2023.02.13

環境と人に優しい「水」で洗う技術で持続可能な社会を

 新型コロナウイルスの感染拡大で 消毒手段としてアルコールと同様に新たな選択肢として注目された強アルカリイオン水(電解水)。20年前から強アルカリイオン水のポテンシャルに着目し、環境と人に優しい洗浄・除菌事業を実現してきたのが、千葉県船橋市に本社を持つEプランだ。松澤竜輔専務取締役に、持続可能な社会を構築するために行っている事業について聞いた。

研究者の情熱によって生まれた会社

20年前に強アルカリイオン水の生成装置メーカーとして創業しました。この強アルカリイオン水を弊社では「スーパーアルカリイオン水」と称して市場への普及に努めて参りました。スーパーアルカリイオン水とは、弊社独自の技術により水を電気分解することで作られる強アルカリ性電解水の登録商標名です。洗浄水、除菌水として他方面で使用されています。

近年特に注目されているのが、洗浄水としての活用です。生成方法や水の性質は各種メーカーによって異なりますが、洗剤を使用せずに洗浄力を発揮できるという点が共通しています。人にも環境にも優しい洗浄方法として、多くの分野で導入が進んでいるのが、このスーパーアルカリイオン水です。

父松澤民男は、創業前に研究者として自動車整備機械や部品洗浄機、洗車機などの設計に携わっていました。当時は環境負荷や人への安全性が今ほど考慮されておらず、労働災害もよく起きていた時代でした。

しかし京都議定書が発効され、環境や人への影響に目を向けていこうという流れも少しずつ生まれてきた中で、安全性が高く環境と人に優しい洗浄を実現しなければ、地球も産業も存続できないという危機感を父は抱いたそうです。化学物質を使わずに洗浄する方法を生み出すことを残りの研究人生のテーマに掲げて研究を続け、勤務先を57歳で退社し、2002年に創業しました

スーパーアルカリイオン水「e-WASH」を開発

従来製造業における原材料の洗浄や、金属加工部品・製造設備洗浄に使用されてきた化学物質を用いた強アルカリの溶剤は非常に洗浄力が高いものでしたが、刺激が強く、扱いに気を付けなければ火傷をしたり、排水すると河川にも影響が出たりするものでもありました。

そこで洗浄力はそのままに人への刺激も無く、環境にも優しい新しい形の強アルカリ水を生み出すことを弊社の目標に掲げました。研究を重ねて基礎技術を積み上げ、独自の電解技術で、無刺激、無臭、環境負荷ゼロの強アルカリ電解水を完成しました。成分の99.9%が純水で人体や環境に有害な物質を含まず、合成洗剤と同等、またはそれ以上の洗浄効果を発揮します。

当初は理解や賛同を得られるまでに時間を要しましたが、国内を代表する大手自動車メーカーでの採用をきっかけに、自動車製造関連業界、産業機器メーカー、食品加工会社など多くの大手企業が洗浄や除菌で導入しています。

ケミカル製品である合成界面活性剤の使用ゼロを通じた環境配慮も変更の目的の一つです。赤ちゃんのいるご家庭では、赤ちゃんが触れる全てのもの、おしゃぶりやおもちゃ、肌着などの洗浄にも利用できます。また、掃除をする際に化学物質の入った洗剤を体質的に使うことができない方や、ペットを飼っている方が安心して家中の掃除に使用できると喜ばれています。

気兼ねなく「e-WASH」を使用できるサブスクを販売

弊社は元々スーパーアルカリイオン水を生成する設備機器装置を工業や食品工場などの製造現場に提供することを大きな軸の仕事としてきましたが、今では一般のご家庭の生活の中まで広がっています。生み出しているものは変わっていないのですが、時代のニーズに合わせて、より気軽に、多くのシーンで使っていただけるようにしようと、サブスクリプションモデルを導入しました。

地域の協力事業者のところでスーパーアルカリイオン水を生成する設備機器装置を設置し、お客様がボトルを持参して汲みに来たり、家庭に配達したりするサービスです。ボトルで小売りされているものよりも低コストで、プラスチック容器やボトルの廃棄も減るので環境に優しいサービスです。当面は東京23区や神奈川・千葉、大阪、愛知、福岡などのエリアを対象にスタートし、初年度100社のパートナー企業の獲得を目指しています。

環境と経済活動、この二つを調和させて持続的な社会を目指すというテーマは、100年かかっても必ず実現しなければならない使命であると認識しています。そのためにこの先もぶれずに進んでいくつもりです。

株式会社Eプラン

専務取締役

1976年生まれ、千葉県出身。自動車部品系の商社勤務などを経て、父が創業した株式会社Eプランに入社。2022年から現職。

https://www.eplan.co.jp/