婚礼美容室を設立した祖母と現場の美容師だった父を持つ美容一家に育った私ですが、私自身は美容に興味がなく、ずっと専業主婦をしていました。転機を迎えたのは、2016年に父が倒れ、「これから会社をどうしよう」と皆が悩んでいるところに追い打ちをかけるように、父が半ばだまされて作った数億円の借金が会社にあることが判明しました。

誰もが「そんな大金払えない」と途方に暮れている中、私は「経営をします」と手を挙げました。周りからは「普通の主婦ができるわけがない」と猛反対を受けましたが、主婦だったからこそ金銭感覚が分からず、「世の中には何億円も稼いでいる人はたくさんいるし、できるかもしれない」と思い、周囲の反対を押し切って代表取締役に就任しました。

代表になってからは四苦八苦の日々でした。最初は「銀行通帳はどこ？」という状態で、毎月の資金繰りにも苦労しました。そんな中、経営の神様と呼ばれた船井幸雄さんの著書を読んでいると、「経営者の精神的成長に伴い、売り上げが2倍3倍に伸びるという事例を僕は何度も何度も見てきた」という一文に出会いました。「そうか！」と思い、まずは自分が成長するために、たとえマイナスなことが起こっても、「あとは上がるだけ！　大丈夫！」と、「ポジティブでいること」を心掛けるようにしました。

例えば、自社ビルに入っていたテナントさんが一気に抜けたときも、スタッフには「大丈夫！新しいものが入れる環境が整ったよ！」と話したら、その後これまでより高い家賃をいただける会社が入居しました。こうしたご縁にも恵まれ、ポジティブを意識するようになってから、会社の財務状況は波はありつつも改善していきました。ポジティブに振る舞うことの大切さは今も心に留めています。

当社のスローガン「身体の中からきれいにする」は、幼心に美容師として働く父の姿を間近で見ていた私の思いが込められたものです。子どもの頃、美容師が美容室で忙しく働く様子を近くで見ていました。ご飯を食べる時間もなく、缶ジュースを飲んで糖分補給をしてすぐ次のお客様の元へ向かったり、1日に何十人ものお客様にシャンプーをしたり、パーマ液などの薬剤アレルギー反応による手荒れに悩まされたりしている美容師の姿を間近で見ていたこともあり、「美容師は身体が大切」という思いをずっと持っていました。

2016年から経営に携わるようになってからも、やはり手荒れや体力的に大変な思いをしている美容師の声を聞き、「美容師には健康的に働いてほしい。そのためには身体の中からきれいにすることが大切だ」という思いで、スローガン「身体の中からきれいにする」を掲げています。

当社はこれまで美容院向けにヘアケア商品を販売してきましたが、新商品「フルボーテシリーズ」では、初めて一般のお客様へお届けする試みを行っています。「フルボーテシリーズ」の特徴は「フルボ酸」を使用していること。フルボ酸は太古の動植物が分解される過程でできた物質で、ミネラルの吸収率を高めるなどといわれています。

「フルボーテシリーズ」では、米ユタ州にある地層「ヒューミックシェール」からとれた純度100%のフルボ酸の原液を使用しています。ユタ州はアメリカ先住民や動物たちが傷を癒やしていた温泉がある土地です。どうしてもユタ州のフルボ酸を使いたいと、1社しかない原料会社へ直談判して、熱意を伝え、使用させてもらうことになりました。

「フルボーテシリーズ」は、スローガンである「身体の中からきれいにする」にピッタリな新商品だと思っています。香りにもこだわり、香りのアーティスト和泉侃さんに依頼して、シャンプーとトリートメントは、地層の乾いた土と森林をベースにシャクヤクをほのかにイメージした香りになっています。毎日忙しく働く30代半ば以降の女性に使っていただき、香りを楽しんで日々の疲れを癒やしていただけたらうれしいですね。