2022.08.11

三輪車はどこいった?「自転車デビュー」が低年齢化しているワケ

多くの人にとって、馴染みのあるモビリティといえば自動車だ。今、自動車の世界は脱炭素社会を目指し、電気自動車などが次々に誕生、100年に一度の変革期を迎えている。こうした動きは大人の世界だけの話だと思いきや、実は子どもの世界でも21世紀に入ってから変化が訪れている。昭和や平成初期の時代、子どもが人生で初めて運転する乗り物といえば三輪車だった。しかし、今では三輪車に乗る子どもの姿を公園で見かけることはそう多くない。そんななか、三輪車に代わるように親の支持を集めているのが、子どもの成長に合わせて長期間乗れる自転車だ。

幼児期から就学まで乗れる自転車の登場

乳幼児おもちゃメーカーのピープル(東京都中央区)が2001年、2歳から小学1年生まで乗れる「いきなり自転車」を発売した。2008年には、後方から親がかじ取りできる仕組みも取り入れた。運転しているのは子どもだが、親はそっと行きたい方向にコントロールできる。タイヤのサイズも12インチ(約30cm)と14インチがあり、商品のコンセプト通り2歳からでもペダルをこげる。また、かじ取り棒は取り外し可能で、補助輪付きの自転車から補助輪無しの自転車と3段階で使用できる。

かつては 「三輪車 → 補助輪付きの自転車」 が当たり前で、成長段階に合わせて乗り物を変えていく従来の流れを打ち破る画期的な商品だった。なにより、いきなり自転車のように成長著しい幼児期に5年間という長期にわたって使用できる商品は頻繁に買い替える必要がない。家庭への経済的負担も軽減され、親からの人気を集めていった。少子化に伴い、「おさがり」がきかないアイテムを買うことへの抵抗感もあるため、使用年数が限られている三輪車より長く乗れる自転車が選択されるのは自然な流れだった。実際、子どもの自転車の乗り始めは低年齢化している。日本トイザらス(川崎市)が、2018年に20歳から59歳の男女1638人を対象に自転車に関するアンケート調査を行ったところ、アンケート対象者自身の自転車の乗り始め年齢が平均5.7歳だったのに対し、子どもの自転車の乗り始め年齢は 「4.9歳」だった。親世代と比べて低年齢化しているのは、2~3歳から乗れる自転車が販売されていること、ペダル無しの自転車の存在も大きい。

キックバイク、ランニングバイクと呼ばれるペダル無しの自転車はバランス感覚を養うとされ、あっという間に補助輪無し自転車を乗りこなせる子どももいる。補助輪無しの自転車に乗れるようになるには時間がかかる上、親も付きっきりで教える必要がある。しかし、ペダル無しの自転車を買い与えて乗らせていると子どもが勝手にバランスを覚えるので練習を省け、親の労力を軽減できる乗り物という一面もある。

ペダルが取り付けできる商品も登場

ペダル無しの自転車の中には、ペダルを後から取り付けして自転車として使用できる商品も登場している。 Ampus(東京都杉並区、ストライダージャパン)が販売している「ストライダー14×」はブレーキも付いており、ペダルユニットを取り付けると自転車に変身する。サイズは14インチのみで対象年齢は3歳半から7歳。いきなり自転車を販売しているピープルでも、ペダルを後から付けられるタイプのペダル無し自転車「ケッターサイク」を手がけている。

サイズは12インチから18インチと4サイズでブレーキ付き。幼児期は年齢以上に身長差があることを考慮し、複数サイズ展開をしている。2011年からキックバイクに後付けペダルで自転車として乗れる「へんしんバイク」シリーズを販売しているビタミンiファクトリーでは、短時間で自転車に乗れることを打ち出した自転車教室を行っている。「へんしんバイク2」は2歳はキックバイク、3歳から自転車に乗れることをコンセプトにしている。近年の子どもの自転車事情は大きく様変わりし、かつてのように「何日もかけて親子で苦労してようやく自転車に乗れるようになった」という時代ではなくなってきている。

重要性が増す自転車教育の啓発活動

子どものモビリティも「短期間で使い終わるもの」から、長く愛用できる商品へのニーズが高まっている。そして、親世代に比べて幼児期から乗れる自転車が市場に登場してることもあり、子どもの自転車デビューが低年齢化している。三輪車を飛び越え最初からペダル無しも含めて、自転車に乗る流れは強まっているが、本格的に交通ルールや安全な乗り方を学ぶのは小学校に入ってからだ。現実とのギャップがあるため、より安全に子どもが自転車に乗るには保育所や幼稚園などで公道を走るルールを学ばせる機会を増やすことも必要だろう。

転載元:GlowVis(グローヴィス)