2022.06.22

地域のニーズに応え「優しい医療」を提供。

埼玉県富士見市の地域密着型クリニック「みずほ台サンクリニック」は、石橋彩里理事長の肝入りで、「障害者歯科」や「点滴療法外来」など、患者の新たなニーズに応える診療科目を新設し、人気となっている。石橋理事長に新たな挑戦の目指すものを聞いた。

先代の遺志を継ぎながら新たな領域も

前理事長の父、石橋修が亡くなったとき、歯科大卒業後、麻酔科を専攻してきた私が、内科・外科、透析がメーンのクリニックをどう受け継いでいけばいいのか非常に悩みました。前理事長はカリスマ的人気がある医師で、今でも私が娘であると知ると、「先生のお嬢さんですか」と涙を流される方もいます。父が築いてきた信頼を受け継ぎ、他の医師やスタッフと連携しながら、そのときできるベストを精いっぱいやっていこうと決意を固めました。

併設の透析センターでは、午前6時半から午後10時まで、透析開始時間を自由に選べ、生活スタイルに合わせて、待ち時間なくスムーズに透析治療を受けられます。また、前理事長が外科医でしたので、簡単な手術ができるよう設備も整えています。後を継いでからは、従来の診療科目に加えて、時代の新たなニーズに合わせた診療にも取り組むため、病気の予防やアンチエイジングを目的としたプラセンタ療法や点滴療法外来、栄養療法、美容皮膚科領域まで幅を広げました。

予防医療やアンチエイジング、美容皮膚科は注目されている分野ですが、どうしても初めは敷居が高いイメージがあります。そこで30年以上地域密着で診療を行ってきた当院だからこそ、その壁を取っ払い誰でも気軽に治療が受けられるようにと始めました。

障害者にも歯科を身近に

障害者歯科も町のクリニックでは珍しい診療科目の一つです。元々麻酔科を専攻していたので、障害者施設にもよく行っていました。健康な生活を送る上で歯はとても大切なので、治療はどうしても必要ですが、じっと座って治療を受けることが難しい方もいて、その場合全身麻酔をして、肉体的、精神的にストレスがない状態で歯科医が一気に治療を行います。ただ、障害者が歯科治療を受けられる施設が非常に少なく、半年待ちという場合も珍しくありません。待っている間にも、症状は進行してしまいます。

こうした状況に何度も直面しました。当院にはオペ室もあり、医師も看護師も在籍しているので、障害者歯科を開設しました。これまで障害者歯科で治療を受ける場合、障害者をサポートする施設に相談し、そこから紹介を受けて行く場合が多かったのですが、当院ではもっと身近に治療を受けられるように体制を整えているので、多くの方に知ってもらい、利用してもらいたいと思います。

スタッフの支えでより良い医療を

コロナ禍真っ只中の2020年4月、なかなか手を挙げる医療機関が少ない中で、当院ではいち早く発熱外来を設置しました。透析患者もいますので、反対の声を上げるスタッフもいたのですが、発熱外来を院外に設けることで、発熱がある患者はそこで検査を受けられるようにし、院内をクリーンに保ちながら、診療を行いました。今もコロナ陽性になった方の経過観察業務や後遺症外来などを含めたコロナ対応を継続しています。地域の方々が今必要としていることに応えるべく、日々取り組んでいます。そして当院の原点は透析治療ですので、他の大学病院の医師と連携しながら、透析患者の受け入れをしっかりできるように努めていきます。

患者を大切にするのは言うまでもありませんが、スタッフのことを一番大切に考えています。病院を維持するのが非常に大変だと実感していて、それはスタッフの支えがあるからこそできることであり、その支えがあるからこそ患者にもより良い医療を提供できると考えています。

父は真心を込めて患者に接するということを大切にし、「優しい医療」と常に言っていました。その心を受け継いで、スタッフと共に地域の方に優しく寄り添い、喜んでいただける医療を追求していきます。

医療法人社団光陽会 みずほ台サンクリニック

理事長

日本歯科大学卒業後、同大学附属病院で研修医修了。同大大学院歯科麻酔学講座から東京西徳洲会病院麻酔科に出向。杏林大学医学部麻酔科専攻科で全身麻酔、医科麻酔を学ぶ。2018年、医療法人社団光陽会みずほ台サンクリニックの理事長に就任。

https://sunclinic.or.jp/