2021.12.28

トヨタにみる、働き方改革の現在地

トヨタ自動車は、働き方改革に対して先進的な取り組みを続けている企業の一つと言えるだろう。2015年に大きな人事制度改革を行い、工場従業員の賃金体系の見直しを図るなど、その動向は経済界からも大きな注目の的となり続けてきた。国内大手自動車会社、トヨタが模索する働き方改革とは-。

トヨタ

雇用環境の水準を向上させる

トヨタが実施した賃金改定のポイントは、“若手社員の賃金引き上げ”と“年功給から能力給の変更”の主に2点だ。子育て世代に手厚い賃金カーブを実施したほか、若手以降は能力の発揮に応じて給与に差をつけている。在宅勤務の新設や女性の就労機会促進をはじめ、幅広い働き方の実現を模索し続けていることも、雇用環境の水準を大きく向上させる一因となっている。

在宅勤務制度の新設では、裁量労働制勤務またはフレックスタイム勤務をベースとしている職種の社員(事務員、技術員)を対象に、テレワークとしてFTL制度(Free Time and Location)を開始。週1回、2時間の在社を義務化し、勤務場所を原則自宅と定めている。
年次有給休暇取得の促進にも積極的で、3Days Vacation(年1回以上、3連休での有給休暇取得)を推奨。全社員に向けた有給休暇の取得を促している。
また、仕事と育児の両立支援にも先進的な取り組みを行っており、在宅勤務制度の対象ではない職場には、育児を行う社員を対象に常に6時半~15時の勤務シフトとする常1直勤務制度を導入。これは子どもが小学校4年生を修了するまで継続されるだけでなく、小学校4年生を修了するまで勤務時間を6時間または7時間とする勤務時間短縮制度等も導入することで、仕事と育児を両立させる共働き世帯にも嬉しい待遇となっている。

女性の活躍推進と育児支援

そのほか、2002年頃から女性活躍推進のための育児支援にも着手しており、0歳~小学校就学前までの子どもを対象にした事業内託児所を設置。育児を行いつつ勤務する女性の支援にも積極的だ。この事業内託児所は交替制勤務の社員のシフトと残業時間に合わせ、早朝5:30から深夜2:30まで開園されているというから、様々な働き方が混在するトヨタには、必要不可欠な受け入れ体制となっている。
障がい者雇用機会の拡充にも独自の取り組みを続けており、トヨタループス(特例子会社)で障がい者雇用を促進するなど、重度の身体障害者や精神障害者を対象に採用を行い、主に社内印刷、社内郵便物の受発信などの業務を実施。従業員の働く環境を整えながら、さらなる生産性向上を図っている。

このように、トヨタ自動車の働き方改革は抜本的な制度改正を伴うもので、これまでの規定や“当たり前”に捉われない取り組み改善を善としてきた。そうした取り組みの姿勢は企業の規模を問わず、今後必要とされるものであり、重要なモデルケースの一例となっていくに違いない。今後もその動向に注目していきたい。

転載元:Qualitas(クオリタス)

TEXT BY TAISUKE MOTOYA