2022.04.07

地域社会と相互に関係を持った介護サービスを 

全国351の拠点、694のサービス事業所(2021年12月末時点)で介護サービスを提供しているユニマット リタイアメント・コミュニティ。「介護のイメージを変えたい」と語る白木優史・未来ビジネス開発部部長は、地域社会と相互に関係を持つサービスを取り入れ、介護サービスのアップデートを図っている。地域の活性化や社会的損失を抑えることまで見据えたサービス内容の詳細を聞いた。

地域社会と双方向の協力を

当社は「そよ風」のブランドで介護事業サービスを展開しています。1つのサービスに特化しておらず、デイサービス、ショートステイ、有料老人ホーム、定期巡回など幅広く提供していることが特徴の1つです。身体の状態やニーズの変化に合わせてサービスを変更する場合でも、利用者の情報を一元管理しているため、スムーズにサービスの移行をしていただけます。

新しい試みの一つとして、地域で活躍するプロスポーツチームと連携をしています。例えば、INAC神戸レオネッサとは選手やトレーナーの皆さんと、当社の理学療法士、看護師、スポーツトレーナーが共同でサッカーの動きを取り入れた機能訓練プログラムを開発しました。また、プロ野球独立リーグの埼玉武蔵ヒートベアーズとは農業に取り組んでいます。選手の皆さんや当社のお客様、スタッフとの交流から、地域社会の活性化にもつなげていきたいと考えています。

介護が必要になる前の段階でのケアも重要だと考えています。現在、男女共に寿命と健康寿命の間におよそ10年の差があります。もし健康寿命を長くできれば、医療費や介護費用を減らすことができると考えられます。「日本の未来のため」と言うと大袈裟ですが、少子高齢化がさらに進み、社会保障制度の将来などを見据えて、いかに健康寿命を寿命に近づけることができるかが大切だと思っています。そのために新しく始めたのが、「マゼラン湘南佐島」の実証事業です。

入居者全員がApple Watchを着用するのは日本初

2021年10月より、健康寿命を延ばすことを目的とした国内ではまだ数少ない健康型有料老人ホームの「マゼラン湘南佐島」(神奈川県横須賀市)では、『健康な人をより健康に』というコンセプトで実証事業を開始しました。施設の目の前に何も遮蔽するものがなく、相模湾が開けているという好立地が特徴です。天気のいい日には富士山や三浦半島を一望することもできます。昨今、自身の健康状態を把握できるようウエアラブルデバイスを用いて毎日の連続したバイタルデータを可視化する取り組みが注目されていますが、一般の人が、可視化したデータを正確に解釈して行動変容につなげ健康管理することは非常にハードルが高いのではないかと考えました。そこで、「マゼラン湘南佐島」では、健康寿命延伸の工夫の1つとして、入居者全員にApple Watchを着用していただき、得られたデータを開発したアプリケーションに集信しています。そして、Apple Watchで取れるデータを医学的な見地から評価できる慶応大学の木村先生に、入居者一人一人の健康情報を分析していただいています。毎月、入居者は木村先生との個別面談をうけることができますので、そこで、自分の健康状態を知り、健康へのアドバイスを教えてもらうことができます。合わせて、施設からも、アドバイスに基づいた食事、運動、社会参加のサービスを提供しています。そのような生活のサイクルを回すことにより、入居者はいつの間にか健康になって、より充実した暮らしをすることができるという仕組みになっています。

今後は、現状のApple Watch等のヘルスケアデータに加え、生活に関するデータ集信と分析を継続していくことで、、認知症やフレイルになってしまったときに、その要因を探ることができる可能性があります。。そしてその解析ができれば、そうならないための予防もできるかもしれません。

また、一般客も利用できるレストランやフィットネスなどの施設も充実させています。社会活動や多世代の地域の方との交流がフレイル予防につながる可能性があるため、地域にとっても身近で利用しやすいコミュニティの場でありたいと考えています。

社会的損失を減らすためにも、介護を自分事化してほしい

もし介護が必要になった場合、となりの葉山町にある「交欒(マゼラン)葉山一色」にご案内することも可能ですし、ご自身が住み慣れた街に戻られる場合でも、その地域で当社の介護サービスを受けていただくという提案が可能です。それにより、お客様の健康等の情報を施設間で申し送りでき、お客様もスムーズにご利用を継続していただけます。

当社の提供するサービスはどれも価値があると自負していますが、認知度を高めていくことが今後の課題です。介護は当事者にならないと実感が湧きませんが、急にやってくるものです。日本では介護離職者が年間約10万人に上ります。彼らが経済基盤を失うだけでなく、企業は人材を失うことになり、社会にとっても大きな損失です。それを防ぐためにも、私たちのような専門家がいます。利用するためには事前にある程度の情報を収集し、自分事化する必要があります。いつかくるときのために、多くの方に当社のサービスを知っていただきたいと思っています。

ユニマット リタイアメント・コミュニティ

未来ビジネス開発部部長

2018年ユニマット リタイアメント・コミュニティ入社。主に新規事業開発を担当し、2019年、介護保険サービスと保険外サービスを同時一体的に提供する 「wellbista care studio」を開発、2025年までに全国で20店舗以上の展開を予定。さらに現在は未来ビジネス開発部で複数の事業開発を推進中。

https://www.unimat-rc.co.jp/