2022.02.21

オールドカーの魅力に迫る

ハイブリッドカー、電気自動車、水素自動車、自動運転システムなど、近年の自動車テクノロジーは目まぐるしく変化を続けている。技術の進化とともに、乗る人の快適性・利便性を追求した車が開発されてきた。しかし一方、自動車産業の黎明期や創成期に活躍した往年の名車の魅力は衰えることがない。100年以上の歴史を誇る自動車産業のこれまでの歴史を振り返りながら、人々を魅了する名車の世界に迫る。

オールドカーの魅力に迫る

各社が自由に開発を模索した自動車開発黎明期

往年の名車=オールドカーにはクラッシックカー、ヴィンテージカーなどさまざまな呼び方が存在する。こうした区分けの源流とされているのが、1934年に設立された「ヴィンテージ・スポーツカー・クラブ(VSCC)」による定義である。世界で最も権威ある自動車クラブと称される同団体では、生産された時期で車のカテゴリー分けを行っている。自動車産業の創成期、1886年から1904年頃までに製作されたモデルを「ヴェテラン」1905年ごろから1914年ごろまでに製作されたモデルを「エドワーディアン」1919年−1930年の間に制作されたスポーツカーを「ヴィンテージ」と規定した。この基準は世界的な指標になっていると言っても過言ではない。

「ヴェテラン」期のモデルは自動車誕生後間もなく作られたもの。自動車開発がスタート間もない時期に作られたため、エンジンの位置や駆動方式はメーカーによりさまざまであるが、「馬がいない馬車」という表現が当てはまる外観が特徴だ。「エドワーディアン」期に入ると、丸いステアリング、フロントへのエンジン配置など、現在でも受け継がれている自動車の基本が形作られる。スポーツカーの概念が発生したのもこの頃である。その後、「ヴィンテージ」期になると、スポーツカーの生産が盛んとなり、「ル・マン24時間」をはじめとする世界的なレースも開催されるようになった。そうしたレースには、先進技術を集めたモデルが投入され、幾多のレースで磨き上げられた技術が、市販車にも応用されるようになった。

戦後、世界中で花開いた自動車開発

第二次世界大戦後、英国では一般的に生産されたモデルに対して「クラッシック」の称号を使うようになる。一方、英国とは違う自動車文化も発展してゆく。アメリカでは、1930年以前の車を「アンティークカー」1960年までの車を「クラッシックカー」と呼ぶなど独自の発展を遂げた。

また、第二次世界大戦後はスポーツカーの分野をけん引する新たなメーカーが自動車産業に登場した。ポルシェ、フェラーリ、ロータスなど、日本でも60年代から70年代にかけて「スーパーカー」として人気となる車種を生み出すメーカーである。トヨタなど日本車がスポーツカーの世界に参加したのもこの頃だ。欧州のみならず、世界中で魅力的な車が生産された60年代以降の車は「モダン・クラシック」と呼ばれることも多い。近年では70年代の車もクラッシックカーとして認識され始めている。

オールドカーの魅力に迫る

レースや実車展示も開催、人々を魅了する名車たち

往年の名車は一部の愛好家だけではなく、身近に触れることも可能だ。英国では毎年、一般道を使用した古い車によるレース「ベテランカー・レース(London to Brighton Veteran Car Run)が開催されている。600台以上が参加するこのレースの歴史は古く、120年以上になる。日本でも自動車メーカーによる往年の名車の展示や、街中での走行イベント、クラッシックカーオーナーによるイベントが各地で開催されており、一般の人が目にする機会が増えている。

また、国内ではクラッシックスポーツカーによるレースも行われており、本格的な走行を目にすることも可能だ。JCCA(Japan Classic Car Association・日本クラシックカー協会)の場合、開催するレース参加可能なのは「1975年までに生産された車両および1979年までに生産された車両」。ノーマル車、チューニング車、ジュニアフォーミュラーなど5つのクラスで往年の名車によるレースを開催しており、ル・マン24時間レースに投入されたモデルが参加するレースも開催している。

1900年初頭に口火を切った自動車開発は、世界各地での切磋琢磨を経て、ガソリン車から次の世代へと移ろうとしている。オールドカーはその途中で生み出された人々へのギフトといえよう。年月を経た車の味わいを備えたシートや内装、今の車にはない独特の排気音。車種や年代により違い、一つとして同じものはない。機会があれば、一度往年の名車たちの魅力に触れてみてはいかがだろうか。

転載元:Qualitas(クオリタス)

オールドカーの魅力に迫る

TEXT BY KENJI ISHIHARA EDIT BY SHOKO WAKI