2022.10.24

人を生かし、人を育てる。コストコの人材育成術

コストコホールセール全世界の従業員数は、正社員とパートを合わせておよそ30万人。同社では、人種や宗教、国籍にかかわらず人材を雇用する「機会均等主義」を実践している。もちろん性別の壁も存在しない。2009年から日本法人の支社長を務めるのはケン テリオ氏は、企業の未来を創る上でダイバーシティの推進は当然の責務だと考えている。その裏には、企業の発展にとって大切なものが隠れていることをご存じだろうか。

能力を注視し、新たな働く機会を提供する

コストコホールセール全従業員の男女比率は50%、女性の管理職は30%に達する。女性の活躍も積極的に支える同社の姿勢は日本でも同様だ。日本支社長ケン テリオ氏の言葉にもその一端が垣間見える。

「女性に限った話ではありませんが、働く人にはさまざまな家族の形があり、その数だけさまざまなチャレンジの形があります。つまりそのチャレンジを最大限にサポートしていくために、企業側もポジティブな姿勢を見せることが重要なのです」。実際、1998年にコストコが日本法人を立ち上げた当初、2番目に採用したのは女性だったという。日本国内では1986年の男女雇用機会均等法の施行以来、女性活躍を推進するための議論が数多く交わされてきた。近年では「女性が活躍する場を作る」という意識も高まりつつある。テリオ氏は自社の状況も鑑みながらこう語る。

「もっとも大事なことは、議論や意識ではなく、行動です。これまで議論してきた女性活躍に関するアイデアを形にしていくための行動を、当社も率先して行っていかなければいけないと考えています」。コストコにおいてすら、マーチャンダイジング(商品陳列)など、伝統的に男性が任されることが多いポジションが存在したという。テリオ氏は積極的にそれらの改善に着手してきた一人でもある。「マーチャンダイジング12weeksトレーニング」という研修制度を設け、女性の活躍を応援していることも事例の一つだ。研修を受けた女性社員たちからは「面白い」「これからももっと商品陳列についての研修を続けていきたい」というポジティブな声が聞かれるという。

性別にこだわるのではなく「人を生かし、育てる」。

コストコはこれまで日本国内で30店舗を展開してきた。本社の商品購買部部長のほか、3名の副部長、店舗のトップとして4名の管理職(倉庫店長)を女性が務めるなど、女性の進出は着実に進みつつある。しかし、鍵となるのは女性の社会進出ではない。「仕事のクオリティを上げていくために大切なことは、性別ではありません。もちろん年齢でもありません。その人の能力なのです。当社はそうした年齢や性別に捉われることなく、その人の能力をちゃんと注視していく企業でありたいと思っています」というのが事の本質だ。

2021年度、全世界でのコストコの売上高はおよそ1,959憶ドル。前年度1,667憶ドルに対し17%増と、コロナ禍でも衰えを見せない。人材育成についてテリオ氏は「企業側が社員一人ひとりのデータをちゃんと把握し、その人を活かす人材育成を行っていくことが大切なのだ」と語る。コストコの躍進には、社員の半数を占める女性も大きく貢献しているのは明白だ。性別にこだわるのではなく「人を生かし、育てる」。これこそが企業の未来を創る上で欠かせない鍵となるのではないだろうか。

転載元:Qualitas(クオリタス)

コストコホールセールジャパン

日本支社長

Ken Theriault

1958年カナダ生まれ。カナダの小売会社を経て、1995年にコストコホールセールカナダに入社。1998年コストコホールセールジャパン倉庫店運営部長、2006年コストコホールセールカナダ東部地区副社長、2009年から同社日本法人社長に就任。