2023.03.30

「できない」を「できる」にする商品開発

温水床暖房やエアコンなど住宅設備を開発してきたエコミナミは、地震でも割れない窓や停電時にも使える防災対応ランプなど、災害時に役に立つ商品を開発・提供する新事業を立ち上げた。「『できないと思ったけど、こんなこともできるんだ』といわれるような新商品を開発したい」という佐藤央代表取締役に聞いた。

「あったら便利」な新商品のアイデアを

弊社は住宅設備の工事会社として出発し、創業してから43年目となります。給湯器や太陽熱温水器の設備工事を行ってきましたが、床暖房が世間でブームになり、先代が温水床暖房の開発に着手し、事業を拡大しました。現在は、温水床暖房だけでなく、風のないエアコンなど、環境や省エネに配慮しつつ、健康的で快適な暮らしの一助になる製品を開発し、多くのハウスメーカーや住宅設備機器メーカーなどへのOEM供給を行っています。

 さらに最近は地震や台風など災害が多くなってきている時代であり、健康で快適に過ごすには、まずは安全・安心な暮らしが担保されなければならないという想いから2022年の6月に日本防災スキームを新たに創業。災害に備えた商品開発を手掛け、停電しても消えない電球を開発しました。

照明器具にライトとして取り付けるだけで、充電しながら日常の明かりとして使用でき、停電やブレーカーが落ちた際に活用できる「普段から使える防災グッズ」です。「まだ世の中にないけれど、あったらすごく便利だよね」というような、新しい商品のアイデアを生み出し、それを実際に形にすることを強みにしています。

「人の役に立つ」手応えを持てる企業に

「誰かの役に立ちたい」という強い思いを持っている社員も多く、誰かの役に立って喜んでもらえることが、自分を成長させるエネルギーとなることに気が付いて働いています。会社としても、東日本大震災が、人の役に立つ事業により注力していく転機となりました。

震災当時、私たち住宅設備業界にも大きな打撃があり、生産ラインが止まってしまうなど、会社としても停滞した時期がありました。そのときに社員が在庫となっている床暖房を自分たちで車に乗せて被災地へ行き、ボランティアで仮設住宅に床暖房を設置して回ったのです。「皆さんありがとうございます」と被災者の方々の感謝の声をいただき、社員も「自分の仕事が人の役に立つ」という手応えを持ち帰ることで、次の仕事に挑戦していく原動力になっていきました。「人の役に立つことで自分も成長していけるし、今の自分の喜びになっています」と社員が話をしてくれました。

社員が自分たちの会社をいい会社だなと思ってくれているかどうかが、会社を測るバロメーターであり、すごく大事なことだと思っています。社員が家族で夕食を囲みながら「今日会社でこんなことがあったよ」と楽しんで話をし、それを聞いた社員の子供も弊社で働きたいと思ってくれるような、そんな会社にしていきたいです。

日常生活の延長線上にある防災対策を

2020年に政府は、2050年の日本のカーボンニュートラル実現の中間目標として、CO2の排出量を2030年地点で2013年と比較し、46%削減するという中間目標を設定しました。2030年は、創業50年の節目の年でもあります。これから子供たちが成長して生きていく地球を未来に受け継いでいくためにも、できることやっていかなければならないと考えています。

日常生活の延長線上にある防災対策を意識して、省エネ型防災電球や低コストの断熱二重窓を普及させるなど、「日常時」と「非常時」という二つのフェーズで役に立つ「フェイズフリー」をキーワードに、安全安心と持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。

世の中に必要とされる商品を開発し、そういう商品を楽しみながら考えて開発できる社員を育てていける会社であり続け、より多くの人たちに「エコミナミや日本防災スキームの商品があって良かった」と思ってもらいたいです。

株式会社エコミナミ

代表取締役

1969年、東京都大田区生まれ。1993年、大学卒業後、東証一部上場企業で20年間勤務。2013年、住宅設備機器の開発・普及をメインとする、株式会社エコミナミの代表取締役に就任。2022年日本防災スキーム株式会社を創業。日本防災スキーム株式会社を創業。

https://www.ecominami.jp/