2022.12.23
低用量ピルで女性自身が人生のコントロールを
月経不順や月経痛、お肌の悩みなど女性が抱えるトラブルを解決し、特に低用量ピルによる治療を得意とする医療法人社団ケイクリニック(東京都新宿区)。「女性自身が安全で確実に妊娠と月経をコントロールできる」と低用量ピルの普及を進める川越信隆理事長に聞いた。

避妊だけではない低用量ピルの効果
1999年に日本で初めて低用量ピルが認可を受けてから既に20年以上たちますが、その普及率は約3%と、米国の約1/4、欧州の約10分1にとどまっています。 日本の女性は痛みを我慢しがちで、薬に頼ることに抵抗があるという方もいます。さらに、低用量ピルに対する世間の無理解や誤解が、普及を妨げている大きな要因でしょう。私は全ての女性が低用量ピルを活用した方がいいと考えています。そのため、もっと多くの人が低用量ピルについて正しい知識を手に入れてほしいと思っています。
低用量ピルは、女性自身が安全で確実に妊娠と月経をコントロールできる方法です。服用を始めた人の中には、「もっと早く使用しておけばよかった」と言う方もたくさんいます。生理周期を安定させたり、痛みを緩和させたりできるのはもちろん、生理前に肌荒れしてしまう方も、低用量ピルを服用して肌をきれいにすることができます。それにとどまらず、低用量ピルにはさまざまな種類がありますが、当院で扱っているものは、長期にわたって服用すると子宮体がんや卵巣がん、大腸がんのリスクを低下させる効果があるとされることを多くの人に知ってもらいたいです。

正しい知識を伝えるクリニックに
日本での解禁以来、低用量ピルの処方をずっと行ってきましたが、当初から患者からのメール相談を受け付けていました。今では行っているところも増えましたが、当時はまだ珍しかったと思います。今も1日40~50件届くメールの中には、切実な悩みが書かれています。他のクリニックでこういう治療を受けて、こういう説明を受けているけれど、非常に不安があるといった悩みもあり、「そんな指導をしているの?」と驚くようなクリニックもあります。情報のアップデートを自発的に行っていかなければならないのですが、それができていない医師が多い。本当に正しい知識を提供し、患者の人生を守っていってほしいと願っています。
低用量ピルの副作用についてよく聞かれますが、副作用の発現率はその種類によって大きく異なります。どの低用量ピルを処方するのかは、そのクリニックの医師の知識と経験に基づいた判断によるところが大きいです。当院で処方している低用量ピルの場合、ほとんどの方は不具合なく、まれに吐き気やだるさ、むくみなどを感じる可能性がありますが、ホルモンが安定すれば消えます。また、血栓症を心配する方もいますが、医師の指導を受けて服用すれば安心です。

避妊への意識を高めて
2016年からはオンライン診療も行っています。低用量ピルの処方をオンラインで行うのは、珍しかったのですが、距離や時間的な制約をクリアして診察を受けられるようになったことで、好評を得ています。医療へのアクセスがしやすくなった昨今、今一度伝えておきたいのは、避妊に対する意識をきちんと持ちましょうということです。当たり前のことを私が口にするのも、中絶を軽く考えている人が多く見受けられるからです。中絶というのは、女性の体にすごくダメージをもたらして、精神的にも負荷がかかり、中には死を選んだ方もいます。ここまで言ってもなかなかピンとこない人もおり、どこか遠い国の話というか、まさか自分の身に起こることはないだろうと思ってしまうようです。しかし、女性ならば誰しもが当事者となり、いざ自分がその立場に置かれたときに、心も体も追い込まれてしまうものです。
産婦人科のホームページを見ても、こうした現実は書いていない。厳しい実情はあまり知られる機会がないのですが、子供を持つ意思がなければ、男女共に確実に避妊をしてください。そして低用量ピルは1日100円程度の負担で、避妊をすることができます。将来の悲しみを避けるためにも、ぜひ医師に相談して、低用量ピルの処方を受けてほしいと強く願っています。
医療法人社団ケイクリニック
理事長
川越信隆
1976年、東京都出身。日本医科大学卒業後、慶応義塾大学病院や医療法人財団荻窪病院などの勤務を経て新宿センタービルにケイ・レディースクリニック新宿を開設。
https://www.klcs.jp/