日本全国にある歯科医院の数はコンビニの1.5倍に上るとされる中、他院との差別化や地域の人にいかに歯科に関心を持ってもらうかということが、経営において非常に重要になっています。多くの人にとってあまり行きたくない場所である歯科医院ですが、本来は「悪くなる前にいつでも通う場所」で、もっと身近に感じてもらえる存在であるのがベストです。そのための事業の一つがオーダーメイド型内覧会サービスです。

歯科医院がいざ開業するときに、オープン日に何もせずいれば、患者は来てくれません。地域の人に長く愛される歯科医院となるために、開業初日から多くの人が来院し、院長の治療方針や地域の患者に対する思いなどを伝え、知ってもらうことが非常に重要になってきます。医院ごとに理念が異なるからこそ、その歯科医院の特色がよく伝わるクリエーティブな活動として開院イベントを一緒になって考案し、企画しています。平均200～300人が来院し、そのうちの40％近くが来院予約をいれてくれています。

医師も開業初日から地域の人が多く来院していることに安心し、関係性を築き上げて医療を提供していく自信になるようです。そのきっかけづくりをすることは、非常にやりがいを感じています。

元々、「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン（USJ）」で教育係とパークコンシェルジュとして働いていました。テーマパークの仕事は大好きだったので、一生USJで働きたいと思っていました。そんなとき前職の医療法人の理事長から「一カ月だけ仕事を手伝ってほしい」と声をかけられ、歯科医院の現場に立ちました。

テーマパークの華やかな場所で働いていたので、歯科医院で働くというのは正直地味な印象があり、自分には合わないだろうと思っていたのですが、いざ仕事をしてみると、歯科医師をはじめスタッフが、患者から信頼を得て、毎週、毎月必ず通ってもらえる場所を作り上げていたのです。地域の人が一生通うような場所と関係性を築いていくのは、本当に奥深い仕事だと思いました。そんな歯科業界に魅了されて転職を決意し、歯科医院で経験を積んだ後に起業し、今では多くの歯科医院の魅力発信のために仕事をしています。

歯科医院が地域の中で魅力的な場所であり続けるためには、そこで働く人がいきいきと長く働ける環境づくりも欠かせません。ただ歯科医院は業務のマニュアルを用意しているところが少なく、いざ必要なマニュアルを用意しようとすると何十冊もの厚さになってしまいます。そういった現場の声を聴き、スタッフが自信を持って働けるように先日リリースしたのが、歯科衛生士やスタッフのためのマニュアルアプリ「broccoli（ブロッコリー）」です。

本当に求められるニーズに応えなければならないというところで、企画から開発まで4年をかけて完成させました。マニュアルの更新をすぐ行えるようにしたり、業務に関する動画がすぐに視聴できたりと、現場で必要な機能を網羅しており、認定歯科衛生士が監修した即現場に応用できるアプリとなっています。

口腔環境が悪化すると全身疾患につながるといわれており、小さい頃から歯みがきの重要性や噛むことの大切さについて学び、歯科に親しんでもらうことが将来の健康のために欠かせないポイントとなっています。

そこで子供たちが歯の健康について楽しく学べるさまざまな企画を行っています。先日は大阪市天王寺区の天王寺動物園で、スタンプラリーやクイズを通して歯の健康について考えるイベントを実施しました。特に子供たちから好評だったのは、「はみがきうさぎ」というキャラクターと一緒に踊れるダンスショーです。はみがきうさぎは、元々弊社から歯科医院に提供していた、ガチャガチャの中に入っていたキャラクターです。今ではカプセルから外に飛び出して等身大の姿となり、歯科の魅力を子供たちに伝えるためにさまざまなイベントで歌って踊り、人気を博しています。

こうしたさまざまな企画を通じて、人々が歯科を魅力的に感じてもらい、歯科医院に行く機会を増やしていきたいと思います。その結果、むし歯や歯周病、かみ合わせなどで困る人たちを減らすことができたらうれしいですね。