2022.03.25

ワクワクして働ける人を増やしたい 

厳しい就職活動を乗り越えても、3年以内に3人に1人が離職してしまう中、自身の就活時代に経験を生かし、「キャリア教育で就職のミスマッチをなくしたい」と「Cheer」を設立した平塚ひかる代表。コロナ禍での企業から1年ながら、就職サイト「CheerCareer」をはじめ、さまざま複数の事業を展開している。平塚代表にキャリア教育の可能性を聞いた。

学生時代の就活体験がきっかけ

当社は、「働くにワクワクを。人生にもっと潤いを」を共通理念とし、「単なる採用屋に終わらない」ことを目指して、ベンチャー企業に特化した就職サイト「CheerCareer」をメーンに、複数の事業を展開しています。

いい会社は大手だけではなく、また東京にしかないわけでもありません。しかし、スポットライトが当たっていないため、学生の就職希望が東京の大企業に集中してしまったり、会社側が「うちは中小零細企業だから」とあきらめてしまっていたりする。こうした状況をもったいないと考え、いい会社にスポットライトを当て、ご縁につなげるお手伝いをしています。

事業を立ち上げた背景には、自身の原体験があります。学生時代はインターンシップがあまり行われておらず、自分の向き不向きを知るため、大学2年生のときに企業に話を聞きに行こうとしたのです。しかし、「まだ早い」と門前払いされてしまいました。そこで、4年生のふりをしてみたところ、会社説明をしてくれたり私の話を聞いてくれたりしたのです。私という人間には変わりがないのに、学年が違うだけで対応が変わることに対し、本質はどこにあるのかと思いました。また、本質を見られていないのは学生側も同じでした。マーケターやプランナー、コンサルタントといった仕事は、学生にとって「イケてる」と思われがちです。しかし、どの仕事にも地味で泥臭い部分がある。会社選びでも、学生とビジネスパーソンが思う「いい会社」には乖離があり、学生は「オフィスがきれい」「有名企業」といった表面を追ってしまい、本質を見られていないと感じたのです。おまけに、がんばって内定をもらって働き始めても、3年以内に3人に1人が辞めてしまうというデータを知り、いよいよ今の就活に課題を感じ始めました。

最年少役員からコロナ禍で独立

身近に感じられる社会課題であるHR領域を解決したいと思い、新卒でHR業界の会社に就職しました。1学年上の先輩たちの就活時期に内定が決まり、早々にフルで働かせてもらえることになりました。本当は「1年間は学生時代を謳歌してください」と言われたのですが、いち早く現場で経験を積みたいと思い、「会社の近くにアパートを借りたので働かせてください!」と行動に起こしたのです。

結果を出して、最年少執行役員に就任しました。会社に骨をうずめるつもりで働いてきましたが、コロナ禍がきっかけに独立を考えました。移動に使っていた時間がリモートワークになり、丸々自分の時間になり、自分の人生を見つめ直したり、本質に立ち返ったりした人は私だけではないでしょう。そうして得た内省の時間で、「7年半働いてきて、どれだけ日本は変われたのだろうか。いや、変わっていない」と思ったのです。就職のミスマッチをなくしたい、そのためにキャリア教育を行いたい。その初心に立ち返り、自分で責任を取れる環境で、「教育」を前面に押し出した事業に挑戦しよう。これからの未来を担う人材を育成・輩出する仕事をしようと決意したのです。

本質を見て学生と企業の出会いを

企業側にも教育を行っています。企業側にお話をする際、役立つのが自社の採用です。学生にキラキラ感だけが伝わってしまうことのないよう、あえてマイナス面を伝えるようにしていたり、選考に現場社員を巻き込んだり、という当社の施策と結果を他の企業に紹介しています。「平塚さんのようになりたい」と学生からあこがれを抱かれることが多いのですが、私の働き方はハードで泥臭く、向いている人は少ないと考え、「私を目指すと多くの人は不幸になるよ!?」と冗談交じりに伝えることもあります。表層的な部分に惹かれて決めるのは、ミスマッチを生む元になるので、しっかりと本質を見て考え、合う会社・仕事と出会ってほしいと願っています。

今後も優秀な学生の育成と輩出を続け、スポットライトの当たっていない企業に光を当てて、両者が出会える機会を作り続けていきます。社名の「Cheer」は「応援する」「元気付ける」「歓声」「喜び」といったポジティブな意味を含む単語です。今、代表として事業を展開できているのは、人に恵まれてきたからこそ。これからも「ワクワクする」を大切に、ユーザーとなる学生、企業の喜びを自分のもののように感じられる仕事をしていきたいですね。

Cheer

代表取締役

1992年、茨城県出身。2013年、立教大学在学中、アイ・パッションに参画。入社3カ月目、22歳にして最年少執行役員となる。取締役としてマーケティング・開発・広報・人事も担当。2020年7月に独立、Cheerの代表取締役。ベンチャー企業における意思決定層のジェンダーギャップに取り組む「スポンサーシップ・コミュニティ」発起人。第一回日本中小企業大賞MVP受賞。1児の母でもある。