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<エコノミストTV>“ライフスタイルを売る” ニューノーマル時代の投資家の挑戦「好きなことで生きていく」水島翔代表
新型コロナウイルス感染拡大の中で、大手ネット証券の口座開設が急増し、特に20~30代の若年層が人気ユーチューバーの動画を見て投資を始めているケースが多いという。「好きなことで生きていく」の水島翔代表もYouTubeをきっかけに投資をはじめ、YouTubeやInstagramなどのSNSを通じた情報発信によりビジネスを展開している。「自分が好きなことで生きていくという生き様を貫き通すため」に起業したという水島代表にニューノーマル時代のライフスタイルについて聞いた。【猪狩淳一】
■漁師からサラリーマンへ
日経マネーが実施した2021年の「個人投資家調査」によると、投資初心者の中で、30代以下が50.9%と過半数を占め、投資を始めたきっかけとして「人気ユーチューバー」を挙げた人が33.7%で最も多かったという。また、日本証券業協会が「個人投資家の証券投資に関する意識調査」では、株式投資の方法で20~30代はスマートフォンを使ったインターネット取引が49.8%、パソコンやタブレットを使った取引が35.1%とほぼネットによる取引となっている。
富山出身の水島代表は高校を中退して、地元の建設会社に就職。「小さな会社だったんですけど、若い会社だったので、休みの日にはみんな集まって海でバーベキューしながらジェットスキーなどマリンスポーツで遊んでいて、次は漁師になりました」という。「漁師は天職だと思ったぐらい楽しかったんですが、結婚して子供が生まれて、別の仕事にチャレンジしたい、人と関わるような仕事ということで営業職をしたいと思ったんです」と大手運送会社に就職した。
■YouTubeから投資家に

「好きなことで生きていく」水島翔代表
業績を上げて順調に出世していった水島代表だが、約10年勤めたとき、ふと疑問を持ったという。「給料も50〜60万円ぐらいで同年代に比べていい方だったけど、自分の身近にいる管理職の人たちを見て、給料は自分より少し多くもらっているけど、時間的にも精神的にも追い詰められていて、全然楽しそうにも見えないし、カッコよく見えなかった。会社に入ったころは、輝いて見えたんですけど。これ以上頑張っても、給料が上がるのも微々たるものだし。自分で何かやった方がいいと思って動き出したんです」と明かす。
33歳で脱サラの道を模索し始めた水島代表は人気ユーチューバーの動画を見て、投資と出会う。「YouTubeでFXを知って夢中になった。サラリーマンをしながら、通勤中もYouTubeを見て勉強したり、ご飯を食べながらチャートを見たりとか、仕事以外の時間はずっとFX に割いていた感じです」と振り返る。
必死で投資の勉強に打ち込んだ水島代表。「投資についてインプットしたことをアウトプットすることによって血肉化していったり、FX の実際の自分のトレードの記録を残したりする意味で、ブログやYouTubeを始めたら、コメントをいただけるようになり、そこに需要があることが分かったんです」と情報発信の可能性に気づいた。
■情報発信から起業

「好きなことで生きていく」水島翔代表がYoutubeで配信する動画
「自分の発信してる情報が誰かの役に立っていると面白くなってきて、発信の頻度を増やして情報量を増やしていった。当時の自分と同じような思いで今 FX に取り組んでる人にとってはリアリティーがある魅力的なコンテンツになったと思う」という。
そこで LINEを使って、多くのユーザーと直接やり取りするようになった。「多くの人が求めているものが見えてきたけど、ユーザー向けにスクールをやったり、商材を売ったり、というやり方はしたくなかった。集まってるユーザーさんは、サラリーマン時代の僕。どうしたらどう動くのか、どう思うのか、手に取るように見えた。必要な情報のレポートを無料でもらえる代わりに口座開設する形にすれば」という水島代表はFX口座開設のアフェリエイトというビジネスモデルに取り組んだ。
「投資を学んで、人間の行動心理がすごく重要だと気付いて心理学を学びだした。そこでマーケティングなども学んで、人が何を求めているのか、何を提供すれば人が集まってくるのか見えてきた。振り返ってみると、LINE と YouTube とを掛け合わせて、人間の行動心理学をうまく使ったマーケティングが自然とできた」と手応えをつかんだ水島代表は3年前、「株式会社好きなことで生きていく」を設立した。
社名は「僕自身が物やサービスを売るというより、ライフスタイルを売っていく、自分の生き方を売っていく、そういった会社にしたい。法人化したからって自分の時間を奪われるような仕事もしたくないし、お金お金で動くわけでもない。自分が自由に生きる、自分が好きなことで生きていくという生き様を貫き通すための会社。そんなイメージです」と名付けた。
■さらなる一歩を
“ライフスタイルを売る”という水島代表。「20~50代の男性が多いので、欲望といえば時計や車、家などです。そこでガレージライフを中心に、車やバイク、アウトドアなどのライフスタイルで、投資目線でお金を使ってる。そのためにはこういった買い物をして、時間の使い方をすればいいというのを発信しています」という。
「人生変えたいから動き出そうと思ってもすぐに立ち止まってしまったり、最初の一歩を踏み出せなかったりする人も多い。僕なんか中卒で普通にサラリーマンをしてて、30代半ばに自分で動き出して今のライフスタイルを手に入れている。ワクワクするようなお金の使い方を僕が実際に見せて、少し頑張れば自分でもできるんじゃないかなっていうのを見せ続けたい」という。不動産や飲食への投資を準備しているという水島代表。さらなる一歩を踏み出すようだ。
■私のビジネスアイテム

「好きなことで生きていく」水島翔代表のiPhone
水島代表のビジネスアイテムは、「iPhone12」だ。「これ一つあればどこでも仕事ができる状況を築き上げてこれている」という。YouTube の撮影もほぼスマホで、LINEやInstagram の投稿、広告やサーバーの管理も行っている。「リスク管理の面でも、iCloudにすべての情報が保管されているので、最悪スマホ自体を失くしても、Apple ID とパスワードさえ覚えていれば全く同じ状態に復元できるので」と愛用する理由を語る。
■プロフィール

「好きなことで生きていく」水島翔代表
1984年、富山県生まれ。高校を中退し、建設会社勤務を経て漁師に。大手運送会社にサラリーマン生活を送るが、2017年にネットビジネスを始め、10カ月後に月収850万円を突破。2018年7月、「株式会社好きなことで生きていく」を設立。