2022.08.08

吉田カバンのブランドイメージを守るために。

2020年で創業85 周年を迎えた吉田カバンこと株式会社吉田。創業当時からのこだわり、日本製で高品質というブランドイメージを守るため、模倣品対策を行うIP FORWARDのオンラインモニタリングサービスを導入する同社。模倣品対策室のシニアマネージャーを務める原口直久氏に、サービス導入の背景や効果などについて話を伺った。

模倣品の主流は中国のEC サイト

当社の商品はすべて日本国内で生産しています。日本全国にいる職人さん、一人ひとりの技術を活かした高品質な製品を提供すること。創業以来、メイドインジャパンにこだわり続けてきました。お客さまから「日本製だから安心。長く使える」という言葉をいただくのが一番嬉しいことです。

そんな私たちのこだわりが詰まった製品の模倣品が出始めたのは、90年代から。当時は人気シリーズのデッドコピーが、フリーマーケットなどに多く出回っていました。時代によって移り変わりもありましたが、現在は中国のECサイトが主流です。当社は中国に正規の流通ルートを持っていません。当社の正規品がないという状態のなかで作られた模倣品は、もはやデッドコピーとも言えないような製品。全く関係のないデザインに当社の「ポーター」の織ネーム(タグ)が付いているものが増えているという現状です。残念ながら中国のマーケットで売られている模倣品を購入しているのは、現地の方より日本人の方が多い。

以前、大きな模倣品工場の摘発があったのですが、その工場があったのは日本人の駐在員の方が多く住んでいるエリアでした。当社の製品タグが付いているから本物だと信じて手にしてしまった。そういったお客さまを保護するという意味も含めて、模倣品対策にはより力を入れていかなくてはと考えています。

トライアル期間から効果を実感

当社で模倣品対策室が立ち上がったのは2019年のこと。それまではカスタマーセンターという部署のなかで、税関の対策や会合の出席、他社との合同摘発などを行っていました。そうして積み上げてきたものが実を結び、専門の対策室になったという背景があります。当社ではIP FORWARDのオンラインモニタリングサービスを導入していますが、ちょうどそのタイミングと重なりました。それまで中国のECサイト対策もカスタマーセンターで、私と数人のスタッフが手作業でリストアップしていたのですが、EC サイト上で模倣品の削除依頼をしても、その先がない。どうしたらいいんだろうと行き詰まっていたときに、IP FORWARD側からお話をいただき、まずは半年間のトライアル期間(単発契約)から開始いたしました。

そのトライアル期間で一定以上の効果があり、正式導入となりましたが、IP FORWARD の頼もしいところは、当社の製品やブランドの特徴を理解してくれていることはもちろん、こちらからの要望に対してのリターンが早いこと。当社の製品は常時2,000 アイテムほどあり、真贋の見分けが難しいのですが、最初にお願いしたポイントは絶対に逃さないこと。実際に当社が模倣品として一度チェックしたものは次回以降、必ず削除の対象に入っています。また、製品へのリンク削除だけでなく、その先のほかのECサイトに流れているのか、実店舗があるのか。そういった総合的な対応も増やしてほしいという当社の要望にも応えていただいています。

精度の高さと対応力の頼もしさ

実際に、中国の大手EC サイト上で表示される当社の製品は、これまで80%が模倣品でしたが、現在11%ほどまでに減ってきています。問題のある製品への正確さ、精度の高さ、要望へのスピード感。逆に、こちらでは存在すら分からないようなサイトや削除方法が不透明なものにも、どんどんチャレンジしていただけているのですごく頼もしさを感じています。それがすべて年間契約のなかでの提案というのもクリアですし、担当としてはストレスフリー。それもトライアルから正式導入に至った理由です。

また、IP FORWARD では実際の被害額を目に見える数字で出していただけるのも特長です。当社でも「模倣品が登場するのは知名度のあるブランドの宿命」「EC サイトから模倣品を削除していっても際限がないのでは?」という声を聞くことがあります。そういった声に対しては、具体的な数字を提示することで模倣品対策がいかに必要かということを分かってもらいやすく、予算を対策費にまわせるという社内的なメリットも感じています。

オンラインからオフラインに繋がる模倣品対策を

職人技にこだわった国産品という当社のポリシーを今後も守っていくために、IP FORWARD は大切なパートナーです。最終的に法的措置を取るのは行政機関ですが、その一歩前まで付き合っていただける。フットワークが軽いところも魅力です。今後は、オンラインでの情報を解析してのラーニング、さらなる効率化に加え、そこからオフラインへ。実店舗や工場の摘発に繋げられるように、というのが我々の課題だと考えています。そのためにも、積極的に当社からも情報を共有していきたいですし、さらなるサービスの拡充を期待しています。

株式会社吉田

法務本部 模倣品対策室 シニアマネージャー

https://www.yoshidakaban.com/