2022.09.30
「何ができるか」を考え続け、掴んだ今。
パラレルキャリアやデュアルライフ(2拠点生活)に注目が集まっている昨今、これまでの常識にとらわれず、自分自身の生き方を選択できる時代だ。C2C Platform株式会社(以下:C2C社)でCGO(Chief Growth Officer)を務める中林由恵さんは、その肩書き通り、事業のグロース(成長)という大きな責任を背負いながらも生活の拠点は軽井沢においている。日本ではまだ珍しいCGOだが、どのようなキャリアで今に至ったのか、そして現在の働き方を聞いてみた。

成長をキーワードにした20代
私のキャリアのスタートは株式会社リクルートから始まりました。就職活動中にインターンとして参加させて頂いた際、社員の方々が生き生きと働いていたのが印象的で、それぞれ個人のやり方を尊重しながらも「同じゴールに向かってやろう!」というスタイルが、私にはとてもしっくりきました。また当時のリクルートは「リクルートを使え」というキャッチコピーがあり、どんどん卒業して、独立を推奨していたんですね。「いつかは自分で事業をやりたい」と学生の時から思っていたので、リクルートで実践的な経験を積みたいと考えていました。
結果としてリクルートで7年半働きました。不動産領域で広告営業を経て、SUUMOブランドの立ち上げからプロモーション、ブランドマネジメント、データマーケティングなどに携わり、20代のほぼ全てをリクルートで過ごしたことになります。出来なかったことが出来るようになるという成長実感はあったものの、入社当初に思い描いていた独立は果たせないまま30代に差し掛かり「この先、私は何をしていきたいんだっけ?」と考えるようになりました。「成長」をキーワードに仕事をしてきたのですが、自分がどこに向かっているのか、本当に成し遂げたいことは何なのかが分からなくなってきました。
ちょうどその頃、会社が上場するフェーズになり、業務が細分化され、個人の裁量の幅が限定されるように感じてきたんです。小さなひとつの歯車として働くより、0から10まで携わっていたい思いが強く、次のキャリアに移る決断をしました。
「好き」よりも、「出来る」ことを。
2社目に選んだのは、当時非常に勢いのあったソーシャルネットワーキングサービスを展開する会社でした。海外展開を推進するという新たなチャレンジに惹かれて入社したのですが、入社後まもなく現地の事業がクローズしてしまいまして。
その後、リクルート時代共に働いた知人に誘われ、日本を代表するIT企業へ。大きなアセット(資産)を持つ組織でマーケティングを考えるのは面白かったですし、ここでの経験を通じて、デジタル技術を活用した様々なマーケティング戦略を実践的に学ぶことが出来たと思います。非常に恵まれている環境ではありましたが、一方で大企業の意思決定プロセスや、リスクを取りに行かない体制に違和感を感じることも出てきており、そんな中、外資系のアドネットワーク企業から日本でカントリーマネージャーをやらないかと誘いがあり、オファーを受けました。初めての外資で、イスラエル人を始めとして世界中の考えの異なる同僚と働く事は非常に楽しかったですし、いい意味でたくさんのストレスがありました。
でもその後、3年でまた前の会社に戻ったんですよね(笑)。ドメスティックな組織を改革して、イノベーティブな組織に刷新したいんだ、という元同僚の前向きな姿勢に賛同して戻ったものの、それは様々あってうまくはいかず、結局1年半で退職しました。ただこの時の経験で、自分にとって重要視するものがはっきりしました。何が肌に合うか、合わないか、やりたい事とやりたくない事を明確に知ることができたので、次からの仕事選択を間違えない為の経験になりました。

チャレンジを応援できる人生
今いるC2C社の代表の薛(ソル)とはリクルート時代の同期で、薛がSNSで「アイディアは沢山あるがそれをやってくれる人がいない」と呟いていて、ピンときたんですよね。私は0を思いつくタイプではないんですが、1を10にしたり、前に進めたりすることが得意でもあり、推進力こそが強みだと自覚しています。薛から話を聞き、C2C社では様々な事業の立ち上げができ、それをグロース(成長)させることができる事に魅力を感じてジョインしました。今私はCGO(Chief Growth Officer)として、プロジェクトのビジネス面を担当しています。シンプルに言えば、クライアント様の成長にコミットメントして、プラットフォームの売上を最大化することが私のミッションです。
C2C社に入って1年くらいは、業務はほぼオンラインでした。スタートアップ企業に経営メンバーとして参画したので覚悟はしていましたが、かなりハードなスケジュールで、朝から晩までミーティングがミルフィーユのように入っていて。自宅はそれほど広くないし、都心の幹線道路沿いのマンションだったので周りの音がうるさく、オンオフの切り替えがしづらい環境。郊外も色々と検討したのですが、ご縁もあり思い切って拠点を軽井沢に移すことにしたんです。
軽井沢は東京から車で行くと時間がかかりますが、新幹線だと約1時間ですから意外と不便は感じません。また、自然が多い環境ではありますが、おしゃれなカフェがあったり、洗練されている部分も多く、いい意味で「東京の感覚」を残すことができるんですよね。実際周りにも軽井沢から東京に通われている方も多くいます。今も仕事は忙しいですし、会議が多いことに変わりはありませんが、オンラインミーティングを終えると小鳥のさえずりが聞こえてきたり、静寂に包まれたりと、オンオフの切り替えもしやすく、東京にいた頃と比べてとても健康的な生活を送ることができています。

今は月に2回程度は東京のオフィスに出社しますが、基本的には軽井沢からリモートで仕事をしています。C2C社では、誰がどこにいようとちゃんと価値提供をしていればOK、というカルチャーがあります。それは経営メンバーのみの特権ではなく、全社員に言えることですね。現にCFOはベトナム、CPOはシンガポールです。時差は多少ありますが、特に問題なく業務遂行できています。ただ、オフラインも必要ではあると思います。やはり直接会って生まれる会話もありますし、オンラインでは生まれないコミュニケーションがありますからね。C2C社でも出社日を設けて、定期的に対面の機会を作るようにしています。社員同士で食事をすると会社が負担してくれる制度もあります。このように働き方に関して非常に合理的でフラットな部分も、C2C社の特徴だと思います。
個人的には、今後拠点をアジアにも増やしたいと考えています。軽井沢にも、海外にも拠点があって活動できたら理想的ですね。どんな場所であれ、自分の出来ることで、価値提供をしたいんです。C2C社では、プラットフォームを通して、新しい働き方、新しい稼ぎ方、新しい生き方を提供しており、そのような変革を支援しています。私はチャレンジが好きで、チャレンジする人が好きなんです。働くことや稼ぐことに不安があると、チャレンジって難しいですよね。自分の出来ることで、未来に向かうエネルギーを持つ人たちの背中を押すことができる今の仕事に、充実感を感じています。
C2C Platform株式会社
執行役員CGO
中林由恵
早稲田大学政治経済学部卒。2005年株式会社リクルート入社、法人営業、ブランドプロモーション・デジタル&データマーケティング戦略に携わる。その後、グリー株式会社、ヤフー株式会社にてデジタルマーケティング、データコンサルティング業務に従事。YouAppi inc. にてJAPANカントリーマネージャー、ヤフー株式会社にてマーケティングソリューションズ統括本部営業部長を歴任し、2021年当社参画。
https://c2c-platform.com/