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<法のプロに聴く>名前を変えるには? 改名に必要な手続き 司法書士・行政書士 堀川貴史さん

2020年07月23日

司法書士・行政書士 堀川貴史さん

生まれて最初に受け取る大きな贈りもの、それは“名前”だ。だが、さまざまな事情から「苗字や名前を変更したい」と思う人もいる。国内ではめずらしく改名許可取得のサポートに多くの実績を持つ「司法書士事務所エベレスト大阪」は、名古屋・大阪・東京 に拠点を置き、全国からの相談はもちろん、海外からの相談にも対応している。代表で司法書士・行政書士の堀川貴史さんに、改名の現状についてお話を伺った。

◆改名に“正当な理由” が必要

私が司法書士を目指したきっかけは、両親の不仲です。二人が仲良くなれるよう努めたもののうまくいかず、自分に無力さを感じていました。そんな時、たまたま見たのがフジテレビ系の「ビギナー」というドラマ。司法試験に受かった登場人物たちが、弁護士や裁判官として巣立っていくまでの青春群像劇なのですが、法を身に付けて誰かの力になろうとする彼らの姿に感銘を受けて、私も法律関係を目指すことにしました。このような背景から、私は“幸せな家族を世界中に創り出す”というビジョンを掲げて活動しています。

そんな私が改名のサポートをしている理由は、この分野にニーズを感じたからです。3~4年前に初めて名古屋の事務所に改名相談があったのですが、その後も改名サポートが得意だとは打ち出していないにもかかわらず相談が続いたんです。「これはニーズがあるんだな」と思い、専門的に扱うことにしました。

改名を希望する理由で多いのは、姓名判断や画数が悪いから、赤ちゃんに読みにくい名前を付けてしまったから、離婚した相手が付けた名前だから、というものです。近年は、LGBTの方、ホストの方、芸能人の方、犯罪歴がある方、そして日本名から海外名に変えたい方からの相談も多いです。本人たちはとても悩んでいて、「改名して新しい人生を送りたい」と思っています。実際、改名許可がおりたあとは「長年胸につっかえていたものが取れました!」と喜んでいますね。

改名が許可されるためには“正当な理由” が必要なのですが、そこには具体的な基準はなく、裁判官の主観に基づく判断が多いのが現状です。もちろん、過去の判例から判断することもありますが 、裁判官や土地柄によるところは大きいですね。また、“理由はどうあれ 、長年使っている名前があればそれに変更して良い”というのがこの世界のルールです。名前であれば5年ほど、苗字であれば10年以上使っていて、それが世の中にまかり通っていることが必要です。

改名手続きの何年か前から家族や友人に協力してもらって、郵便物やメールの宛名を改名後に使いたい名前にしてもらっておくと良いですね。そうすれば、すでに社会的に認知されている名前という証拠になり、改名許可がおりる可能性が上がります。

◆自己判断で進めるのは危険

改名には、まず家庭裁判所での手続きが必要です。これは大変そうに思われますが、基本的にはそれほど時間や労力はかかりません。きちんとした理由さえ伝われば、スムーズに進んでいきます。

まずは申立人から書類(申立書・戸籍謄本)を提出し、裁判所が内容を確認、そこから面談なり文書なりで裁判官からの質問があります。面談は1回で終わることがほとんどですし、書面での質問も1回返信して完了の場合がほとんどです。そして、それらを通して裁判所が最終的に判断し、「審判書」が申立人に渡されます。その結果次第で、市役所に書面を出しに行くのか、再度申し立てをするのか、流れは分かれます。

次に費用面ですが、実費は収入印紙と郵便切手を合わせて5千円以下で済みます。相談料は相談相手によって異なり、改名コンサルタントなら1~3万円、司法書士なら15万円前後、弁護士なら20~30万円前後が相場です。ちなみに、当事務所は一律8万8千円(内訳:着手金3万3千円、成功報酬5万5千円)に設定しています。

このような話をすると、「簡単そうだから、専門家に頼まず自分でやってみよう」と思われる方もいるかもしれませんが、これには注意が必要です。当事務所にも「とりあえず自分で出してみたらダメだったので」と相談に来る方がいますが、2度目の申し立ては1度目とは違う理由で提出することになるので、当然裁判所から「前の理由と違うけれど、これはどういうこと?」と質問が来ます。すると、どうしてもそれ以降のやりとりが難しくなってしまうのです 。私たち専門家は、改名できる可能性を正直にお伝えしますので、それを真っすぐ受け止めたうえで、手続きを進めるか判断していただければと思います。

司法書士・行政書士 堀川貴史さん


◆改名をオープンにできる世の中に

「このような改名に関する情報は、今回初めて知った」という方も多いでしょう。それもそのはず、改名した人はそのことをオープンにはしないので、改名に関する情報は本人で止まってしまうことがほとんどなのです。今後は、SNSなどを通してオープンになって、“改名はタブー”という目が減ると良いですね。これはLGBTの話にもつながりますが、オープンな社会になれば、こういった情報はさらに広がっていくと思います。

当事務所はこれからも改名サポートを続けていくつもりですが、改名したい人の人口はそこまで多いわけではないので、これを何倍にも膨らませようとは考えていません。冒頭でお話ししたように、私の根本には家族関係を良くしたいという思いがありますので、相続問題など家族間の揉め事を減らし、幸せな家族を世界中に創り出していきたいですね。

その他にも、さまざまな形で社会貢献していけたらと、身寄りのない方々をサポートするサービスも構想中です。近年は頼れる親族がいない人が増えており、身元引受人がいないために施設に入れなかったり、就職できなかったりすることも多いのです。現状、それをサポートするサービスはあるにはあるのですが、まだまだ認知されていません。一人で亡くなったとしても、早い段階でどこかに依頼しておけば身元を引き受けてもらえるので、そんな不安を抱えている方々が頼れるサービスをつくりたいと思っています。

もちろん、司法書士資格そのものは素晴らしいですが、実際に人の力になるためには日々着々と力を付けていかなくてはなりません。法律家なんてごまんといるわけですが、他の司法書士を蹴落とすのではなく、世の中の人々が本当に必要としているものを提供することで、皆さまに選んでいただける事務所を目指して行きたいと考えています。

司法書士事務所エベレスト大阪
https://horikawa-legal-office.com/

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