2022.07.27
地域のかかりつけ医としてのリウマチ医を
埼玉県川口市で午前6時半から開院しているかねこ内科リウマチ科クリニックには、リウマチ専門医による手厚い治療が受けられると、日々多くの患者が訪れている。金子元英院長は「大学病院のような大きな病院でなくとも、地域のクリニックでこれだけの治療を行っていると伝えたい」と語る、患者のためとなるより良い治療法を模索し、日々更新しているという金子院長に医療に懸ける思いを聞いた。

リウマチを総合的に診る
皆さんは、人が一番病院に行こうと思うタイミングはいつだと思いますか?
それは「痛い」と感じたときなのです。だるさや苦しさというのは、「じっとしていれば大丈夫かもしれない」という希望を持てるのですが、痛みは、じっとしていても耐えがたく、少し収まったとしても動き始めると、また痛むものなのです。
当クリニックは、リウマチや膠原病、全身性疾患を中心に、一般内科全てを網羅して診療しています。リウマチ患者にとっては、「リウマチ=痛み」であり、痛みがあってつらいときには、ここで相談してください、という思いを込めてクリニック名に「リウマチ」を入れています。また、他の整形外科で痛みが取れない場合や、皮膚科でかゆみが収まらないというリウマチ患者も多く、当クリニックでは、内科がありますので、総合的な診療が可能です。
現在の患者数は約2500人で、そのうちリウマチは約900人、糖尿病は約500人です。臨床での経験豊富な医師・スタッフが在籍し、高度医療機器を設置するなど、盤石なサポート体制を整え、患者があちこちの病院に行かなくて済むようにしています。

患者の「心」を大切に
私の座右の銘は「心こそ大切なれ」というものです。病院というのは、精神科を除き、どうしても心のあり方がなおざりにされている気がします。大切なのは患者の価値観を理解し、受け入れることです。そして患者が理解しやすいように話し方を変えたり、分かりやすい例え話をしたりするなど、コミュニケーションを非常に大切にしています。
来院するまでにこういう病気じゃないかといろいろと思い詰めていたり、「どうしましたか?」と聞いても「問診表に書いてある通り」と話したがらなかったりする方もいます。緊張があるのであれば、体のどこが痛いとかつらいとか、相談しやすいようにリラックスできる雰囲気にしてあげます。すると次第に緊張が解けて、「この病気だと思い込んでいたけれど、違うのか」と気付いたり、治療に前向きになってくれたりするようになります。そこで、患者の意思を最優先に、現在の状態を見ながら、その都度治療の過程を調整したり変更したりしながら、治癒に向けた道しるべを作っていくことが私たちの役割です。
開院は午前6時半ですが、それでも毎日非常に混んでいて1日150人を診療することが常です。そんな状況でも、コミュニケーションを取って来院しやすい時間に診療時間を調整しています。

専門的なリウマチ治療をより身近に
リウマチはかつて進行を止めるのが難しく、寝たきりになるものやむを得ない病気でしたが、整形外科医師の不断の努力により、リウマチ治療はここ20年で飛躍的な進化を遂げました。リウマチが整形外科から内科に領域がかわったので、JAK阻害薬やメトトレキサートといった免疫抑制剤による治療の副作用や有害事象も内科的にコントロールしています。
ただ、需要の割に、リウマチの専門医はまだ少なく、リウマチ内科も少ない状況にあります。リウマチで苦しんでいるのに、専門的な治療にたどり着けない患者が大勢いますし、たどり着けたとしても、そこが大学病院や地域の中枢病院で、なかなか予約が取れないという状況にあります。リウマチ患者も年齢を重ねると体の機能が低下し、通院が大変になってきてしまいます。そこで地域のかかりつけ医としてのリウマチ医が必要になってきます。リウマチは全身疾患なので、痛みや発熱、嘔吐(おうと)など、症状が出たらまず相談してください、といえる医師の存在が必要です。
当クリニックでは、大学病院や中枢病院に負けないクオリティーを保とうという使命感を持って日々治療を行っています。私自身、サイトやさまざまなフォーラムなどを通して、より多くの医師が、一人の医師として自立した役割を担い、地域の患者に真に向き合って治療を行ってほしいとと伝えています。
かねこ内科リウマチ科クリニック
院長
金子元英
1966年埼玉県生まれ。川崎医科大学卒業後、日本大学板橋病院内科入局。川口市医療センター、さいたま市三愛病院を経て、2004年、川口市にかねこ内科リウマチ科クリニックを開業。リウマチ専門医としてだけでなく、地域のかかりつけ医として活躍している。
https://www.kaneko-cl.net/