2022.06.06

世界のトヨタが誇る、日本の心を象ったショーファーカーの最高峰。

2018年、トヨタは最高級車「センチュリー」を21年ぶりにフルモデルチェンジした。日本を代表するショーファーカーを目指して開発されたセンチュリーは、皇室や内閣総理大臣の公用車として導入されており、保有する自治体も少なくない。名実ともに日本の「高級車」の最高峰と言えるだろう。職人により手作りされ、先進機能も取り入れながら快適性も追求するのみならず、内装には和の文様を取り入れるなど匠の技や和の心がちりばめられているのも特徴だ。日本が誇るセンチュリーの伝統に触れながら、その偉大さを改めて見つめてみたい。

100年を記念するプロジェクト「センチュリー」

センチュリーが発売されたのは1967年。トヨタグループの創始者である豊田佐吉氏の生誕100周年を記念したプロジェクトとして考案された。車名のセンチュリーも100周年にちなんでいるという。開発のコンセプトは、「日本の心を象(かたど)ったショーファーカーの最高峰」だ。モデルチェンジした今回のボディサイズは全長×全幅×全高=5335×1930×1505mm。先代(5270×1890×1475mm)よりも長さ、幅、高さともに上回っており、国産量産乗用車史上最大級である。企業や自治体など、主に国内をターゲットに開発されている。

公用車として人気

センチュリーは内閣総理大臣の専用車としても有名だ。2020年には新型センチュリーが新たに導入され、予備車として保有する旧型車も合わせ、複数台の車両が運用されている。全国都道府県の内、地方行政の中でも9県がセンチュリーを保有しているという。
また、2006年から皇室の6代目となる御料車(ごりょうしゃ)としても使用。これまで合計4台が導入されており、車両はいずれも特別仕様の「センチュリーローヤル」。天皇皇后両陛下が移動時に使用する「皇1」ナンバーのほか、国賓送迎用の2台の車両は防弾仕様になっている。「皇2」ナンバーのセンチュリーは葬儀の際に使用されているものだ。

「鳳凰」を象ったエンブレム。匠による手彫りとなるエンブレムは、クルマごとに微妙に表情が異なるという。

安全性と快適性を追求した至福の空間

センチュリーは重要なシーンでの使用を想定し、特に後部座席の安全性に配慮している。新型車では、危険回避のためのレーダーとカメラによるセーフティシステムを導入し、安全面のサポートも向上。トヨタの緊急通報システム「ヘルプネット」に対応することで、急な事故や病気の際、専用のオペレーターが警察に連絡、緊急車両だけでなくドクターヘリの派遣にも対応する。そのほか電動パワーシートやフットレストを完備し、シートヒーターや空気袋を内蔵したリフレッシュ機能を搭載するなど、贅を凝らした造りで快適性にも配慮している。動力部には静粛性に優れたハイブリットタイプのV8エンジンを採用。燃費や環境への配慮も怠らない。

日本の伝統美を反映、職人が作り上げる

デザイン面では日本の美意識も取り入れ、七宝文様、紗綾形崩しという吉祥柄の伝統文様をフロントグリルや天井、時計など各所に施しており、日本の心を象徴している。センチュリーの特徴である鳳凰のエンブレムは、江戸彫金の流れをくむ職人が鏨と槌を使用し具現化。タモ材を使用した木目のパネルは、柾目とよばれる木目を厳選。塗装も職人が手作業で磨き上げている。作業工程では、3万点におよぶボディの組み立てから、塗装、最終検査に至るまで、すべて匠と呼ばれる熟練作業者が行う。快適性と伝統美、そこにみえてくるのは、「おもてなし」や「しつらえ」といった和の精神だ。

鳳凰に込められたメッセージ

トヨタの車づくりは「トヨタ方式」とも呼ばれ、ロボットの導入や組み立てスタッフの動線の改善など、徹底的に効率化しているのが特徴だ。しかし、センチュリーの工程では車体はベルトコンベアーを使わず台車で移動し、組み立て工程も熟練した各職人が行うなど、あくまでも手作業を徹底。自動車産業黎明期のようで、時代に逆行するような生産体制だが、これには一つひとつの工程の技術を後世に伝えるという技術継承を目論む側面があるという。

センチュリーのシンボルであるエンブレムの鳳凰に込められたメッセージは「継承と進化」。センチュリーは1967年の発売から2018年まで、モデルチェンジはわずかに2回と、そのサイクルが非常に長い。開発・生産には、技術を継承し今後も進化を続けるというトヨタ全体のメッセージを感じさせる。次のモデルチェンジは20年後だろうか、それとも30年後だろうか。センチュリーとともに、トヨタが進める歩みにも注目していきたいところだ。

転載元:Qualitas(クオリタス)