2022.06.13

スポーツ界を席巻するDAZNの運営企業、Performグループ

動画配信サービスDAZN(ダ・ゾーン)。スポーツに特化し、Jリーグや日本のプロ野球など国内コンテンツも数多く取り揃え、2022年のワールドカップでは日本×豪州戦を独占配信したことも記憶に新しい。DAZNは動画配信サービスとしては後発ながら、既に会員数100万人を突破するなど人気も高い一大メディアだ。2019年からはグループ内を再編し、投資額を増やすなど新たな一手を始めている。運営開始からの変化を振り返りつつ、スポーツ界を席巻しつつあるDAZNの今後を見つめた。

DAZNの運営会社であるPerformグループには、1886年創刊の長い歴史を持つアメリカのスポーツメディア「Sporting News」等、世界のスポーツ界に影響力を持つ企業が数多く名を連ねている。スポーツ界における巨大コングロマリットだ。

スポーツ動画配信に特化したサービス

DAZNが日本も含めたサービスを開始したのは2016年のこと。スポーツに特化した動画配信サービスが特徴で、カバーする分野はサッカー、野球からラグビー、バスケットボール、ゴルフ、e-sports、格闘技、モータースポーツまで多岐にわたる。定額でスポーツを見られるシステムで、放送時間枠を気にすることなく好きなスポーツを見ることができる。

サービス開始直後にはJリーグと10年間の独占配信契約を結び、その金額は2,100憶円にのぼった。ほかにも、プロ野球や海外のスポーツチームとも数年から10年といった長期契約を結んでいる。スポーツ界に特化した動画配信サービスではほかの追随を許さない存在といってもいいだろう。

投資企業が運営、後発組ながら市場で存在感を確立

2016年当時、DAZNの運営を開始したのは、Performグループという英国に拠点を置く企業だ。傘下に、1886年以来長い歴史を持つ米国のスポーツメディア「Sporting News」、スポーツデータ企業の「Opta Sport」、世界的なサッカーメディアである「Goal.com」などを擁するスポーツメディアの集合体となっている。

2019年にはグループを再編、「DAZNグループ」として新たなスタートを切った。筆頭株主は「Access Industries」(アクセル・インダストリーズ)という投資企業。DAZNの日本市場進出は動画配信サービスとしては後発組に入る。しかし、スポーツに特化したサービスに人気が集まり、2016年のサービス開始後わずか1年で日本国内での加入者が100万人を突破した。その後も携帯電話企業とのコラボレーションを行うなど活動の幅を広げ、加入者数は150万人を超えているとも言われている。

DAZN Executive Vice President マーティン・ジョーンズ氏

魅力あるコンテンツが人気

DAZNでは、スポーツのストリーミングサービスはもとより、リアルタイムで見ることができない場合の見逃し配信やハイライトシーン配信などを提供するサービスも魅力的だ。独占配信、ドキュメンタリーシリーズなどオリジナルコンテンツも充実している。網羅するスポーツ数は130以上、年間のライブ配信数は約12,000にのぼる。

2022年、筆頭株主のAccess IndustriesはDAZNに対し43億ドル(約4980億円)の資本増強を行った。豊富な資金力などを背景に、スポーツのプレミアコンテンツを強化する構えだ。DAZNが発表した2021年視聴ランキングの上位は、AFCアジア予選 -Road to Qatar–のサッカー日本代表コンテンツが独占。日本の契約者数は今後も伸びていくと予想される。

スポーツ観戦を自由に

総務省が毎年実施している「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(2020年)によると、10代・20代でインターネットの視聴時間がテレビの視聴時間をはるかに凌ぐ結果となった。動画共有サービスのライブ配信サービスは10代・20代の2割以上が利用している。動画サービスごとの集計では、DAZNの利用率は20代を例にとると3.8%、U-NEXT5.2%、dTV3.2%。他メディアと比べても健闘していることがわかり、今後の成長が期待できる。

それまでのスポーツ系動画配信サービスでは、専用のチューナーが必要なサービスも存在するなど、どちらからいうと自宅でゆっくり観戦するスタイルだった。それに対しDAZNの場合は、タブレットやスマホ、ゲーム機など多数のデバイスが使用可能で、同時に2つのデバイスで視聴できることも魅力的。かつて、ポータブルプレイヤーが音楽を家の中から外へと連れ出したように、DAZNはスポーツ観戦を家の中から外へと広げる可能性がある。今後のG5サービスの普及など、通信体制の更なる整備が進むとともに、スポーツ観戦はより自由なものになっていくだろう。

転載元:Qualitas(クオリタス)