2022.07.19

エティハド航空の過去と未来。

中東の航空会社「エティハド航空」をご存じだろうか?アラブ首長国連邦の国営航空会社であり、ドバイを拠点とするエミレーツ航空と並ぶ、アラブ首長国連邦(UAE)そして中東の代表的な航空会社である。航空格付け会社エアラインレイティングスが選ぶ「安全な航空会社トップ20」において2020年4位、2021年7位と2年連続選出されるなど、さまざまな受賞歴もあり国際的な評価も高い。エディハト航空の創立からこれまで、そしてこれからの取り組みについてご紹介する。

アブダビの地から世界各地へ就航

エティハド航空は2003年7月にアラブ首長国連邦の航空会社として設立された。同年11月に商業運航を開始、潤沢な資金を背景に機材を増やし企業規模を拡大してきた。2021年現在の保有機数はボーイング、エアバス合わせ95機。ほかに100機を発注しており、合計200機弱の機体を保有することになる。アブダビ国際空港をハブ空港とし。中東やアフリカのほか、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカ、オセアニア、アジア各地に空路を展開する。2010年代に入ってからはM&Aによる事業拡大を進め、セーシェル航空、エア・セルビアなど複数の航空会社を傘下に収めてきた。

2020年には、UAEとイスラエルの国交樹立を受け、UAEとイスラエル間で初の商業飛行を行うなど今までにない路線の拡大に積極的だ。また、エールフランスやアメリカン航空、ハワイアン航空、KJMオランダ航空、全日本空輸、中国東方航空など世界各地の航空会社とコードシェア(共同運航便)を運用しており、コストダウンと利用客の利便性向上も目指している。

個室タイプのファーストクラスなどサービスも充実

座席は、短距離・中距離路線でビジネスクラスとエコノミークラスを提供。長距離路線ではファーストクラス、ビジネスクラス、エコノミークラスに加え、エアバスA380では、専用のバスルームやベッドルームを備えた最上級クラスとなる「ザ・レジデンス」を用意している。各クラスでは、事前に予約すればチャイルドミールやアレルギー専用食、ハラール食、健康食「ウェカヤ」の提供も可能だ。また、2009年からは、個室タイプのファーストクラスの提供も開始した。この座席はドアを閉めることで、キャビンから隔離されたプライベートな空間を確保できるのが大きな特徴だ。

プライベートルームとも呼べる空間では、オンデマンド映画やテレビ番組、ポッドキャスト、ラジオチャンネル、インタラクティブゲームなど各種エンターテイメントの利用が可能で、機内食は好きな時間に利用することができる。就寝時にはフルフラッドベッドと快眠に必要なさまざまサービスが提供される。

さまざまな分野で高評価を受ける

冒頭で紹介した安全な航空会社トップ20は、航空会社の安全性や設備、財務状況などを総合的に評価したランキングでカンタス航空、カタール航空、ニュージーランド航空、シンガポール航空、キャセイパシフィック航空など世界中のそうそうたる航空会社が並ぶ。
また、2019年には「第26回ワールド・トラベル・アワード」で4つの賞を受賞している。世界をリードする航空会社に贈る「ワールド・リーディング・エアライン 2019」、機内サービスを対象とした「ワールド・リーディング・エクセレンス・インフライト・サービス 2019」、機内エンターテインメント部門の「ワールド・リーディング・エアライン・インフライト・エンターテインメント 2019」、顧客体験を評価する「ワールド・リーディング・エアライン - カスタマー・エクスペリエンス 2019」と評価の対象も幅広い。オフィシャル・エアライン・ガイド(OAG)の定時運航年間ランキングでも中東の航空会社で初となるトップ20へ入賞するなど、運行の正確さでも高評価を得ている。

持続可能性への取り組みにも力を入れる

エティハド航空では、2035年までに2019年と比較し実質的な炭素排出量を半分に、2050年までに炭素排出量をゼロにという目標を掲げ、サステナビリティ(持続可能性)の活動にも力を入れている。炭素排出量の削減に取り組むため、燃費効率の良い機体を導入するほか、ボーイング社と協力し2012年から航空技術を検証する「ecoDemonstratorプログラム」を実施している。プログラムの目的は、静音性を高めた着陸装置、航空機の騒音予測プロセス、航空機設計の潜在的な騒音低減の可能性などの検証だ。結果は新たな技術の機体への導入に繋がっており、その後もテストを継続している。

削減を目指すほか、ゲスト会員への物理カードの廃止、地上の車両用へのリサイクル燃料の使用、水の管理やフードロスの削減といった取り組みを行う。機内食ロスへの対策として、シンガポールのフードテック企業と提携。人工知能(AI)と画像認識技術を活用し、機内で消費されなかったエコノミークラス機内食を特定・分析。食品ロスの削減を目指している。

新たなサービスの提供も

新たなサービスの導入にも積極的だ。コロナ禍の2020年3月、エティハド航空は787旅客機を貨物専用で運航し、貨物サービスを補完すると発表した。これはアラブ首長国連邦と世界の主要貿易レーンの継続性を確保するためである。インド、タイ、シンガポール、フィリピン、インドネシア、韓国など貨物便を受け入れている国々へ運航を行い、食物、医薬品、郵便物など重要な品物の流通の継続が可能になっている。2019年には2度にわたり、アブダビ空港で日本企業の自律走行型車椅子の導入実験を行った。テストの結果、運動機能に制限のある利用者でもスタッフの手助けなしに空港内を移動することが可能なため、将来的に、提供するサービスの選択肢として検討したいとしている。

感動を届けるサービスを目指して

2003年に開業したエティハド航空は瞬く間に世界に誇る航空会社へと成長した。企業コンセプトは「感動をお届けするサービス」だ。前述した個室タイプのファーストクラスもその一つ。同様のサービスは航空会社各社で導入が始まっており、今後は機内のラグジュアリーサービスの主流となる可能性も秘めている。

また、2020年4月にはエア・アラビアと設立した新たな格安航空会社(LCC)「エア・アラビア・アブダビ」が運航許可を取得した。エア・アラビア・アブダビはアブダビ国際空港を拠点とする初のLCCで今後、同社の運航により低価格路線にも対応していく予定だ。エティハド航空はマイレージプログラムの利便性も高い。全日本空輸、アメリカン航空、スリランカ航空、ウクライナ国際航空、V オーストラリア、ヴァージン・オーストラリアなど各社と提携している。空の旅の新たな選択肢として考えてみてはいかがだろうか。

転載元:Qualitas(クオリタス)