2022.05.24

創業130余年の蓄積で、アウトドアの難関「火起こし」に挑戦 

神戸市灘区を拠点に繊維事業やブロー成型事業を展開している小泉製麻。今回新しくリリースしたのは、アウトドアを楽しむ際に初心者でも手軽に火起こしが可能になる、自然素材「黄麻」を使用した着火材「Firefly JUTE」だ。考案者の増田修一さんに開発への思いを聞いた。

自然素材「黄麻」を使用した着火材「Firefly JUTE」

時代のニーズに応じた商品開発

弊社は1890年に黄麻(ジュート)紡績で創業し、そこで培った紡績技術と知識が現在の化成品の製造・販売に引き継がれています。事業分野は輸送梱包分野・農業分野・土木分野・緑化分野と多岐に渡ります。幅広いシチュエーションで使用できる、業務用液体容器「バロンボックス」や創業当時から培ってきた織物技術を活かした防草シートなど、時代と共に変化するお客様のニーズに応じて、弊社の技術力を活かした商品開発、製造販売を行ってきました。創業から130余年積み上げてきた伝統を土台に、顧客満足を高めるための提案やアイデアを歓迎する自由闊達な風土が社内にあり、新しい挑戦によって社会課題の解決に取り組み、ステークホルダーから信頼される会社を目指しています。

また、環境方針「KOIZUMI GREEN POLICY(KGP)」を策定し、環境に配慮した商品・サービスの開発に注力しています。脱炭素社会の実現および海洋プラスチックゴミなどの環境問題の改善に向け、「地球と人に優しいくらしを提供する」という経営理念に基づき、行動を変え、身近なところから社会に貢献するように努めています。

私の所属する物流資材事業部では、織物で作った生地を袋に加工して商品化するなど、物流資材という領域の中で開発業務を行っております。今回、創業当時から続く商品の「黄麻」を使用した天然素材の着火材「Firefly JUTE」を発売しました。実はこの「Firefly JUTE」、アウトドア好きな私の実体験を元に開発をスタートした商品です。

初心者でも火起こしを簡単に

日々の騒がしさから離れて自然に身を任せ、たき火を楽しむ時間は非日常的な空間の中、リラックスができ、解放感を味わえます。炎のゆらぎやパチパチとした音に心が癒され、たき火を眺めるのは私にとって非常に大切なひとときです。

ただ、キャンプ初級者にとって一番ハードルの高い作業が火起こしです。「なかなか炭に火が着かない」「火が安定しない」などキャンプ初心者なら誰でも経験することだと思います。難なく火をおこすことができたらキャンプが盛り上がり、料理やたき火が存分に楽しめます。アウトドアの初心者でも、火起こしが簡単にできるようになり、アウトドアでたき火を楽しんでもらいたいと考えていたときに、弊社の麻商品を使用して、火起こしを楽にする商品を開発しようと決意しました。

麻は1本1本の細い繊維から成り、湿気にも強く油を含んでいるため着火力に優れ、昔からよく火付けに使用されてきました。商品に使用した黄麻は、天然素材で環境に優しく、軽量で圧縮すればコンパクトになり、持ち運びにも便利です。筒状にすることで炎の広がりを抑え、空気を通りやすくして燃焼時間が長くなるように工夫しています。麻商品の加工を得意とする当社ならではの商品で、約半年間かけて開発しました。

ホタルのような小さな光の種火から安定した炎になる様子から商品名は、「Firefly JUTE(ホタルの麻)」と名付けました。火起こしが楽になる「Firefly JUTE」を使用していただき、アウトドア人口の裾野を広げるサポートができたらと考えています。

アウトドア領域の開拓を

「Firefly JUTE」は、神戸の「薪」専門店「CHAMBERS(チェンバーズ)」さんや、大阪のアウトドアショップ「おおさかキャンパル」さんや「楽天」さんのオンラインショップで購入できます。新しい商品の提案が受け入れやすく、開発の後押しをしてもらえる環境がある弊社で、会社の出発点である黄麻を使用した商品ということで、特に思い入れの強い商品です。環境に優しい商品を世の中に送り出していこうという弊社の想いの結晶でもあります。

これまで弊社の商品は産業資材が多く、一般消費者の目になかなか触れる機会がないところで使われてきました。そういった中で、「Firefly JUTE」は弊社初のアウトドア向け商品です。また、天然繊維である麻を使った環境負荷の少ない商品です。当社では麻に限らず、プラスチックでも生分解性のものや、使用量を減らした減プラ、天然由来の素材を使用した開発に注力してきたので、地球にやさしいサステナブルな商品を作ることを通じて、ブランドの確立を目指しています。

「Firefly JUTE」を皮切りに、アウトドアで楽しめる商品ラインナップを充実させていこうと計画しています。織物技術を生かして、アウトドアで活躍する領域をもっと開拓し、拡大させていくことで、多くの皆さまにアウトドアを楽しんでいただけたらと思います。

小泉製麻株式会社

物流資材事業部

1987年広島県生まれ。大学卒業後、小泉製麻株式会社入社。現在は物流資材事業部に所属し、経験や技術を生かしたさまざまな商品に携わる。

https://www.koizumiseima.co.jp/