コスメの購買市場は年々ECでの売上規模を拡大しており、それと比例するように質の高い中小メーカーの参入も増え続けているとのこと。コロナ禍における巣ごもり需要もそれに拍車をかけてきた背景もあったようです。

筆者も日常的に様々なサイトでコスメ情報はチェックしていますし、実際にポチっと買うことはよくあります。「試したことはないけど良さそうだな」とか、「できれば手に取ってみたいコスメ」は山ほどあるのです。

しかし、ECブランドには知る人ぞ知る名品が数多くあるものの、ネット上の情報では薬機法による表現の縛りや虚偽広告の多さから、ユーザーが商品の真価を判断できないというネガティブな要素もありました。それがメーカー側のネックにもなっていたようです。

とはいえ、どんなに質の高いコスメ商品を開発できても、ECでは真価を伝えきれず、かといって実店舗をオープンするには固定費が重くのしかかってしまう。中小やスタートアップのメーカーにとっては、そうした費用の捻出はなかなか高いハードルと言えるでしょう。それがECコスメ市場の現実でもありました。

そこで立ち上がったのが、「誰もがチャレンジできる世界を創る」をミッションに掲げ、名古屋や東京を拠点にSaaSサービス事業を展開してきた株式会社N2i。

過去複数回にわたりPOPUPを繰り返す中で、気に入ったコスメは継続して使いたい、店舗に繰り返し行って販売員に相談したいという声が多く集まり、常設店のOPENを決定。今後、全国に店舗を拡大する計画中とのこと。コスメ業界に新たな風を送り込む事業者として、業界内外からも多くの期待を集めてきました。

そしてこの度、2023年4月1日より、ECブランドなどの新しいコンセプトのコスメがぜんぶ試せるお店「YOUITS（ユイツ）by my GAKUYA」を名古屋にオープンすることになったというわけです。

しかし、EC市場がこれだけ拡大する中、実店舗のオープンに踏み切るというのは、なかなか挑戦的な取り組みだなと筆者は思います。

例えばその一つが、EC市場における現状の課題を克服すること。先にも述べたように、EC上で商品の真価を判断するのは難しい側面もあるため、それらを実際に店頭で体験してもらうことで、エンドユーザーの“知る機会”をつくり、「EC市場で埋もれてしまっていた真価を改めて認知してもらった上で購買に繋げていく」という狙いがあるようです。なので、店舗で取り扱っている商品はぜんぶ試せるというのが大きなポイントです。

そんな「YOUITS（ユイツ）by my GAKUYA」ですが、お店のコンセプトはジェンダーレスコスメを中心とした新しいコスメが「ぜんぶ試せるお店」。今やコスメは女性のみならず男性にも注目される市場ですから、性差に関係なく質の高いコスメを気軽に体験してもらえるよう、性別や年齢に偏らないジェンダーレスなコスメを中心に取り扱っていることが大きな特徴でもあります。

最終的には月間150ブランドを展開する予定で、ブランド側は棚や机などサブスク型で出店できるという仕組み。これまで実店舗での売上や認知を諦めていたメーカにとっては、なんとも嬉しい試みではないでしょうか。

「YOUITS（ユイツ）by my GAKUYA」。今後は名古屋以外の各地域でも目にできる日が来るかもしれません。

コスメ業界全体の挑戦を活発化させることで、最終的には私たちエンドユーザーの願いを叶えてくれるという、非常に革新的な取り組みでもあるように感じました。