうのは二つのことをやっていて、それが不動産部と金融だよ』と言われて、不動産と金融のいいところは、自分が仕事をしている時間に関係なくキャッシュが入ってくるところがすごくいいと思いました」と投資に挑戦した。それまで経験はなかったが、「実績がなかろうが、勉強することはできます。投資って小額からでもやれることっていっぱいあるんです。自分ができる範囲からスタートしました」という。

「敵を作らない」など9項目の会社家訓が掲げられている

◆「自由と豊かさ」を求め…
 そうして森野代表は「FRich Quest」を設立する。社名の由来は「自由(Free)」と「豊さ(Rich)」の「探求(Quest)」だという。
 小売業を辞めた森野代表だが、その経験で今につながる大切なことを学んだという。「『顧客第一主義』っていうけど、だったらタダで商品をあげたらいいじゃないか、または自分で利益限界商売をしたらいいじゃないかって思うけど、そうすると自分たちが潰れてしまう。それで利益を上げようとすれば価格が上がる。お客様もうれしくて、自分たちにとってもプラスになるっていうところのサジ加減というか塩梅を、ずっと商売をやっている時に考えていたんです」といい、ビジネスのストロングポイントを見つける。「『言ったことをちゃんとやる』ということです。エキセントリックな数字を出さなくても、言ったことをしっかりやっていくサービスを徹底していけば、そこが信用になり、差別化にもなると思った」と明かす。
 海外口座の開設や不動産融資の支援などを中心に業績を伸ばしていったが、そこでも独自の哲学で経営に取り組んでいる。
 まず、徹底した社員教育だ。社員の研修やミーティングを定期的に開催し、モチベーションが高い社員には始業前の午前7時から2時間を研修に当てるなど1月に80時間以上を社員教育に費やしているという。その理由について「会社の成長は人の成長になる。会社の成長以上に早く社員が成長していけば、ずっと一緒にやっていける」と解説する。
 さらに同社には「社訓」ではなく、「会社家訓」という九カ条が掲げられている。森野代表は「家にいる時間より仕事をしている時間の方が長いので、リアルな家族もすごく大事なのですが、会社もすごく大事で、そう思うとすごく温かい。会社が家族という概念が広がっていったら、従業員満足度も上がってくる」と、「会社家訓」と名付けたという。
 会社家訓の「一」に一番重要だという「十徳を重んじ敵を作らない」という言葉を掲げる。「謙虚さが無くなったり、人を傷つけてしまったりせず、誠実に成長することによって世の中を変えていけると思っているので、まず“敵を作らない”ことが大事。投資業界もそんなに広くないし、戦っても仕方がない。むしろいまはチームの時代で、競合する会社があったとしても、5年後10年後は仲間かもしれない」という。

◆志を持つ「ユニバース」を
 さらに現在のコロナ禍から、新たな展望を描こうとしている。「コロナにせよ、地震にせよ、こういう局面こそプライオリティーが見える。自分にとって重要な価値観とは何か、重要なことは何か、見えてくると、このコロナというネガティブな事態というのはポジティブに転換できると思う」といい、「ユニバース」という組織形態を提唱する。
 同社のコンセプトである「自由と豊さの探究」を実践しようとする志を持って、会社を起こす仲間を増やすことで世の中を変えていきたいという。森野代表は「『ユニバース』とは『星の数ほど多くの会社』という意味で、3万社を目指しています。それぐらいの数で世の中を変えていけるようなイメージが僕はすごく面白いし、やってみたいと思っています」と壮大な夢を語る。
 震災を機に立ち上がり、コロナ禍を乗り越えて、「世の中を変えたい」と語る若き経営者。その夢は果てしないのだろう。

森野代表のこだわりのビジネスアイテム「ホワイトボード」

■ビジネスアイテム
森野代表のこだわりのビジネスアイテムは、ホワイトボードだ。特にボードが回転して、両面が仕え、キャスターで移動できるのがお気に入りだという。「この大きさで説明をした時にひっくり返してまた説明を続けていくと、2時間ぐらいの会議だと足りる。立って、動かして、書いて、一気に説明できる。アイデアも浮かんできますし、伝わると思います」と熱く語る。

FRich Quest森野広太代表取締役

■プロフィル
もりの こうた
慶応義塾大学SFC卒業。2011年9月に当時の勤め先を退社し、不動産のコンサルで個人事業主として起業。2016年4月にFRich Quest株式会社設立。現在5ヶ国に会社を持ち、ファイナンスだけにとどまらず多岐にわたり事業を広げている。

新着記事

 

ランキング

キーワードから探す