2022.03.10

顧客と従業員満足で地域に貢献するサロン  wave’s 青木亮代表、青木義典会長

さいたま市大宮区に3店舗を運営する美容院「wave’s」は2022年で創業33年を迎える。顧客満足と従業員満足の両輪で、地域に貢献するサロンの新しい価値創造に挑み続けた「wave’s」創業者で、運営会社である株式会社ジャスティスの青木義典会長と青木亮代表に、その思いを聞いた。

大宮を美容院の聖地に

青木義典 wave’sを開業したのは1989年ごろで、私は30歳でした。その頃の美容業界は技術至上の世界でしたが、技術と同等に接客満足の重要さも確信していた私は、予約制の撤廃やシャンプーの別料金化など、当時のサロン業界では異端ともいえる取り組みに挑みました。予約不要であればお客様はいつでも来店ができ、シャンプー不要のお客様からはカット代のみを頂戴する。そうすることでサロンスタッフはより多くのお客様に自身の力を発揮でき、美容師としての喜びと心配りをお客様に注ぎ込めば、より高い顧客満足につながる。スタッフの意欲とお客様の満足、その双方を担保する運営システムと環境を構築したのです。非常識を常識に変える革新的な取り組みはこの街に厚く支持され、その後約32年に渡ってアクト店、西口店と開業を果たしました。全3店舗は現在もリピートが絶えず、大宮の方々にとって実生活に欠かせないサロンであるとともに、皆様の記憶にも残り続ける美容院であることを自負しています。

そんなwave’sは大宮の街をも動かしました。タウン誌全盛期の当時、私はある媒体とタッグを組み、一の宮通りを“シンデレラロード”と銘打って、美容院誘致を仕掛けました。同時に、「キレイになるなら大宮のサロン」といった消費者テンションも醸成。結果、テレビ番組でも取り上げられるほどの店舗数が密集し、集客の流れも捉えることに成功します。wave’s東口本店(1号店)開業から約33年の間に、大宮はまさに美容院の聖地となったのです。

スタッフの待遇に新たな価値を

青木亮 私は土日も連休も家にいない父が何をしている人なのか……あまり知らなかったのですが、中学のころに初めてwave’sに行き、美容のプロとして経営者として立ち働く父の姿に衝撃を受けました。自分が2004年にwave’sに入社してからは、いち美容師視点と経営者視点の狭間で強い葛藤もありました。美容師とは?サロン経営とは?この答えを自らが体現し、さらに経営者の父を超えていくことを常に考えていました。そして一つの志が生まれたのです。「サロン業界としては革新的な取り組みの結果、wave’sは既に集客も認知度も地域ナンバーワンといえる。ならば、スタッフへの待遇にも、定石を超えた新しい価値を創造できないか?」

そう考えた背景には市場シュリンクがありました。2021年には18歳以下の人口が減少に転じる昨今、集客維持に適うスタッフ人材の確保は必至です。この先もwave’sを存続するために、全国の美容学校へのリクルート活動に乗り出し、併せて、スタッフの休日を増やすことを果たしました。休日には心身の充足に務めて欲しいといった意図以上に、自分の感性(資質)を磨き、自身の挑みたい将来を構想する時間に充てて欲しいという狙いです。これからの時代はスタッフ一人一人がブランドです。彼らが自身の個性や思いを美容師としてかなえてゆく場所=wave’sという考え方で、ITコンサルサポートの導入やメディアとのチャネルも構築し、サロン外でのチャンスも準備しています。父の代から続く「従業員満足への追及」が、私の代でも時代に沿った形で実現されているのです。結果、スタッフの98%が美容学校からの新卒生であるwave’sは、スタッフ離職率の低さでも地域ナンバーワンと胸を張れる「スタッフが辞めないサロンではなく、スタッフが辞めたくないサロン」というブランドとなっています。

