2022.03.31

実践英語力を付けた国際人育成を ジャイロスコープ・桂次郎代表取締役

楽しさと実践性を追求した英語体験プログラムと海外での実践的な活動を行う短期留学制度を提供している「ジャイロスコープ」。「英語教育は楽しむことが大切」と語る桂次郎代表取締役に国際人の育成について聞いた。

座学はなく、苦手意識をなくす

社名は、私の下の名前の「次郎」から取ったもので、会社員時代に米国出張した際、仕事で付き合いのあった米国人が、何度正しても「次郎」を「ジャイロ」と呼ぶんです。社名を決めるときに、初めは「Jiro’s Corp」にしようと思ったのですが、「Gyroscorp(ジャイロスコープ)」の方がかっこいいと思い、「遠心力と求心力のバランスで」なんて高尚なものではなく、ただのおやじギャグです。

ジャイロスコープでは、「Fun First!」をモットーに、主に中高生を対象とした英語プログラムを提供しています。いわゆる「英語教育をする」というつもりはなく、座学やレッスンはありません。ネイティブスピーカーと英語で話しながら、楽しく遊ぶことで生徒たちの心がほぐれ、英語への苦手意識を減らすことができるからです。看板プログラムの「街頭英語」では、参加した生徒の英語力だけでなく、社交性も評価します。それによって、普段学校の英語の授業では評価されないような子が表彰を受けることもあります。それが英語を学ぶうえで普通の子のモチベーションにつながるのです。

父親の転勤の都合で、小学5、6年生のときにニューヨークに住んでいました。日本にいたときは日本人と外国人はまったく別のように感じていたのですが、実際に接してみると同じ人間なのだということに気づきました。英語を話すのが下手でも、話す相手に親しみを覚えることが大切だと感じたものです。日本に帰国して英語教育は怖いと感じました。教師が英語の文法を怒鳴って叩き込んでいるのです。そんな恐怖心を持った生徒が国際人になれるわけがない。そういった原体験が、今の事業につながっていると思います。

懸賞論文をきっかけに起業

会社員だったときに海外畑を歩いており、オーストラリアや米国の現地法人の社長や上級副社長などを務めていました。そこで感じたのは、日本人には国際人と呼べる人が少ないことです。日本製品の品質自体は良いため製品は売れます。しかし、実践的な英語力が不足しているため、友達のような気さくな関係にはなれず、クライアントの発言の真意が理解できなかったり、急なリクエストに応えられなかったり、ということがありました。しかも自分で判断できないため、日本に問い合わせをしているうちに、他国の営業マンに入られてしまう。実践英語力がないことで、機会を損失してしまうのです。

外国人に苦手意識を持たないような文化を作りたい。そう考えていたときに、社内の後輩から勧められて、懸賞論文を執筆しました。それは、出島のようなイメージで、「日本に英語を公用語とする離島を作る」という内容です。東洋経済新報社の高橋亀吉記念賞に応募したところ、幸い優秀作を頂くことができました。それをきっかけに、社外のたくさんの人たちと知り合うことができました。そして、論文で書いたような世界を実現し、日本の国際競争力を高めたいと思うようになりました。それがちょうどエイチ・アイ・エスの澤田会長がハウステンボスの経営に乗り出したときで、「ぜひハウステンボスに来てやりませんか」とお誘いを受けました。コンサルタントとして呼ばれたのかと思ったら、私自身が起業をするという意味でした。それでハウステンボスをベースに事業を始めることになったのです。

海外での実践的な活動を体験

今一番力を入れているのが、ALEX(American Life Experience)プログラムです。これは高校生と大学生を対象とする短期留学制度です。他社の短期留学プログラムとの違いは、すべてが海外での実践的な活動であることです。派遣先は、米東海岸のさまざまな非営利団体で、高齢者向けコミュニティーを運営する組織や自主映画祭を主催する組織、海岸の環境を保全する組織など八つの団体から自分に合ったものを選ぶことができます。

ALEX プログラムには、理系の大学生や若手社員を対象にした「Southern Cross Tech」というサブプログラムも併設しています。日本人の若きエンジニアは、技術に関しては非常に優秀ですが、ほとんどの人は英語の意思疎通が苦手です。そうした人が自分の得意技術を生かして、国際対応力を身に付けるプログラムです。オーストラリアのさまざまなスタートアップ企業で技術研修に参加してもらう予定ですが、実証実験として、2022年6月から高専生2人を水中ロボット開発会社に送り出す予定です。

どちらのプログラムでも、現地での英語の座学は行いませんが、英語力が不足している人たちには、出発前に実践英語と国際常識を訓練する仕掛けを用意します。こういった形で、日本で育った人でも国際人になる手伝いをするのが私の使命ですね。

ジャイロスコープ

代表取締役

1952年京都市生まれ。1974年早稲田大学商学部卒。日立製作所入社以降、様々な事業所で主に海外事業に携わり、日立オーストラリア社長、日立アメリカ上級副社長等を歴任。 2009年東洋経済新報社高橋亀吉記念賞優秀作受賞。2010年ジャイロスコープ創業。

https://gyroscorp.jp/