2023.03.28

予防歯科で健康寿命を延ばす

徳島市城東町で歯科医療を提供している医療法人千美会こうの歯科。「地域の人々の健康と幸せに貢献していきたい」という河野琢磨理事長に、健康寿命のための予防歯科の重要性を聞いた。

痛くならないために行く歯科医院に

虫歯もそうですし、歯周病もそうですが、歯科は不可逆で一方通行の病変を扱っています。歯は一度ダメージを受けると、どんなに高度な技術で治療しても、元の歯には戻せません。強度が弱くなり、治療していない歯に比べて寿命も短くなってしまいます。定期的な歯のメンテナンスを行うことで、虫歯や歯周病にならず、歯を失うことのない健康的な口腔環境を可能にするのです。

近年、口腔環境の悪化が心臓病や糖尿病といった、体全体に及ぶ慢性疾患に影響するという研究報告がされています。慢性疾患を進行させずに健康寿命を延ばしていくためにも、予防歯科は重要な役割を担っています。そのため、「歯医者は痛くなってから行くところではなく、痛くならないために行くところ」という意識をぜひ皆さんには持ってもらい、定期的に予防歯科を受けてほしいと思います。

歯科医の父の背中を見て

父が歯科医師だったので、その背中を見てきたことが歯科医という仕事に興味を抱いたきっかけです。同級生が「歯が痛い、どうにかならんか」と悩んでいたときに、同級生を父の元へ連れていったことがあります。治療後、「治ったよ、今はなんにも痛くない」とうれしそうにしている同級生を見て、痛みをきちんと取り除いて楽にしてあげられる父の仕事はすごいと感動したことを覚えています。

さらに、子供の頃、老猫を可愛がっていたのですが、病気にかかってしまい、動物病院に連れていったんです。獣医は歯周病だと診断したのですが、父は「歯周病ではない」と言っていて、「何が本当なんだろう、どうしたら猫は助かるのか」と心配したのですが、そのまま猫は亡くなってしまいました。それが、将来は自分の手で病気の原因を突き止めて、治療ができる医療の道を歩みたいと考える一つのきっかけとなりました。

まずは「痛み」から救う治療を

歯科が診る疾患は痛みと密接であり、痛みをいかに取り除いてあげられるかが非常に重要ですが、痛みというものを自分事として感じられる人となかなか感じられない人がいます。歯の痛みを知らないと、患者の苦痛を知ることは難しいです。患者の歯を自分の歯と思って治療も行うことが、妥協のない診療につながると思います。

今後は地域のために歯科医療を提供しながら、患者と真摯に向き合った歯科治療、予防歯科を行う歯科医師を育てていきたい。そして歯科医師が予防歯科を提供し、内科などの病院と連携して総合的な医療を提供することで、地域の健康寿命の伸長に貢献できるように努めていきたいと思います。

医療法人千美会こうの歯科

理事長

徳島県出身。2005年日本歯科大学新潟歯学部卒業後、神奈川県横浜市にて勤務医、分院長として研鑽を積む。2010年から元東邦大学口腔外科医局長の森村真先生に師事した後、2016年徳島県の米沢歯科クリニックにて勤務。2018年、医療法人千美会こうの歯科を開院。

https://www.kouno-sika.jp/