2022.03.29

体と心にフォーカスした統合医療を 城西内科クリニック 髙橋聡美院長

患者から病原を取り除くことが治療の中心としてきた現代医学。最近では、「未病」など病気になる前のケアにも注目が高まっている。そんな中、城西内科クリニックの髙橋聡美院長は、西洋医学だけでなく、インドの伝統医療アーユルヴェーダなどを取り入れた統合医療に取り組んでいる。「体と心を同時にフォーカスしなければ」と語る髙橋院長に聞いた。

インドの伝統医療「アーユルヴェーダ」

アーユルヴェーダは、人々の「肉体・精神・魂」を癒やしてきた世界最古の医学で、5000年以上の歴史があります。中でもマハリシ・アーユルヴェーダは、1980年代に欧米の医師たちによる現代医学からの科学的な検討が加えられ再編されたもので、600以上の論文が発表されています。「健康増進・予防・自然治癒力を引き出す医学」として、そして心と体を同時に扱う「意識を扱う技術」をもった医学として、西洋医学を学んだ医師達から大きな注目を集めています。日本でも近年、神奈川県がインド政府アユシュ省(インドの伝統医学を所管する省庁)と、ヘルスケアや健康分野における協力覚書を締結するなど、徐々に認知されて来ています。

アーユルヴェーダの根底には、インド哲学(量子・波動的観念)の考え方があり、心身を司る“意識の波=波動”の乱れによって、さまざまな症状が現れるとされています。感情をはじめ全てのものに波動があり、病気―臓器―感情は互いに共鳴し合あっている、つまり、体と心は密接につながっているのです。

波動的観念から身体へ影響を及ぼすものとして、食事や感情、五感の情報(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)、環境(電磁波・エネルギーアタック)などが挙げられます。

私は2014年に城西クリニック(埼玉県新座市)を開院し、西洋医学と統合医療を合わせた診療に取り組み患者様と向き合うにつれ、心身を司る“意識の波=波動”を健全なバランスに整えることが、治療のうえで何より大切な事だと考えるようになったのです。

病の背景には感情の病が同時に「在る」

アーユルヴェーダ理論には、ヴァータ(空気・空間)とピッタ(火・水)とカパ(水・土)といった生理を構成する3要素があり、これらのバランスで人は構成されると考えます。そのため、患者様1人1人の体質に応じた診療が基本となります。かねてから、症例とデータをベースとする西洋医学だけでは治療への限界を感じ、一律の診察や生活習慣の指導に違和感を覚えていた私にとって、これは開眼でした。この統合医療を始めてから、西洋医学という1本のガイドラインのみで診療をするよりも、医療の質として幅広く確実なものとなってきた手応えがあります。

また東洋医学に「未病」という言葉があります。体調がおかしいので病院で検査をする。でも、検査上は何も問題ない。となると「気のせいです。ストレスです。自律神経です」、あるいは「精神科へ行ってください」と言われる。しかし、精神科へ行くと「薬を飲むほどでもないので、内科で診てもらってください」と言われる。

診断がつけば西洋医学で対応すれば良いのですが、原因が分からなくて、行き場を失った方もたくさんいます。それを放置しておくと、本当の病気になってしまいます。昔から「病は気から」と言いますよね。しかし、西洋医学では「病」しか診ておらず、しかも、西洋医学以外を医療として受け入れない考え方があります。「気=こころの問題や幸せ感」の部分に目を向ける医師はなかなかおりません。不安の多いこのご時世だからこそ、心の安定に繋がるアプローチが必要だと考えます。

病気を作った背景にある“思いぐせ(心)”を探り、ポジティブなものへと置き換える。病の背景には、感情の病が同時に「在る」と私は考えます。

病気に敵意だけで挑まない

アーユルヴェーダは、病と心のバランスを改善する医療です。西洋医学とは異なり、インドでは病気を体から“取り除く”ものとは考えません。病気とは、“自分を知らない“から起きるもの_と考えます。自身の心と自身の体、この関りを見失った時、病はそれを知らせに来る、という考え方なのです。だから私は、患者様に「病は自分の心の表現」であることを伝えています。併せて「病気に敵意だけで挑まない」よう提言します。病は自分の一部であり、同時に、病は自分のすべてではないのです。とかく病と共にあるとき、人は悲観や恐怖に触れることとなります。そんな時こそ五感(視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚)を研ぎすませ、心身に心地よくワクワクとするものを貪欲に取り入れてみてほしいと思います。心の内側を“喜びの気”で満たし、前向きな思考で“望む自分のあり方”を指し示す。私はこの状態を“心の艶”と呼んでいます。これこそが、幸せな現実を創り出すカラクリなのです。

かつて、私自身が事故や大病の当事者として苦悩した経験があります。だからこそ、“体と心にフォーカスする医師“として、一人でも多くの患者様に“心の艶”が持てるお手伝いをしたい、そう考えています。

城西内科クリニック

院長

順天堂大学医学部卒業、順天堂大学練馬病院糖尿病内分泌内科助教、医学博士、糖尿病療養指導医、臨床栄養学会指導医、内科認定医。米国マハリシ国際大学アーユルヴェーダ臨床医学ドクターベーシックコース終了、日本ホリスティック医学協会専門会員。西洋医学の治療に加え、インドの伝統医療・アーユルヴェーダ理論、自然栄養療法や運動療法などを組み合わせた治療を、個々の体質とライフスタイルに合わせて実施。なるべく薬に頼らないホリスティックな医療を提供している。

http://jyousai.net/