2023.03.31
電気料金最適化で「豊かな社会」の実現を
さまざまな要因で電気代の値上がりが社会問題となっている。企業の電気料金の最適化や省エネの促進などに取り組むエネクラウドの田嶋義輝社長は「電気料金の削減を通じて企業の競争力を高め、豊かな社会を実現したい」と語る。

中小企業の競争力を高めたい
エネクラウドは、最適価格での電気需給契約の締結や電気使用量の見える化による省エネ活動の促進などで、事業者の電気料金の総合的な削減をコンサルティングしています。「すべての企業の競争力を高め豊かな社会を実現する」というミッションを掲げています。電気料金の削減により、特に中小企業の競争力を先ず高め、大手企業に負けないコスト構造を醸成し、長く社会に価値を提供し続けるための力になりたい。そして、経済的にも精神的にも豊かな社会を実現することに寄与したい、という思いが込められています。
2022年度10月~12月の問い合わせ数は、昨今の電気料金の値上がりを受け、前年同期比350%増加しています。中小企業を中心に非常に大変な環境にあると感じており、このミッションを胸に、事業展開を進めていかなくてはと思っています。

納得するまで商品・サービスを開発
2019年、前身である日本電気サービスの代表に就任しましたが、企業経営で大切にしているのは「納得するまでやり続けること」です。電気管理クラウドを構成するIoTデバイスは、より良い機能を求めて自社開発に切り替えるなど、妥協ラインを設けずに、納得するまで商品・サービスの開発をしています。
私自身仕事を進めていく上で、常に物事を「なぜ?」と深く突き詰めて、判断を下すことを心掛けています。例えば、当社は小売電気事業としての事業活動を検討した時期もあったのですが、ビジネスモデルやリソース、事業環境を深掘りした結果、「事業リスクが高い」と判断し、見送る決断に至りました。
また、顧客もサービスや製品を購入する上で、同じような思考プロセスをたどるものだと思っています。これだけ多くのサービスや製品があふれている中で、「なぜ?」への回答を持ち、サービス・製品に反映し差別化されない限り選ばれ続けることは難しく、事業として継続することは不可能だと思います。

「安心して子供たちに託せる社会」を目指して
電気使用量を使用機器毎に細かく計測できるサービスをリリースし、電気の見える化を実現することができました。次のステップとして、この収集したデータに基づいて機器を自動制御する機能の開発を進めている段階です。
また、このデータが今後、電力の需給バランスを取るために最も重要になってくると考えています。電気は「同時同量」、つまり電気をつくる量と使う量が、原則同じタイミングかつ同じ量にしなければなりません。基本的には電力会社から公表される「でんき予報」のような発電量に合わせて供給側のトップダウンで動いていますが、需要側の電力使用情報をミクロなレベルで解析して、より根拠のある発電計画を電力会社が作れるようにすべきだと考えます。今後は、供給側ではなく、電気を使う需要側からボトムアップでバランスを取りながら、電気の最適解を導き出せるような働きかけをしていきたい。
「競争力を高め豊かな社会を実現する」への道は、登山で例えるとまだまだ2合目です。中小企業にとってなくてはならない存在になって5合目、電力の最適解が常に導き出せる社会が実現できて7合目。そして、「これなら安心して社会を子供たちに託せる」とステークホルダー全員に思ってもらえる仕組みができて、ようやく10合目だと考えます。ミッションの達成に向けて、これからも着実に歩みを進めていきたいです。
エネクラウド株式会社
代表取締役社長
田嶋義輝
1981年神奈川県生まれ。獨協大学卒業後、大手上場企業に入社し、2019年にエネクラウドの前身・日本電気サービスに代表として就任。同社にて電気削減クラウドの提供を開始。現在、ミッション「すべての企業の競争力を高め豊かな社会を実現する」を掲げ、電気料金に関するさまざまなソリューションを提供している。
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