2022.12.22

福祉分野で日本を救う“ヒーロー”に

2011年の創業以来、医療・介護・障がい福祉 ・保育事業を展開し、1100人以上の社員を抱えるまでに成長させたドットラインの垣本祐作代表取締役は、幼い頃からヒーローに憧れていたという。「福祉はこの世で一番かっこいい仕事」といい、福祉分野で“日本を救うヒーロー”を目指す垣本代表に思いを聞いた。

「2025年問題」に衝撃受ける

幼少期からテレビで見たアンパンマンやウルトラマンのようなヒーローに強い憧れを持っており、私にとってのヒーロー像は「人が困っている時に駆けつけ、すぐに問題解決する人」でした。“ヒーロー”のような人間になることが私の人生の目標でもあり、それが創業の根源です。

高校時代には坂本龍馬に憧れ、次第に起業家として日本を救うヒーローになりたいという夢を抱くようになりました。そして、受験勉強で2025年に団塊の世代が75歳の後期高齢者になる「2025年問題」を知りました。国民の4人に1人が後期高齢者という超高齢化社会を迎え、社会保障費の増大や雇用、医療、福祉など社会に大きな影響を与える可能性があります。この課題は世界で類を見ないことであると知り、衝撃を受けたと同時に、この課題を解決できれば日本を救うヒーローになれるのではないかと考え、社会福祉系の大学に進学しました。

しかし、実習などで体験した福祉の現場の環境は、私の理想とはかけ離れたものでした。現場に経営感覚がないことが原因だと考え、それを学ぶために卒業後は大手人材会社に就職しました。多くの経営者の方々に会う機会があり、大企業経営の基礎を学ぶなど、とても勉強になりましたが、大企業の体質が肌に合わず、すぐに退職を決意しました。

祖母の死をきっかけに介護事業へ

起業家としてヒーローのような人間になろうと思い、「起業するためにはどうすれば良いか?」と考えました。まず起業資金を作るのが先決だと考え、高収入が見込めるボートレーサーを目指しました。すぐに行動し、試験対策をした結果、3カ月の対策で合格率わずか2%のボートレーサー試験に1回で合格しました。しかし、実際にボートレースの世界に入ってみると、私のプラン通りには稼げないことが分かり、選手にはならず、ボートレーサー試験合格の経験を生かしてボートレーサー試験予備校を立ち上げました。事業は成功し、その後インターネットマーケティングを活用したIT事業も立ち上げ、順調に成長し、資金面では安定しましたが、どの事業も本来やりたいことではありません。「いつまで今のビジネスを続けていくべきか」という思いを常に抱えていました。

悶々 とした日々を過ごす中、祖母が倒れ、寝たきりの要介護状態になり、在宅で最期まで過ごしたい祖母の希望を叶えることができずに、施設で亡くなりました。。祖母の死をきっかけに、もう一度自分の人生を考え直した時に湧き上がってきたのが、「人が本当に困っている時に助けるヒーローになりたい」という幼少期や学生時代の思いでした。初心に返って社会問題を解決する事業をしようと、2014年12月、29歳の時に、介護事業「ドットライン(DOT LINE)」を立ち上げました。社名にはこれまでの人生にちりばめられていた自分の気持ちや経験という「点(ドット)」が、「線(ライン)」としてつながったという思いを込めています。

「命のインフラ」福祉が一番かっこいい

要介護者支援の課題点の一つが、縦割り行政のために自宅に住む利用者が必要なサービスが医療や介護など複数の分野にまたがる場合、サービスをスムーズに提供できないことでした。当社ではITツールを活用して、在宅医療から介護、生活支援まで24時間365日ワンストップの在宅サービスを実現し、この課題を解決しています。また、これにより働く専門職が記録や連絡に時間を割くことなく、効率的に仕事に専念できるようになりました。同時に残業も減り、職員のワークライフバランスも格段に向上しています。

福祉や介護は、いわば「命のインフラ」として、社会に必要不可欠な仕事です。当社の目標は医療福祉分野で世界をリードする企業へと成長することですが、中期目標を「PROJECT10」と呼び、「令和“10”年12月までに社員数1万人を達成(“10”thousand HERO)」と「“10”億規模の経営者を100人創出」を目指しています。

また、困っている人にとって、命の問題に直結しているのが「孤独」と「お金」の問題です。今後は、この二つからの解放を目指し、当社の地域ドミナント戦略の優位性を活かし、ローカルメディアや最新のテクノロジーの技術を活用して、お互いが助け合う新しいコミュニティーとカルチャーをつくりたいと考えています。自分や大切な人の命や生活が危機にさらされている時、人は不幸だと感じるのだと思います。そうした状況に置かれた人を救うのが福祉の役割だと思います。幼い頃からヒーローに憧れていた私にとって、福祉はこの世で一番かっこいい仕事だと思います。

株式会社ドットライン

代表取締役

1985年、千葉県出身。日本社会事業大学社会福祉学部卒業後、パソナグループのベネフィットワンに入社。2009年、ボートレーサー試験予備校を設立。2011年、株式会社ドットラインを創業し、2014年から医療福祉事業に乗り出し、医療福祉分野で世界をリードする企業を目指している。

https://www.dotline-jp.com/