2022.04.11

「型枠工事」に女性の力を 

福岡県を中心に型枠工事業を展開し、2023年に50周年を迎える福島工務店。建設業界に新風を吹き込む取り組みが、今注目を集めている。森靖崇代表取締役に、展開している事業と、進行中の改革ついて迫った。

「型枠工事」に女性の力を 福島工務店森靖崇代表取締役

この仕事でしか見られない、美しい光景

型枠工事業は、主に鉄筋コンクリートの建物を建設するとき、何もない空間に型枠を組み立て、その中にコンクリートを流し込んで建物の形を生み出していく仕事です。建設業には29業種あり、それが交ざり合って一つの建物を作っていくのですが、型枠工事業は、最初の形を生み出して、建設現場を先導していく花形の仕事だと思います。

仕事をする中で、一番好きな光景があります。何日もかけて下準備をした後、クレーンを使って、柱、壁、梁と天井の型枠を1日で組み立てていくのですが、その日の朝と、作業を終えた夕方の光景が、ガラッと違うものになります。朝とは全く違うその美しい光景を、夕方眺めているときが達成感に満ちた大好きな時間です。

現場で行う作業というのは、一人がどれだけ頑張っても、二人分の仕事はできません。人が集まって協力し合い、その人数が多ければ多い程、より大きな仕事ができます。多くの人が集まって、一つの建物を造っていく中で、第2の家族とも言うべき絆が生まれていきます。苦しいときもたくさんありますが、皆で同じ目的に向かって一緒に乗り越えていきます。これはデスクワークの仕事だとなかなか味わえない感覚でしょう。私自身、皆で建物を作り上げていくこの仕事に心から楽しさを覚えて、「これは自分の一生の仕事だ」と決めて、仕事に励んできました。

「型枠工事」に女性の力を 福島工務店森靖崇代表取締役

女子学生から言われた言葉

会社説明会や、リクルーティングで高校や大学を訪問する中で、型枠工事業に興味を持ってくださる女子学生に何人もお会いして、会社見学に来てくれる学生もいました。「私たち女性が、相手にしてもらえない世界だと思っていました」と学生さんに言われ、それに驚いて「いやそんなことは全然ないです。大歓迎です!」と、力強く返しました。これまで事務職などで女性に活躍してもらっていましたが、型枠工事の現場でもっと女性が活躍できる会社にしようと決意しました。そのため、あるゼネコンに相談し、女性の力で難なく組める、軽量化した型枠や、危険なところで型枠を組む部分を簡素化して、別の部分で代用できる工法の開発にご協力してもらいました。工事現場にも女子更衣室、女子トイレを設置して、女性が安心して働けるように努めています。

50周年を迎える2023年に向けて、現在新社屋を建設中です。その中には託児所スペースを設け、子育て中の女性の時短業務など、ライフスタイルに合わせて女性が働きやすい環境作りを整えています。

弊社の女性活躍について、今後は、「2027年までに女性だけの型枠大工のチームを結成する」と「2030年までに社員の女性の割合を3分の1にする」という、二つの目標を掲げています。目標達成する具体的な年を挙げているのは、これまで成し得てきた数々の目標を踏まえて、その年までに必ず達成できるという確信があるからです。福岡県から「子育て応援宣言企業」の認定も頂き、名刺にも刻印しています。業界の中でも弊社がまず率先して、女性が活躍できる型枠工事業を目指していきます。

型枠工事業を次世代へつなぐ

型枠工事業を次世代へつないでいくために、変化を恐れず、新しい素材や技術を常に取り入れていくことが大切だと考えています。例えば、弊社は5、6年前からプラスチック製型枠を導入しています。型枠というものは、同じものを何度も繰り返して使用することで初めて利益が出ます。木材で作った型枠というものは、使用は10回までが限界ですが、プラスチック製のパネルというものは基本100回まで使えます。なおかつ軽くて使いやすく、再利用が可能で、環境にも優しい良い事づくめの素材です。より良い型枠工事のために、日々研究し、改善を重ねています。

初代社長は、東京理科大学を卒業後、さまざまな仕事を経た後に、型枠業と出会い、「こんなに面白い仕事は他にない」と、自分の中でぴたりと来るものがあったそうです。それ以降は型枠業一筋で、52歳で創業しました。型枠の仕事を突き詰めた創業者の精神は、3代目の私にも受け継がれています。他の事業に脇目をふらず、階段を一歩一歩上り、会社としてここまで来ることができました。

「九州ナンバーワンの型枠工事業者となる」。これは、私が55歳になる2030年までに必ず達成する目標です。

新たなステージに進む弊社に、多くの方に来ていただきたいですし、特に女性の活躍が必要です。0から1を造り出す建設業の中でも、先陣を切る型枠工事に魅力を感じていただけたなら、ぜひ弊社で一緒に仕事をしましょう。環境は用意しています。仲間と仕事をする中で、想像以上のやりがいと、他の仕事では味わえない、人生の醍醐味が得られるはずです。

株式会社福島工務店

代表取締役

1975年宮崎県生まれ。1993年、福島工務店入社。2005年、30歳で社長代行。2016年、41歳で代表取締役就任。

https://www.isindensin-telepathy.com/