2022.03.18
”バラのまち”山形県村山市産のバラ製品を世界に発信
“バラのまち”と呼ばれる山形県村山市。毎年6月と9月には、約750品種2万株のバラが咲き誇る「東沢バラ公園」で、「バラ祭り」が開かれ、毎年多くの人が訪れる。同公園は、環境省が選定する「かおり風景100選」にも全国のバラ園で唯一認定されている。「Rose Cheek」は、地元村山市産のバラを原料としたローズ製品の製造・販売をしている。バラの花から作られる「ローズウォーター」は、肌にひと吹きするだけで、天然のバラの香りがふわりと広がる。1月には観光客の言葉をヒントに開発した「ROSE めぐり石けん」を発売した。同社の及川三秀専務取締役に、ローズ製品の特色と事業を通じて実現する地域貢献について聞いた。

地元特産のローズ製品でまちおこし
地図を見ると、山形県は人の横顔のような形をしています。その横顔の、ちょうど頬あたりに位置するのが、私たちの故郷、村山市です。バラで有名なこの村山市をもっともっとバラの花でいっぱいに満たし、山形のほっぺをピンクに染めたい、という思いから弊社を「Rose Cheek(=バラ色のほっぺ)」と名付けて2020年に創業しました。
弊社は村山市を拠点に、村山市産のバラを使った事業と、地元産の農産物販売を行っています。バラ事業では、栽培期間中農薬不使用のバラと水から作られる蒸留水「ローズウォーター」を使用したローズ製品の製造・販売を行っております。そしてバラの収穫体験などができるローズツーリズムでは、「ローズウォーター」やバラの花びらを使用したちょっとしたせっけんやバスボム作りを訪れた方に楽しんでいただけます。
弊社の代表・奥山拓が現役の農家としてこれまでずっと食用バラの栽培に携わってきており、村山市のシンボルでもあるバラの花を活用して、地域活性化を図る産学官連携「ローズプロジェクト」の一員として、全国に向けて村山市産バラの普及活動をしていました。
もっと多くの人にバラの魅力が伝わる方法はないかと探していたところ、市の名物となるようなローズ製品を作って多くの人に愛用していただくことで、村山市をもっと盛り上げたいとの思いから会社を創業し、さまざまなローズ製品の開発を行っています。

観光客の声が新商品のきっかけに
今回発売した「ROSE めぐり石けん」は、観光客の言葉がきっかけで生まれた製品です。窯で食用バラを煮出して蒸気にしたものを「ローズウォーター」として使用するのですが、窯に残された花びらと煮出し液(バラエキス)は製品としては利用していませんでした。ローズツーリズムで、「ローズウォーター」の蒸留過程を見学していた観光客から「煮出し液も良い香りがするし、肌に良さそう」と言われ、「煮出し液を石けんにして使いたい」という声もあったので、兵庫県のせっけんメーカーと共同開発しました。
原材料とした煮出し液には、バラの花びらに含まれる抗酸化作用のあるアントシアニンやフラボノールなどのポリフェノールが豊富に入っています。化学的な香料や保存料、色素などは一切使用していません。肌に良いバラの成分がお肌を「めぐり」、煮出し液を「めぐらせ(循環利用)」、そしてお客様と「めぐり会って」、会話の中からアイデアが生まれた───この三つの「めぐり」が重なったことから「ROSE めぐり石けん」と名付けました。
実際に使用された方からは「香りが良い」「泡立ちがきめ細かい」「洗いあがりがしっとりしている」などと多くの好評価を頂いています。一般的に流通しているローズウォーターの多くはブルガリアから輸入した既製品です。弊社の「ROSE めぐり石けん」は、私たちがローズウォーターを作っているからこそ製造過程で手に入る、肌に良い成分がいっぱい詰まった煮出し液を使用することが可能となっています。
「ROSE めぐり石けん」ならではの成分、使い心地をぜひ試していただきたいと思います。

国産天然ローズオイルの商品化目指す
創業前は、ずっと東京の会計事務所で働いていました。ある日大学時代の友人だった奥山に再会し、村山市産のバラで故郷を盛り上げたいという熱い思いに胸を打たれ、またバラ製品の製造に一から携われることに強く興味を引かれたため、共に事業を始めました。
まだ私たちはスタートラインに立ったところだと思っています。村山市役所や地元の企業、農家の方々からの力強いサポートをいただきながら、これからも着実に事業を成長させていけたらと考えております。
今後の目標は、まず国産のローズオイルを採取することです。バラから取れるオイルは非常に少量で、100ミリリットルのローズオイルを取るのに1トンのバラの花びらが必要になります。国産の天然ローズオイルの商品化は、まだどこもできていないと思いますので、弊社で製品化できるよう進めていきます。
もう一つは、「ローズウォーター」を使って、オリジナルの化粧品ブランドを展開することです。さらにはメイド・イン・村山の「ローズウォーター」として、外国産のものが市場に多い中、逆に日本から外国へ輸出できるよう、リードできたらと思っています。
「村山市をもっと盛り上げたい」というところから弊社はスタートしていますので、村山市産のバラ製品を日本全国、そして世界に向けて発信し続けて、多くの人に村山市を知っていただきたいと願っています。そして弊社の事業を通して、地域の人がずっと元気で楽しめて、新しい価値が生まれ続ける、そんなまちにしていきたいですね。
株式会社 Rose Cheek
専務取締役
及川三秀
1986年生まれ、北海道出身。大学卒業後、会計事務所に入所し、会計・税務申告業務やM&Aに携わる。大学時代の友人であった奥山拓氏の地域への熱い思いに共感し、2020年、株式会社 Rose Cheekを共同創業。
https://rose-cheek.co.jp/