2022.07.13

日本の宝「国宝・重要文化財」とは?

国内各地に存在する「国宝・重要文化財」。指定対象は絵画・彫刻から寺社・仏閣まで幅広い。修学旅行などで目にした方、訪れた経験を持つ方も多いだろう。だが、そもそも、国宝や重要文化財、とはどのような物なのだろうか。現在の文化財保護法が生まれたきっかけは、実は有名な文化財の消失が原因だ。法律では、文化財保護のため、国や所有者の役割のほか、罰則も規定している。法律の制定から管理、課題点まで国宝・重要文化財の現状についてお伝えする。

国宝・重要文化財とは

重要文化財とは文化財保護法に基づき指定されたものだ。「文化財」には「有形文化財」「無形文化財」「民俗文化財」「記念物(史跡・名勝・天然記念物)」「文化的景観」「伝統的建造物群」の6つのカテゴリーがある。そのうち、有形文化財の建造物や絵画・彫刻等の美術工芸品から、重要なものを指定したものが「重要文化財」である。更に、世界的な見地からも価値が高く国民の宝といえるものを指定したのが「国宝」だ。2022年3月現在、国内には建造物も含め、国宝1,131件、重要文化財13,352件が登録されている。

金閣寺の炎上がきっかけに

文化財保護法の制定は1950年。きっかけは前年に起こった法隆寺金堂(金閣寺)の炎上・消失がきっかけだ。この出来事を機に文化財保護の機運が高まり、翌年には議員立法で法律が制定された。文化財保護法では、国の役割として「重要な文化財の指定・選定・登録」のほか、「所有者に対する修理等に関する指示・命令等」を可能としている。また、国宝・重要文化財の修理についても言及。「修理・公開等への補助・税制優遇措置」なども国の役割の一つとしており、国庫からの補助で計画的に修理を行うほか、保存・防災のための施設・設備等の補修も行っている。

民間での所有が大多数

文化財の所有者や管理団体には宗教法人や個人が多い。文化庁が公開した2017年の数字では、重要文化財建造物2,465件のうち所有者は宗教法人1,628件(66%)法人189件(7.6%)個人233件(9.4%)。重要文化財美術工芸品では10,654件のうち、宗教法人6,055件(56.8%)法人1,078件(10.1%)個人702件(6.5%)となっている。国の所有は重要文化財建造物で46件(1.8%)、重要文化財美術工芸品で1,531件(14.3%)と全体に占める割合は高くない。

文化財保護法では、所有者の役割として、「所有者の変更・毀損・所在変更等が生じた場合の届け出」や「文化財の管理・修理・公開」を定めており、文化財の損壊・き損、無許可の現状変更や輸出などを行った場合には罰金・懲役・禁固といった罰則の対象となる。国に対する売渡の申出が可能としており、国では、申出があった場合など、必要に応じて買い取りも行っている。

文化財管理の難しさ

金閣寺の炎上・紛失をきっかけに保護制度の整備が進んだわけだが、実際の管理や保存は難しい面もあるようだ。2018年には国や都道府県が文化財に指定した美術工芸品298件の所在が不明、という報道がなされた。売却などの際に届けられない、所有者の死去や転居といったことが理由とされている。また、行政機関に盗難被害が届けられた数も115件にのぼり、そのうち半数は行方不明になっているという。

文化財保護法では、所有者は売買や移動・相続の際に国へ届け出ることが義務付けられているが、実際は規定を知らず寺院の運営費をまかなうため手放した事例もあったという。こうした事態を受け、文化庁では全数調査を実施。所在不明になっている国指定文化財(美術工芸品)147件のリストを公開している。

保護への更なる仕組みづくりが必要

文化庁では毎年、東京国立博物館で「新指定国宝・重要文化財展」を開催している。この取組みは、新たに国宝・重要文化財として指定されることになった美術工芸品を、広く国民に鑑賞してもらうことが目的だ。また、適切な公開を行うため「国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項」を策定し、取り扱い方法の周知を行うとともに、時代に合わせ取り扱い方法の改訂を行っている。文化財は国や国民の宝といえるもの、散逸を防ぐために、データベースの整備やAI技術の活用など新たな対策が求められている。

転載元:Qualitas(クオリタス)