独立後の仲間も応援

義典 私は来られたお客様を笑顔で帰すことに重きを置き、スタッフの美容師としての技術と誇りを発揮できる労働環境にこだわってきました。現在の「スタッフ一人一人の美容師人生を見る」という視座は、現代表の「覚悟」だと受け止めています。もちろん、私の時代に構築した教育カリキュラムは現在もアップデートしながら継承されています。週ごとに内容が落とし込まれるカリキュラムは、2年先のスタイリストデビューを目標に設定しており、新卒で入社したスタッフたちにキャリアパスの面でも不安を抱かせません。万全の準備でもってお客様に向かわせる教育システムです。そして、その先にも、wave’sイズムに基づいた構想があります。

亮 これまでのサロン業界では、スタッフが店を辞めて独立したらただの競合という感覚があったかもしれません。ですが、私どもwave’sでは「パートナーサロン制度」で、独立後の仲間も応援したいと考えています。経営者が孤独なものであることは父や私が最もよく知るところです。従業員教育や集客の方法に最新技術など、あらゆる情報を共有するばかりでなく、経営上の悩みや不安にも寄り添っていき、wave’sらしさを日本中で後世へと継いで行きたい、そんな構想です。それがこの先のサロン業界を支え、多くのお客様の喜びとなれば、これ以上にうれしいことはありません。こういった私の新たな取り組みを後押ししてくれるのも、創業者である父なのです。

「wave’sイズム」を受け継ぐ

義典 私は30年以上かけてwave’s哲学=ブランドを創り上げました。現代表はそれにしっかりと応えてきましたし、新たな道も開こうとしています。私自身が最前線に立ち続けることにこだわりはありません。自分は十分やり切ったという自負があるからこそ『時が来たら誇りをもって脇にどけ』の信条で、権限移譲は実にあっさりとしたものでした。彼ならやれる、そう確信しています。

亮 近年、受け継いだwave’sイズムの普遍性を強く実感しています。当社の社訓は「お客さまへの感謝、お客様の立場に立って考えること、勇気・やる気・根気」と一見古くも映りますが、この社訓をベースに全スタッフが仕事を苦行などと捉えず、働きやすさと働く楽しみに満ちたwave’sイズムがサロン中に満ちています。一人一人のライフスタイルに合ったオーダーメイドスタイルの提案は、声にならないお客様の要望を察知する感性が養われてこそのものであり、心からの感謝の思いがあってこそのもの。同様に、働く仲間にも尊重と感謝の念を向ける。

さらには当社に関わる業者さんやこの街自体にも思いを向ける。そんなwave’sイズムの最たるものが「予約不要」だと考えています。多忙な方々が駆け込める美容院として、気分が乗った瞬間に足を運べる美容院として、この街の要望に応え続けていくことは容易ではありません。日々流動する集客数を引き受けながら全てのお客様に満点以上の満足を提供するには、十分なスタッフ配置が必要です。そうなると、会社としての利益は度外視せざるおえない。それでも守りたいwave’sイズムとは、「地域貢献」の思いに尽きます。この街に必要とされ愛着を持たれるサロン、それがwave’sなのだと。

そんな私どもの思いが、また一つ形になります。来春オープンする商業施設「大宮門街」への出店が決まりました。地域活性をテーマとする商業施設の美容院枠を獲得できたのは、これまでのwave’sの地域貢献への取り組みが評価された証だとうれしく思います。30年以上かけて培ってきたブランドネームは、すべて地域のためにある……それが私どもの揺るぎない思いです。

株式会社ジャスティス

青木亮代表取締役
1981年、さいたま市生まれ。2004年に埼玉県美容理容専門学校の通信課程と城西大学経済学部経営学科を卒業。同年、wave’sに入社。2020年に株式会社ジャスティス代表取締役就任。
青木義典取締役会長
1989年、さいたま市大宮区にスタッフ3人で「wave’s」を開業。1998年に2店舗目の「wave’sアクト店」、2004年に3店舗目の「wave’s西口店」がオープン。スクラップアンドビルドを繰り返し、今の立地でスタッフ60人のサロンに育て上げる。2020年株式会社ジャスティス会長就任。

http://www.waves-web.com/