2012.11.30
一流の接客と美容・健康・睡眠のプロを
年々需要が高まるリラクゼーション業界。さまざまなサービスが展開される中、技術と接客のプロ意識にこだわり抜くのが「ヘッドコンシェルジュ」だ。国家資格を持ったスペシャリスト集団が提供するヘッドスパは、既存のヘッドスパとは一線を画すサービスだ。他業種からリラクゼーション業界へ足を踏み込んだ滝村晃平代表取締役にヘッドコンシェルジュ誕生の経緯を聞いた。

前職で学んだ一点突破
「ヘッドコンシェルジュ」の事業を一言で説明すると、シャンプーを伴うヘッドスパ専門店です。よくあるヘッドスパ専門店をオープンさせたつもりはなく、「ヘッドコンシェルジュ」という新たな職業として定義付けました。施術をするだけではなく、一流の接客と美容・健康・睡眠の知識を持ったプロであることを社員には常に求めています。
元々は家具やインテリアなどを扱う会社で働いていました。特段家具が好きだったわけではなく、企業風土に魅力を感じて入社を決意しました。働いているうちに、自分が好きなのは組織作りだということに気づきました。いいチームで仕事をしているときは楽しいですし、成果も上がります。そういう組織をゼロから作ろうとすると、自分で事業を立ち上げないといけません。
今の事業を立ち上げるうえで前職の経験が生きていると感じています。家具・インテリア業界は大手一強の特殊な業界で、そこに勝つためにビジネス書を読みあさりました。マーケティング戦略を学び、ビジネスに落とし込むという癖をつけることができたのは大きいですね。売り上げで大手に勝つことは不可能なので、一点突破で活路を見いだすしかありませんでした。そこで業界を広く見てどんどん絞り込んで戦略を洗練化していくことを学び、それがヘッドコンシェルジュの発想にもつながりました。

ヘッドコンシェルジュを職業に
物が売れない時代になり、体験サービスを世の中に価値として提供しないと、事業を立ち上げても継続するのは厳しいと感じていました。ヘッドスパに着目したのは、今の事業のオーナー陣との出会いがきっかけです。美容とは関係のない業界におりましたが、「スパが好き」ということは全員に共通していました。
そこでメディアで取り上げられていたドライヘッドスパを分析すると、ドライヘッドスパはタオルで強めに刺激するため、頭皮や髪を痛めることに気づきました。それを改善すれば差別化を図れると思い、シャンプーを主体にヘッドスパを提供することにしました。そのためには美容師免許が必要で、ドライヘッドスパに比べて圧倒的にプレーヤーが少なく、設備投資もかかるため参入障壁も高い。本気でやれば間違いなく伸ばしていける確信しました。
もう一つ気づいたのは、美容師免許を活用できていない人が多いということです。就ける職業は美容師かまつげエクステなどを行うアイリストくらいで、給与面や体力面から続けることが難しい。特に女性は結婚や出産などでライフステージが変わると復職するのも大変です。それがヘッドコンシェルジュという職業として新しく確立させようというきっかけにもなりました。

事業拡大は人の力で
店舗拡大は今後も事業の核になります。具体的には3年以内に全国で30店舗まで拡大するのが目標です。さらに来季から美容室向けのセミナーを始めようとしています。現状の美容室のヘッドスパのサービスは質がバラバラで、効果を実感できないためお客様も積極的には利用しません。ヘッドスパのサービスの技術監修を受けて提供できれば、美容室のサービス価値も高まります。一人でも多くの方が満足度の高いサービスを受けられると嬉しいですね。
それ以外には、オンライン店という構想で、美容と健康をコンセプトにした動画配信サービスを始めたいと考えています。いつ訪れても新しいコンテンツと出会え、わくわくできる。そんなサービスにしたいですね。
どれを実現するにも必要なのが人の力です。質の高いサービスを提供できるヘッドコンシェルジュを多く輩出しつ続けるというのがポイントで、研修を担当する社員の質も重要です。事業の継続と拡大にヘッドコンシェルジュたちの技術と接客は欠かせません。長く、モチベーション高く働いてもらうことを常に考えています。
それを重視しているため、待遇面をより良くしたいですし、彼女らの意見も積極的に取り入れています。実は創業から2年間離職者がゼロでしたが、3年目にして1人退職してしまいました。理由は手荒れです。パーマやカラーの施術がない分美容室に比べたらいいとはいえ、手荒れは避けられません。
そこで、ヘッドコンシェルジュたちの手荒れの治療をサポートする仕組みをすぐに取り入れました。皮膚科に行く治療費は福利厚生としてサポートし、肌荒れに効果のあるクリームの配布も行っています。それくらい人の存在が大切だと思っています。私一人ではどの計画を実現できないので、チーム力で価値を最大限まで上げていきたいと思っています。
プロフィル
大阪出身。大学卒業後の2010年、アイルに入社し「ITビジネスデザイナー」として従事。その後、2014年に家具・インテリア業界に転職。「MD-マーチャンダイザー」として商品企画に従事。数々のヒット商品を手掛ける。そして、2019年にヘッドコンシェルジュ株式会社を立ち上げる。「究極睡眠に導くヘッドスパ専門店」として東京の青山に1号店をオープン。次いで銀座・新宿・二子玉川に店舗を拡大。現在も全国を視野に店舗展開中。